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75. スマホ

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『ご主人様、モテモテですね』

 寮の部屋に戻ると、鑑定スキルが冷やかしてくる。
 まあ、寮の部屋と言っても地下の部屋なんだけど。

「まあ、ある一定の血筋の者達だけにだけどな」

 ヨナンは、謙遜する。

『でも、嫌な気はしないでしょ!』

「まあな。中々、人間、好いてくる人間を嫌いになれないよな」

『皆と結婚しちゃえばいいんじゃないですか』

「それって、日本人の倫理観として不味いだろ!」

『多分、この国の倫理観からも逸脱してると思いますよ!』

「やっぱりかよ!」

 どうやらやっぱり、イーグル辺境伯を祖とする血筋はおかしいようである。
 まあ、イーグル辺境伯自体が、相当変わり者だし、強くて甲斐性さえあれば、血筋など関係ないという考えなのだ。
 とか言いつつ、強いスキルを取り込みたいだけなので、ある意味血筋絶対主義なのかもしれないけど。

『多分、これはDNAに刻まれた血筋ですね。代々強い血の者を一族に取り込んできたので、強い男を見ると、思わず股を開いてしまうんじゃないですか?』

「お前! 言い方!はしたな過ぎるぞ!」

『僕、スキルなので嘘言えないだけなんですけど。というか、間接的に言ってたつもりなんですけど?
 もっと、S○Xしたくなるとか言った方が良かったですか?』

「絶対ダメ!!」

 兎に角、ヨナンは、イーグル辺境伯を祖とする血筋の者に滅茶苦茶モテる。
 シスとカレンだけが特別だと思ってたが、そうでは無かったようだ。
 しかも、奴らは、従姉妹同士で俺を共有しても良いという考えで、割り切った考え方をしている。
 まあ、妻同士が揉めなくて良い事なんだけど。
 親子丼を越える、従姉妹丼。もしかしたら悪くないかもしれない。

 ヨナンも割り切れば、異世界ハーレムを成し遂げられてしまえそうだ。

『アッ! またアスカが、先輩の2年生の男にちょっかい掛けてますよ!
 なんかのイベントじゃないですか?』

 鑑定スキルに言われて、部屋のモニターを見てると、確かにアスカが、カララム王国学園の広大な庭の一角にある噴水のある広場で、多分、2年生と思われる男となんか、いい感じで話している。

『行かなくていいんですか?』

「まあ、いいんじゃない?どうせ、魅了効かないんだし」

『というか、いい感じですよ。アッ! 今、チューしましたよ!』

「何だと!」

 ヨナンは、モニターに釘付けになる。

「というか……何でだ?」

『ご主人様! 見て下さい! この先輩、新しい制服着てないですよ!』

「まさか……何で?」

『多分、新しい制服をクリーニングか何かに出してたんじゃないですか?
 新入生の1年生は、全員、グラスホッパー商会が作った制服着てますけど。2年生以上は、結構、未だに古い制服着てる人居ますもんね!』

「チッ! 抜かった……」

 ヨナンは、舌打ちを打って悔しがる。

『で、どうするんですか?』

「どうするも何も、どうしよう?
 コイツと、アスカがくっついた所で正直どうでも良いし、俺としては、従兄妹のカトリーヌが断罪されなかったら別にいいかも……」

『確かに、ご主人様にはどうでも良い問題だったかもしれませんね』

 そう、俺としては、アスカにザマー出来ればそれでいい訳で、アスカが知らない男とくっつこうが、別れようが本来どうでも良い話なのだ。
 ただ単に、たまたま目に付いた事を邪魔したいだけで、今日みたいに、家でくつろいでる時に、わざわざ出掛けてまで邪魔したいとは思わないのである。
 それより、自分の余暇の時間を大切にしたいし。

『じゃあ、今回は、見逃すって事で宜しいんですか?』

「ああ。しっかり録画だけはしとけよ!
 どうせ、他の攻略対象にもちょっかい出すんだろ?
 でもって、また、別の奴とチューした所とかも録画しといて、色々盛り上がった所で、全員で鑑賞会でもさせればいいんじゃないか?」

『そう攻めますか?』

「ああ。作戦変更! ルイ王子だけには、状態異常無効制服着させといて、他の1年生以外の攻略対象には、状態異常無効を解除してもいいかもな!」

『なるほど、ルイ王子をアスカに攻略させちゃうと、カトリーヌさんが断罪される未来が生まれちゃいますけど、他の攻略対象なら問題ないと?』

「1年生は、しっかり状態異常無効のままにしとけよ! 今でも、カトリーヌはストレス感じてるみたいだから!
 多分、ストレスが爆発すると、学園の生徒の頭が、今日のホーンラビットみたいに破裂しちゃうかもしれんからな!」

『了解です! 1年生と、ルイ王子以外の上級生の状態異常無効だけ解除しとけばいいんですね!
 その辺の所は、セバスチャンさんに念話を飛ばして指示しときます。多分、今日明日中に、グラスホッパー商会の忍者部隊が、2年生以上の上級貴族男子の制服を、状態異常無効無しの制服に入れ替えられると思います!』

 何か、また、鑑定スキルが、サラッと凄い事を言った。

「念話を飛ばすって、セバスチャンさんが居る俺の地上の家まで、ここから50メートルもあるぞ!」

『50メートルぐらい余裕ですよ!
 ご主人様は、ここに居るだけで、セバスチャンとそれからエリスさんに、僕を通じて指示出来ますんで!』

「お前、トランシーバーかよ!」

『トランシーバーって、せめてスマホと言って下さい!』

「確かに、お前、検索得意だからな」

 こんな感じで、今後のアスカ対策法が決定したのだった。
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