運命なんていらない

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誕生日·その後(軽く*)

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誕生日の昼、蒼にぐずぐずに抱かれ、夜はもう微動だにできず……。

「わりぃ。体力つけないとな」

甲斐甲斐しく蒼に世話をされながら、ちょっと申し訳なく感じていた。

「気にしないで。僕が我慢できなかっただけだし、カナの世話やくの好きだしね」

蒼は上機嫌で俺の髪を乾かしている。

「また、僕に戻ってるぞ?」

海里さんに言われるまで、気づかなかった『僕』だが、気持ちが通じあった今も蒼は使っている。

「あぁ、癖になっちゃったみたいで、これからも混じるかも。カナに優しくしたいって気持ちももちろんあるしね。海里は呪いとか言ってたけど、僕は誓いって感じだしね」

「誓い?」

蒼がドライヤーを止め、俺の髪を軽く手でセットしながらすまなそうに笑う。

「中学のバース性診断の日、僕、カナを傷つけたでしょ?」

あの日か。

「僕が、カナがΩで良かったって言って、傷つけた。あの時は自分のことしか考えてなかったんだよ。カナを番にできるって、縛り付けられるってことしか考えてなくて。ヒートに苦しむとか抑制剤飲まないといけなくなるとか、辛いことの方が多いのに。あの時、カナが僕のことを敵みたいな目で見てさ。もう、ショックで。あの時に誓ったんだよ。もう絶対に傷つけない。自分のことより、カナの幸せを優先するって。あの時のことがなかったら、我慢できずに襲って噛んでたかも」

わざと、口をあーっと開けておどける。
たぶん、蒼にとって俺が拒絶した態度を取ったあの日が、トラウマのようになっているんだろう。

次にまた傷つけたら、もう側にいられないかもしれないって自分の気持ちを押し込め続けた蒼……やっぱり、海里さんの呪いの方がしっくりくる。

でも、もう呪いは解けた。
蒼にも、自分の気持ちを出して欲しいし、俺も遠慮なんてしない。
それで喧嘩しても、仲直りすればいい。
俺たちは一生、そうやって一緒に生きていくんだ。

……自分が考えてることが恥ずかしくなってきた。

「なー、誕生日プレゼントは?」

髪を乾かし終わった蒼に背後から抱きしめられながら一人で赤くなってるのを誤魔化したくて、プレゼントのことを持ち出してみる。

「本当は車を買ってたんだけど、それより」

「ちょーーっと、待て。車!?」

すごいこと言われた。
甘い雰囲気出してたのが、吹っ飛んだ。

「移動の時に車なら安心でしょ?公共機関はやっぱり心配だから」

いやいやいや。
待て待て。

「俺、免許ないぞ?」

「短期で取れる所があるから、僕も一緒に付いていけばいいかなーって」

目立つわ!

「返品しろ」

蒼が吹き出す。
いや、本気だ。
俺に金をかけるな!!

「さすがに返品はできないよー。まぁ、僕が乗ってもいいしね。それに、もっと良い誕生日プレゼントを思い付いてね。マンション、買おうと思って」

……コイツ、ぶん殴らないと分からないのか?

「ちょっ、何でそんな怖い顔するの!聞いてー!」

背後を振り返り、拳を握りしめてた俺をぎゅっと抱きしめると、頭に顎を乗せてくる。
完全にホールドされた。

「離れてるの、嫌なんだ。カナが一人暮らししたいって言い出した時も、本当は嫌だったけど、父さんのマンションだったし、カナが自立したいってずっと思ってたのも知ってたから」

俺の思いを優先してくれてたのか。

「今は、ただ一緒にいたい。ちょうど父さんのマンションから出ようと思ってたしね。俺はこれからも、ヒート関係なくカナを抱きたい。毎日でも。あんなに溶け合ったのに、そんなカナを置いて家に帰るなんて、できないよ」

さっきまでの二人を思い出して、顔が赤くなる。

「だから、これは俺へのプレゼントでもある。受け取ってくれる?」

「でも、そんな高いのは……」

「いや、マンションは元々買おうと思ってたから、カナはそこへ引っ越してくるだけ。プレゼントはココからソコへの引っ越し代!……って、そう考えたらしょぼいね?」

へへへ、と笑う。
俺に負担をかけないように、わざとふざけているのが丸分かりだ。
 
俺は後ろから抱きしめている蒼の腕をほどき、向かい合う体勢に変える。
蒼の両足を俺の足で挟み、上に乗り上げる。
目線が蒼より上にくる……新鮮だ。

「わーったよ。そのプレゼント貰う。ありがとな。俺も、一緒にいたい」

軽く、ちゅっとキスをする。

蒼は鳩が豆鉄砲をくらったみたいな顔。

俺と蒼に格差があるのなんか最初から分かってる。
もう、変なプライドもいらない。
甘える所は甘えて、支える所はお互い支えればいい。

蒼の反応に調子に乗った俺は、また軽くちゅっとしてやろうと、顔を寄せる。
目を閉じようとした瞬間、大きく口を開けた蒼が見えた。
反射的に顔を反らそうとしたが、後からがっちり手で頭部を押さえつけられ、そのまま貪られる。

「んむっ、んっんっ」

容易く侵入した舌は、上顎を軽く擽り、俺の舌に絡まってくる。
歯列を丁寧になぞられ、溢れた唾液が零れないようにコクコクと飲み込む俺をあやすように頬を撫でる。

ようやく解放された時には、息が上がっていた。

「カナ、そんなことされたら、我慢できないよ……」

ぐっと俺の腰を持ち、蒼の高ぶりを尻に擦り付けてくる。

「やっ、あおっ」

蒼の濃厚なキスで俺も勃ってしまい、お互いの腹に挟まれて擦られ、両方からの刺激で射精感が強まる。

雄の顔をした蒼は、俺の服を脱がしにかかっている。

アレだけしたのにっ……!
数時間前のことを思い出しながら、また俺は蒼の首にしがみついた。
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