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45. 日本人

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「アンさん……
 本当にいいんですか?」

「勿論いいよ!」

「でも、これってドワーフの至宝ドン·ドラニエル作の日本刀レプリカですよね……」

「日本刀レプリカは、ドン爺以外が打った刀はどれも生クラか、焼きが入りすぎて直ぐに折れてしまう粗悪品ばかりだからね!
 お父さんも最近、ケンセイさんの『村正』を研究して日本刀レプリカを打つようになったらしいけど、やはり日本刀レプリカならドン爺の打った刀の方が間違いないよ!
 ドン爺は『鑑定』の魔眼持ちだったから、殆ど本物の日本刀と変わらない神級の日本刀レプリカを打ってたからね!」

「でも、これ3億マーブルって表示されてますよ!
 こんな高い物受け取る事なんか出来ません!」

 ジュリは日本刀レプリカのお値段を見て、相当びびっている。

「折角プレゼントするのに、粗悪品なんかあげれないよ!
 日本刀レプリカは、粗悪品か、ドン爺が打った神級の日本刀レプリカの二者択一なんだよ!」

 アンちゃんは、何としても3億マーブルもする神級の日本刀レプリカをジュリにプレゼントしたいようだ。

「ジュリ様、今は日本刀レプリカはとても貴重な物です。
 今回、手に入れれなければ、次にいつ手に入るか分かりません。
 ドラクエルも、アレン坊ちゃんに打った日本刀レプリカ以外は、とてもじゃないですけど、世界一の武器職人の名で売りにだせるだけの日本刀レプリカは打ててないのです。
 ここは頂ける物は、頂いた方が宜しいと思います」

 シャンティ先生も後押しする。

「そ……そうですか……
 それでは、アンさん。有難く頂いて宜しいですか?」

「はい、喜んで!」

 アンさんは、どこかの居酒屋チェーンのような返事をして、ドン·ドラニエル作の日本刀レプリカをジュリに手渡した。

 ジュリは、アンさんに日本刀レプリカを手渡されると、緊張の為か日本刀レプリカを持った手がプルプルと震えている。

「ジュリちゃん、いくらドン爺が打った刀が高いからって緊張する事はないよ!
 ジュリちゃんのお家にある『村正』なんて、値段が付けられない聖剣認定を受けている5振りの中の1振なんだからね!」

 アンちゃんが、ホローになっていないホローをする。

「アンさん、聖剣ってなんですか?」

 俺は聖剣が気になり聞いてみた。

「聖剣は、勇者が持つ剣の事だよ!
 1番有名なのがエクスカリバー!
 黒竜戦争の時、勇者が使ったと言われる聖剣。
 2番目は天叢雲の剣。別名、草薙の剣。
 これは大昔の勇者だった漆黒の森の覇者、姫ちゃんの先祖が使ったと言われる聖剣。現在は姫ちゃんが所持してるよ!
 3番目はスキルスッポンソード、これは始まりの魔女が製作した他人のスキルを奪う事ができるチートソード。
 4番目がハラダ家所有の『正宗』。これは50年前に剣姫ハラダ·ハナが使った事により一躍有名になり、聖剣認定されたんだよ!
 そして5番目が、佐藤家に伝わる『村正』。
 これも50年前に剣聖サトウ·シオタロウが使ってた事で一躍有名になり、その時『正宗』と同じように聖剣認定されたんだよ!」

「あの……何故か異世界で有名な剣がたくさんあるんですけど……」

「アレン君。博識だね!
 そうだよ! スキルスッポンソード以外は、全て異世界の剣だったと言われているんだ!
 ドワーフ族としては、ドワーフが打った剣が聖剣になるのが1番良いのだけどね……」

 グウゥ……

 変なタイミングで、誰かの腹の音が鳴った。

 音が鳴った方を見ると、ジュリが真っ赤な顔をしている。

 緊張し過ぎるとお腹が鳴るのか?
 多分アンさんの話を聞いて、少しだけ緊張の糸が切れて気が抜けてしまったのだろう。
 ここは前世でジュリの兄だった俺としては、ジュリの女の子として尊厳を守らなければならないのだ!

「ハッハッハッハッ! どうやら俺の腹の虫が鳴ったみたいだな!
 皆もお腹が空かないか!
『ウルフデパート』のフードコートで、折角だから昼食を食べに行くというのはどうだろうか?」

「アレン君……わざとらしく嘘を言わなくてもいいよ……
 みんな、私のお腹が鳴ったて気付いているんだからね」

 ジュリが、自分のお腹が鳴った事を素直に白状した。

「アリスお嬢様。まだ集合時間まで30分程時間がありますので、今の内に軽く昼食を済ませてしまいましょう!」

「妾もお腹が減っていたのじゃ!
 フードコートとやらに急いで行くのじゃ!」

 アリスはそう言って浮き上がると、前の世界のショッピングモールによくある中央部分の吹き抜けを抜けて2階に飛んで行ってしまった。

「アリスちゃん、凄いね。フードコートが何処にあるのか分かったんだ……」

 アンさんは、アリスが空中浮遊した事より、フードコートの場所が何処にあるか分かった事の方を驚いている。

 俺達はアリスを追って、階段を登り2階に進む。

「アンさん、2階は1階と違い活気がありますね!」

「1階は高級店のフロアーで、2階がリーズナブルな人気店の専門店街になってるんだよ!
 勿論、ドワーフ王国の店舗も2階にもあって、普通の冒険者でも買えるような武器や防具、魔道具などが売ってるんだよ!」

 アンさんが、丁寧に『ウルフデパート』について教えてくれる。

「あそこにアリスちゃんが居るよ!
 アリスちゃんは、どうやら豚骨ラーメンを食べたいみたいだね!」

 フードコートに進むと、ラーメン屋と思われる列に、アリスが並んでいた。

「コッチじゃ! 豚骨ラーメンを見つけたのじゃ!
 妾は前の世界では、アレンに取り付いていたので外食を余り食べた事がなかったのじゃが、アレンの体を通して、カップ麺は食べた事があったのじゃ!
 じゃが、外のお店の本格的なラーメンは1度も食べた事が無かったので1度食べてみたかったのじゃ!」

「エッ……アリスちゃん、ラーメンを知ってるんだ……
 ?……前の世界? あれ? アレン君とアリスちゃんって、もしかして異世界人だったの?」

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