運命なんていらない

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それからは、精力的にインスタにイラストをアップした。
今まであまり描いてこなかったアニメ的な絵も挑戦した。

そのうちの一つが担当さんの目に止まり、初めてイラストで仕事を依頼された。

雑誌の小さなカットではあったが、自分のイラストが印刷された雑誌が全国に販売されるということが本当に夢のようだった。

その後、地方で展開しているドラッグストアのオリジナルキャラクターのコンペに参加してみないか、と担当さんに勧めてもらい、なんと勝ち取った。

信じられない。

全国的なチェーン店ではないにしろ、今後も何年間かそのキャラクターを媒体としたキャンペーンや商品開発を行っていくとのことで、そこそこの金額の報酬を得た。

キャンペーンのイラストももちろん任されることになり、季節ごとに収入を見込めるようになった。


蒼は大学在学中にモデルにスカウトされた。
本人は特に金に困ってもなく、バイト感覚でやっていると言っていたが、周囲はほっておかない。

次々と仕事が舞い込んでいたが、学業優先ということもあり、セーブはしているようだった。

蒼は俺がヒート後に精力的に活動するようになってから、家事を進んでやるようになった。

家賃を払っていない身でそんなことは許されない!俺がやる!!と言ったが、悲しい瞳で「焦げたハンバーグ」の話をされる。

……あれから、イラストに集中するあまり二度焦がしたんだ……。

洗濯物も放置していたり、ゴミの収集時間を忘れていたり、とにかく家事も疎かになっていたのは事実で……。

しかも、そのすべてを蒼が完璧にこなす。

家賃は自分も払っていないし、お金はあると受け取ってもらえない。

俺は収入を得ることができるようになり、実家からの仕送りは断った。
キャラクターの報酬も今までの仕送り分として、渡した。
両親は断ってきたが、今まで出来なかった親孝行だと言うと、泣きながら受け取ってくれた。

正直、肩の荷が降りた。

だからこそ、より蒼への負担が気になる。

血が繋がった親にすら迷惑をかけている状態から解放されたかったのに、幼馴染みの蒼にこれ以上負担を強いる自分自身が許せない。

家賃や家事だけではない。

……不定期ではあるが、Ωである以上、ヒートはくる。

その度に蒼は、俺を抱く。

あの時のように、必要に迫られている訳ではない。
何度も断るが、その度にαのフェロモンでぐずぐずにされ抱かれる。

好きだから抱きたかった。

ヒート明けに暴れて怒る俺に何度も蒼は言う。

蒼は優しいから、俺に負担をかけないように。


そろそろ、かな……。




「カナ~たぶん忘れてるだろうけど、明日はカナの誕生日だよ?」

「……あ」

忘れてた。

「締め切り大丈夫だよね?大学もバイトも休みだから、二人でまったりお祝いしよ?」

「おー、ありがとな」

誕生日かぁ……特に何も感じてなかったけど、ちょうどいいかなぁ。
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