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61. 駆け落ちする男
しおりを挟む次の日、塩太郎達『犬の肉球』は、シャンティーに連れられて、ムササビ近郊のSSS未攻略ダンジョンの攻略にやって来ている。
何故だって?
それは、このSSS未攻略ダンジョンに、剣王の称号持ちが居る冒険者パーティーが、3日前から攻略してるからだ。
ん?
剣王や剣帝や剣聖との戦いは、道場でやるんじゃなかったのかだって?
塩太郎もそう思ってたのだが、ハラダ家と、その分家のハラ家の称号持ちと戦う為には、まず、4人居る剣王の1番下位の者を倒さなければ、挑戦権を得られないらしい。
これは現在、最下位の剣王以外の称号を全て、ハラダ家、ハラ家が独占してるから為せる技である。
ハラダ家、ハラ家も、しょっちゅう道場破りに来られたら堪らないので、敢えて、一番下位の剣王の称号をハラダ家、ハラ家の者が取得せずに、その一番下位の4番手の剣王を取得した者だけが、3番手の剣王との挑戦権が得られるシステムにしているのだ。
「シャンティー! やっぱり、虎子に村正貸したら駄目だったじゃねーかよ!」
塩太郎は、シャンティーに文句を言う。
「アンタなら、一番下位の四番手の剣王くらい、素手で倒せるわよ!」
シャンティーが、事も無げに答える。
「お前、アホだろ?素手で倒したら、剣王の称号得られねーじゃねーかよ?」
「まあ、確かにね。そしたら、拳王も狙っちゃう?」
「拳王? そんなのも有るのかよ?」
「有るわよ! 因みに、アンタ、既に拳神には会ってるわよ!」
シャンティーの口から、まさかの言葉が返って来た。
「何だって!? 俺は、そんな実力者と会ってたのかよ?」
「アンタが、最初に、異世界から飛ばされて来たダンジョン覚えてる?
そこに、私達と一緒に居た『三日月旅団』って、冒険者パーティー居たでしょ!
そこのシルマンて言う、元神龍教の神官が、現在の拳神よ!」
「そう言えば居たな……ヤバそうなオッサン……」
塩太郎は、相当薄い記憶だが、何とか思い出す。まあ、その後会った、ガブリエルとかアンさんとか赤龍アリエッタとかが強烈過ぎて、もう、そんなに凄いとは思えないのだけど。
「そのヤバそうなオッサンも、私の弟子よ!」
シャンティーが、いつものように無い胸を張り、エッヘンとする。
「弟子って、お前が、なんか弱みを握ってるだけだろ!」
「失礼ね。確かに弱みもたくさん握ってるけど。私が、拳神に育て上げたのは事実だからね!」
「でも、ガブリエルとかより、弱いんだろ?」
「弱いわね……『犬の尻尾』のガブリエルとブリトニーとアンは、別格だから!
因みに、ブリトニーは、剣神、拳神を100年キープして、冒険者ギルドが、ブリトニーだけの称号、剣鬼、拳鬼を与えたのは有名な話よ!」
「たまに話に出てくるブリトニーって奴は、一体、何者なんだよ!
ステゴロでも強えーって、剣士じゃ無かったのかよ!」
「ブリトニーは、魔法も得意よ」
「もう、弱点ねーじゃねーか!」
「兎に角、メイド服を着た猫耳を見たら逃げる事。ブリトニーはイカレニャン娘だから、何されるか分かんないわよ!」
「お前に、そこまで言わせるって、相当な奴なんだな……」
「ブリトニーの逸話は、事欠かないわよ。
チ〇コスライスは、あまりにも有名だけど、ブリトニーの最初の殺しも、引くわよ……」
「ちょっと興味あるな」
塩太郎は、ステゴロでも強いらしいブリトニーが、とても気になってきている。
「ブリトニーが8歳の時、家に賊が侵入して来たらしいんだけど、ブリトニーは、何故か賊のチ〇コを手で引きちぎり、両手両足の腱を果物ナイフで切断し、お腹を十時に斬って、中から内蔵を取り出してたらしいわよ。
しかも、騒ぎを聞きつけて母親達がブリトニーの部屋に入ってきた時の一声が、『お母さん、これでソーセージ作って!』だからね……」
「何だそれ……まあ、侍も切腹する時、自分で腹を斬り裂いて、内蔵取り出してムカついてた奴とかに投げる奴とか居るけど、それを8歳でやったんだろ……ヤバすぎんだろ……」
「アンタの話の方が引くんだけど……」
シャンティーが、塩太郎の話を聞いて、滅茶苦茶引いている。
「まあ、そんくらい侍は、気合いが入ってるって話だよ」
「気合いというより、ムカついたヤツに内蔵投げつけるって、執念深いだけじゃないの?
まあ、侍の家系のハラダ家の剣士達が、ベルゼブブの配下の何とかとか言う異界の悪魔に、執着して挑み続けてるのと一緒ね!」
「へぇ~。その異界の悪魔って、アンさんとかと一緒に居た、ハラダ・ハナより強いのかよ?
あのハラダ・ハナとかいう女剣士、相当強いだろ?」
塩太郎が、シャンティーに質問する。
「間違いなく、ここ350年でハラダ家最強の剣士ね。しかしながら、前回のベルゼブブ攻略レイドは、50年前だから、ハラダ・ハナは参加してないわ」
「今回は、倒せるのか?」
「さあ、どうでしょう?私達が、その悪魔を見たのは、初回に遭遇した時だけだから。
だけれども、私達と一緒に居た、限りなく剣神に近かった当時の剣聖ハラダ・シンタロウは、全く、相手にならなかったわね……」
「嘘だろ?」
「しかも、その後、すぐに行われた、私とエリスが不参加だった第1次ベルゼブブ攻略レイドで、その剣聖ハラダ・シンタロウも、当時のもう1人の剣聖ガリム・ロマンチックも、剣姫カレン・ロマンチック、それから元剣神ハラダ・ダイキチも、その異界の悪魔に全員殺されたわ……」
「それって、その当時の剣の達人が全員殺されたって事か……」
「そうよ。その当時の剣神は、行方不明中だったからね。
因みに、その行方不明の剣神は、私達の仲間だった『犬の肉球』の元団長の勇者ね!」
シャンティーから、まさかの言葉が飛び出る。
「『犬の肉球』全然、駄目じゃねーか! というか、蚊帳の外?」
「そう。糞勇者が全部悪いのよ!
当時、一緒に駆け落ちしてたアリエッタも、知らぬ存ぜぬを、未だに貫き通してるし……」
「ん? 駆け落ち?」
「そう。当時の勇者は、ガリム王国の王子だったんだけど、家督なんか継ぎたく無いとか言って、赤龍アリエッタの背中に乗って、どこかに逃げて行ったのよ!」
「そこじゃなくて、駆け落ちって?」
「ん? 2人、付き合ってたから」
シャンティーは、またまた衝撃的な事を、事も無げに言う。
「あの蜥蜴女と付き合うって、そいつどんな神経してんだよ!
だって、尻尾が生えた蜥蜴人間だぜ?
猫耳や狐耳の奴らなら、ただの毛深い女だけど、低温の爬虫類女なんかとヤレるかよ!」
ーーー
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