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81. 野営訓練スタート
しおりを挟む「それでは、野営訓練が行われる場所を発表する!
イーグル辺境伯領、ヤヤヤム高地!
今日から、1週間後。5月20日8時までに、イーグル辺境伯領主城前に集合以上! それでは野営訓練スタート!」
朝のホームルームで、いきなりSクラスの担任グロリア先生が、野営訓練の開始を発表する。
「「ええーー!今からスタートで、しかも現地集合ー!」」
なんか、よく分からんが野営訓練がスタート?した。
何も知らなかった一部の生徒達が騒いでいる。
「今回は、結構、遠いみたいですね」
「ああ。いつもなら遠くても、徒歩2日くらいの距離の筈なのに」
野営訓練の事を把握してる上級貴族達が、話しあっている。
まあ、俺も、セント兄や、アン姉ちゃんに聞いて、野営訓練は現地集合って知ってたんだけどね。
しかも、どのような手段を用いて行っても良かったりする。
上級貴族が居る班などは、家の馬車を使って行ったり、貧乏人だけの班は、徒歩で行ったり、荷馬車で行ったり。
そう。実は、班分けの時から、戦いは始まってたのである。
とか言っても、Sクラスは結構、上級貴族がたくさん居るので、ここら辺は何も問題無いのだが、一番落ちこぼれが集まるDクラスなんかは、荷馬車も借りられなくて、集合場所に間に合わなくて失格なんて事も、たまに有るらしい。
多分、今回は、相当Dクラスの奴らは焦っているだろう。
王都から、イーグル辺境伯領都まで、徒歩で8日間かかると言われているのだ。
必然的には、歩きではもう間に合わない。
なので、金が無い班は走るしかないのだけど。
というか、多分、Dクラスの班と思われる団体が、3組ほど、校舎から駆け出してるし。
『ご主人様! エリザベスさんに連絡取りました!地上の屋敷の方に、キャンピングキッチンカーを御者付きで3台回してくれるとの事です!
それから、今からロードグラスホッパーホテル・イーグル支店のスゥィートルームを2部屋取っておいてくれるそうです!』
出来る鑑定スキルが、既に動いている。
『今、地上の屋敷のセバスチャンさんから、念話で連絡がありました!
万全を期す為に、女子生徒達の専属マッサージ師と専属メイド達も全員、イーグル辺境伯領に向かうとの事です!
勿論、セバスチャンさんと、護衛としてエリスさんも同行するようです!』
なんか、学校の行事だというのに、外野の方がヤル気を出してしまっている。
多分、俺が、必ず優勝すると、女子達に口走ってしまったのが原因であろう。
それを伝え聞いた、グラスホッパー準男爵家に仕える者達と、グラスホッパー商会が本気になってしまったのだ。
主様を、商会長を、絶対に優勝させるんだと!
俺の班の女子達は、一旦、準備の為に自分の寮に帰るという事で、2時間後に、再び俺の地上の屋敷に集合する流れになった。
王都からイーグル辺境伯領まで、荷馬車で3日~4日。
しかし、グラスホッパー商会のキャンピングキッチンカーなら、2日で着いてしまう。
何せ、キャンピングキッチンカーは、キャンピングカーだからね。
御者が、2人制で交代で運転してくれて、徹夜で走るし、そもそもキャンピングカーなので、荷馬車の中で寝ればいいだけだしね。
俺達の班の作戦は、早めに、イーグル辺境伯領に到着して、ヤヤヤム高原の下見をして、作戦を練る事。
トラップとかを仕掛けておくのもいいかも。
基本、野営訓練は、戦争の為の訓練なのだ。
貴族は国から命令が下れば、部下を従えて従軍しなければならない。
その時、その貴族の財力や武力やコネや情報力が試される。
死に戻り前のグラスホッパー騎士爵には、武力はそこそこ有ったと思うが、財力とコネと情報力が全く足りなかった。
そのせいで、トップバリュー男爵家に嵌められて、エドソンも兄達も死んでしまったのだ。
ヨナンは、もう、そんな失敗など絶対にしない。
使える物は、何だって使う。
野営訓練の場所も、イーグル辺境伯領だったのもヨナン的にはラッキーだ。
イーグル辺境伯は寄親だし、グラスホッパー商会の支店まである。
トコトンやってやる。ついでに、アスカにもザマーしてやる。
戦争の恨みは、戦争訓練で返すのだ。
ーーー
予定通り、2日後にイーグル辺境伯領、領都イグノーブルに到着した。
「ヨナン君。本当に私達、ここに泊まれるの?」
ロードグラスホッパーホテルのスゥィートルームに案内すると、班の女子達が聞いてくる。
「ああ。好きに使ってくれ! 専属マッサージ師と専属メイドも連れて来てるから、しっかり旅の疲れも取ってくれよ!
そして、夕食後に作戦会議を開くから、隣の俺の部屋に集合な!」
「ヨナン君の部屋ですって?! そしたら新品の下着を着けて行くわ!
そして、既成事実を作って、そのままヨナン君と結婚するのもいいかも!」
「「私も! 私も!ヨナン君と結婚する!!」」
なんか、女子達が、最高級ホテルロードグラスホッパーホテルの最上級の部屋を前にして、テンションが上がってるようだ。
多分、結婚してというのも冗談だろう。
野営訓練の為に、ずっと一緒に特訓してたので、距離が近くなってきて、気軽に冗談も言えるようになってきたようだ。
じゃなければ、班の女子、9人中9人が同じように、俺と結婚するとか言う訳ないしね。
ヨナンが、女子達の部屋を出ると、女子達が会議を始める。
「どうやったら、ヨナン君と結婚できるだろう。絶対に、ヨナン君のお嫁さんになったら幸せになれるよ!」
「それ、言えてる! ヨナン君、スマートだしガツガツしてないし!
普通に、女性ファーストに接してくれるし、お金持ちだし、贅沢させてくれるし、顔もまあまあ格好良いし、誰に対しても優しいし、言う事ないよね!」
「しかも、私達の班の女の子と全員結婚できるだけの財力もあるし、全員を分け隔てなく愛してくれそうだし!」
「アスカの班に行った子なんて、私達の待遇を教えたら、泣いて悔しがってたよ!」
「そうよね。ロードグラスホッパーホテルのスゥィートルームなんて、お金が幾らあっても、普通、予約も取れないしね!
しかも、専属マッサージ師と専属メイド付き!
食事も美味しいし、家族用のお土産もたくさんくれるし!
私、もう、この生活から抜けれそうもないわ……」
「それは言えてるわね……野営訓練が終わっても、どうにしかて、ヨナン君とずっと今のような関係を続けれるようにしたいよね……」
「それなら、良い考えがありますよ!」
既に、グラスホッパー商会に入社してるスーザン・スパイダーが口を開く。
「かくかくしかじか……」
「成程、この野営訓練が終わったら、私もヨナン君に相談してみよ!」
「「私も!私も!」」
女子達が、ヨナンに内緒で何やら怪しい密談をしているなどとは、ノンビリ旅の疲れをとる為に、今から温泉にでも入りに行こうかなとか思ってるヨナンには、到底、知る由もなかった。
応援ありがとうございます!
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