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44. 女神ナルナー

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「おおい! やって来たぞい! 早く、あの美味い酒を飲ましやがれ!」

 ずんぐりむっくりした髭面のドワーフが、シャトー・ロードグラスホッパー1965の空瓶片手に、グラスホッパー領にやって来た。

 他にも、金髪碧眼の超絶美人のエルフに、赤髪で、ヨナンぐらいの歳に見えるチャーミングなハーフリング。
 そして、ツンツンツ頭で、口元をスカーフで隠してる職業シーフの男の計4人である。

 因みに、4人のステータスはこんな感じ。

 名前: ゴンザレス
 種族:ドワーフ
 称号: 酒豪、大金槌鬼
 スキル: 金槌Lv.2、火魔法Lv.2、鍛治Lv.2 、鑑定+5
 ユニークスキル: 身体強化Lv.2
 力: 2200
 HP: 2500
 MP: 500
 器用: 800

 名前: エリス
 種族: エルフ
 称号: 氷の微笑、必中娘
 スキル: 氷魔法Lv.2、弓Lv.3
 ユニークスキル: 身体強化Lv.2、命中Lv.2
 力: 800
 HP: 750
 MP: 3000
 器用: 100

 名前: リサリサ
 種族: ハーフリング
 称号: 緑の癒し手 ロリババア
 スキル: 水魔法Lv.2、緑魔法Lv.2 光魔法Lv.2
 ユニークスキル: 身体強化Lv.2 素早さLv.2
 力: 600
 HP: 600
 MP: 2500
 器用: 150

 名前: ハヤブサ
 種族: 人族
 称号: 影忍
 スキル: 索敵Lv.2、隠蔽Lv.1、暗器Lv.2、影使い
 ユニークスキル: 身体強化Lv.2 素早さLv.2
 力: 1200
 HP: 1600
 MP: 150
 器用: 360

『ご主人様、エドソンさんと、エリザベスさんの昔の仲間の人達、滅茶苦茶なステータスしてますよ……』

「まあ、エドソンは、大戦の英雄だし、エリザベスは公爵令嬢だし、その仲間だったら、こんなもんだろ」

 ヨナン的には、全く驚かない。
 だって、あのエドソンとエリザベスの旧友なのだから。

「エリザベス! エドソン! 来てやったわよ!早く、自慢の子供達を見せてよ!」

 どう見ても、「自分もチビっ子だろ!」て、突っ込みたくなるようなハーフリングのリサリサが騒いでいる。

「本当に、あの寂れた領地が、変わったものね……」

 超絶美形なエルフのエリスが、全く顔を崩さずに喋る。

「……」

 ハヤブサは、無口の男なのか無言。

「みんな! 来てくれたの!」

 エリザベスが、皆を出迎える。

「エリザベスの頼みなら、当然よ!
 なんてたって、『熊の鉄槌』のリーダーの頼みなんだもん!」

「以下同文よ!」

「……」

 おしゃべりのリサリサの意見に、クールビューティーのエリスと、多分、ハヤブサさんも同意のようだ。

「ワシは、この酒じゃな!」

 ドワーフのゴンザレスは、想像通りの回答。

『ご主人様、何か急にファンタジーぽくなってきましたね!
 話によると、亜人はレアスキルを多く持ってて、人族より、身体能力が高いので、冒険者をやってる人達が多いとの事です』

 鑑定スキルが、ウンチクを教えてくれる。

「ねえねえ! この子達が、エリザベスの子供達!」

 リサリサが、俺とコナンとシスの元にやって来る。

「ん? ちっこい2人は、美形のエリザベスとエドソンに面影が似てるけど、この黒髪の男の子は、ちょっと毛色が違うわね?
 まあ、好みの顔では有るんだけど」

 なんか、リサリサがヨダレを垂らして、俺を見てくる。というか、アレだ。
 このリサリサとかいうハーフリングは、絶対に、ショタコン女だ。
 俺とコナンとシスを見る目がヤバ過ぎる。

「おっ? どれどれ、エドソンとエリザベスの子供なら、凄いスキルを持ってるじゃろうて! ワシが直々に、この鑑定スキル+5で見てやるワイ!」

 ゴンザレスが、どこからだしたのか酒を飲みながら、俺達を勝手鑑定する。

 名前: コナン・グラスホッパー
 スキル: 剣術Lv.2、格闘Lv.2
 ユニークスキル: %↓@5スキル
 力: 120
 HP: 300
 MP: 120

 名前: シス・グラスホッパー
 スキル: 薙刀Lv.2、殴り僧侶Lv.2
 ユニークスキル: &+×スキル
 力: 120
 HP: 250
 MP: 200

 名前: ヨナン・グラスホッパー
 称号: \♡♡
 スキル: 大工スキル、鑑定スキルLv.3
 ユニークスキル: ×××
 力: 50
 HP: 100
 MP: 80

「フムフム。流石、エドソンとエリザベスの子供達じゃな。良いレアスキルも持ってるし、とても子供とは思えないステータスじゃ!
 これは、将来、楽しみじゃわい!
 て? んんんんーー?!」

 コナンとシスを見て感心してたゴンザレスが、ヨナンのステータスを見て、2度見する。

「何じゃと! ドワーフ族憧れの伝説のスキル、大工スキルを持ってるじゃと!
 それに、鑑定スキルLv.3じゃと!
 いままで、鑑定スキルLv.2に至った者もおらんと言われてるのに、まさかのLv.3!!」

 ゴンザレスが、ヨナンの目の前で、唾を飛ばし絶叫してる。
 というか、滅茶苦茶酒臭い……

「まさかじゃが、まさかとは思うが、この女神の雫を作ったのは、このわっぱ《わっぱ》ではないかの……」

 ゴンザレスは、シャトー・ロードグラスホッパーの空瓶を握りしめて、エドソンとエリザベスに尋ねる。

「そのまさかよ。私の可愛いヨナン君が、そのシャトー・ロードグラスホッパー1965を作ったのよ!」

 エリザベスは、ゴンザレスに教える。

「やはり……大工スキルを持つ者だけが、女神の雫を作れるという、ドワーフ族に伝わる伝承は本当じゃったんじゃな!」

 ゴンザレスは、シャトー・ロードグラスホッパーの空瓶を頬擦りしながら号泣している。

「ふ~ん。この可愛らしい坊やがね~。将来有望じゃん」

 リサリサが、舐めるようにヨナンを見てくる。

「ダメですから! お兄ちゃんとは、私が結婚するんです!」

 シスが、何を思ったのか、リサリサに対抗意識を燃やしている。

「それから、もう1人。鑑定スキルちゃん、自己紹介して、この人達は信用できる人達だから!」

『ハイ! 皆さん。初めまして! 私はご主人、ヨナン・グラスホッパーのスキル。鑑定スキルLv.3です! 以後宜しくお願いします!』

 鑑定スキルが、念話で皆に挨拶する。

「な……何じゃと! 鑑定スキルは、Lv.3ともなると、自己を持ち念話で喋れるようになるじゃと!」

「これは驚きね。長い歴史があるエルフの伝承にも、喋る鑑定スキルなんて伝わってないわ……」

「うわぁーー!スキルが喋ったわーー!」

「……」

 元『熊の鉄槌』のメンバーは、それぞれ各々に驚いている。

『因みに、先程、ゴンザレスさんが見てた、コナン君と、シスちゃんと、ご主人様のステータスの完全版は、こんな通りですね! 実際は、もっと性格やら、運やらもカスタマイズして表示する事も出来ますけど』

 名前: コナン・グラスホッパー
 スキル: 剣術Lv.2、格闘Lv.2
 ユニークスキル: みじん切りLv.3
 力: 120
 HP: 300
 MP: 120

 名前: シス・グラスホッパー
 スキル: 薙刀Lv.2、殴り僧侶Lv.2
 ユニークスキル: 水魔法Lv.2
 力: 120
 HP: 250
 MP: 200

 名前: ヨナン・グラスホッパー
 称号: 女神ナルナーのお気に入り
 スキル: 大工スキル、鑑定スキルLv.3
 ユニークスキル: ×××
 力: 50
 HP: 100
 MP: 80

「何じゃと! 鑑定スキルLv.3ともなると、念話の他にも、共有スキルまで備わっておるのか!
 しかも、ユニークスキルまで表示させるじゃと!
 今日は、驚かされてばかりじゃわい。
 て、エエエェェェェェェェェェェーー!
 しょ……称号が……女神ナルナー様のお気に入りじゃとーー!」

 なんかまた、ゴンザレスがヨナンの前で、酒臭い息と、唾を飛ばしてくる。

「なんと……これは……」

「素晴らしい! これは私の結婚相手決定だわ!」

「……」

 ハヤブサ以外の、亜人チームが、相当、驚いている。

「私は、ヨナン様に一生仕えます。私を、ヨナン様の騎士に任命して下さい!」

 突然、エルフのエリスが、片膝をついて懇願してくる。

「あの、これは?」

『ご主人様。エルフ族は、特に女神ナルナー信仰が強烈に強いんですよ。
 自分達の事を、女神の愛し子で、写しみだと本気で考えてる種族ですから。
 そんなエルフ族が、ご主人様の称号、女神ナルナーのお気に入りとか称号を見ちゃったら、そりゃあ、生き神様として奉っちゃいますよ!
 それからウンチクですけど、エルフ族が、いつも澄ましてるのは、女神の写しみとして己を律してるらしいです。女神ナルナーは、大口を開けて、絶対に笑わないと思ってるらしいです。
 まあ、実際の女神様を見ちゃったら、幻滅すると思いますけど!』

「ん? 女神ナルナー様を見た事ある?」

 エリスが、鑑定スキルの何気ない言葉に反応する。

『ん? そりゃあ、ご主人様も僕も、女神ナルナーに会った事ありますし』

「本当ですか!」

 超絶美形のエリスが、ヨナンの目の前まで来て聞いて来る。

「俺は、全く覚えてないけど、鑑定スキルが見せてくれた映像に、確か、女神ナルナー出てたな……」

「鑑定スキル様! その映像を、この私めに見せくれませんか!」

『ご主人様、どうしましょう……』

「見せてやれば?減るもんじゃないし」

 こうして、鑑定スキルLv.3により、女神ナルナーの鑑賞会が始まった。

 そして、

「凄いです! 凄いです! やはり女神ナルナー様は、素晴らしく、美しい方でした!」

 エリスは、号泣しながら、何故か天に祈ってる。

「スゲエーや! ヨナン兄ちゃん! 女神様にタメ口で交渉するなんて!」

「やっぱりお兄ちゃんは、カッコイイ」

 コナンとシスも、どうやら改めて、俺の偉大さが分かったようである。

「話には聞いてたけど、女神ナルナーは、本当に実在してたのね……」

 エリスも、ちょっと放心している。

「おお! ワシが生きてる時代に、大工スキルをワシの親友の子供に与えて下さり、ありがとうございますじゃ!
 ワシは、存分に女神の雫を味わおうと、思っとります!」

「優良物件、優良物件よ! ヨナン君と結婚したら、ずっと楽して暮らせるわよーー!
 親友の息子だったら、絶対に結婚できちゃうし!」

「……」

 元、熊の鉄槌のメンバーも、それぞれ感動してる。

「ヨナンが、例え、女神のお気に入りだとしても、俺の息子なんだよーー!」

 しかし、エドソンは、いつもと変わらぬ熱量で、女神が居るであろう天に向かって、大声で叫んでいたのであった。

 ーーー

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