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88. 9人の女騎士
しおりを挟む次の日、次々と学園が用意した荷馬車で、生徒達がカララム王国学園へと帰って行く。
まあ俺は、キャンピングキッチンカーが有るから、のんびり帰る事にする。
ちょっと、大森林で狩りをしてみたいし。素材もゲットしたい。
王都の地下宮殿の建設で、結構、素材を使ってしまったのだ。
なのだが、俺の騎士のエリスが居る事は分かるのだが、何故か従兄妹のカトリーヌと、俺の班の女子9人も王都に帰らないで俺に着いてきた。
もう、野営訓練は終わり、班は解散した筈なのに何でだろう……。
俺は、念話で鑑定スキルに聞いてみる。
『ああ。なんか班の子達、ご主人様の親衛隊になるとか言ってましたよ。地球で言うとアイドルの追っ掛けみたいなもんじゃないですか?』
「俺って、アイドル顔してねーだろ!」
『確かに。顔は普通の上ですかね……だけれども、貴族子女にしてみたら、ご主人様は超優良物件ですから、折角、知り合えたチャンスを逃したくないんじゃないですか?』
「女子達の狙いは、俺の財産かよ!」
俺は、改めてショックを受ける。
『まあ、それも有るんじゃないですか?あんな、どこかの王国のお姫様のような暮らしを味あわせたら、誰しも抜け出したくなくなりますよ!』
「確かに……これでもかと、至れり尽くせりで持て成したけど、俺は女子達に、キツイ修行もやらせたぞ!」
『それが、飴と鞭になってしまって、ご主人様に心酔したゃったんじゃないですか?
厳しい修行の後に、まあまあイケメンのご主人様に優しくされたら、そりゃあ、どんな女の子もコロッと惚れますよ!』
「だけれども、やっぱり金だろ?」
『ですね!お金90パーセントだと思います!』
鑑定スキルは、言い切った。
ーーー
そして、大森林に行く道すがら、女子を代表して、マリンが話し掛けてきた。
「あの、ヨナン君。私達をエリスさんと同じように、ヨナン君の騎士にして欲しいんだけど、駄目かな?」
なんか、マリンが、ヨナンの想像の斜め上の話題をふってきた。
「えっと、騎士って、普通、男がやるもので、マリンさん達は、まだ若くて他の男性と結婚とかしなくちゃならないのに、意味が全く分からないんだけど?」
そう。普通、若い女子が騎士などやらないのだ。どっかの姫様が、たまに若気の至りで、取り巻きの貴族子女を引き連れて騎士ごっこをする時もあるけど、それ以外は普通有り得ない。
「じゃあ、私達と結婚して!」
「それは、ちょっと……」
結婚など、絶対に嫌だ! だって、絶対に俺の財産目当てに違いないし。
「じゃあ、騎士にして!お願いします!」
9人の女子は、片膝を付き懇願してくる。
『ご主人様。レディー達に、頭を下げさせ続けるなんて、とても失礼な事ですよ!』
なんか、鑑定スキルに怒られた。
「じゃあ、どうすればいいんだよ!」
『騎士にしちゃえばいいんじゃないですか?
どうせ、ご主人様も兵士を雇わなければならないんですから?それが、男じゃなくて若い女の子になっただけの話では?』
「だけれども、親御さんとか大丈夫なのかよ?自分の娘が、どっかの大貴族に嫁ぐでもなく、たかが準男爵の騎士になるって言ったら、俺だったら卒倒してしまうぜ!」
「あの。その辺は大丈夫です。ヨナン君が渡してくれた家族用のお土産を渡したら、うちの親も何が何でも、どんな手を使っても、ヨナン君をモノにしなさいと言ってたので!」
マリンが、大真面目な顔をして答える。
まあ、ドラゴン肉渡したり、ロードグラスホッパーホテルのタダ券渡したり、超絶貴重なシャトー・ロードグラスホッパー1965を10本程度持たしたのが効いたかもしれない……。
「そ……そうなんだ……じゃあ、騎士でもいいのか?」
「グラスホッパー準男爵家と関係を持つ事が大事なので!騎士でも構いません!
それから、私達、全員の家が、グラスホッパー準男爵の寄子となりますので、庇護の方は、宜しくお願い致します!」
やっぱり、俺の金目当て……。
寄子になるという事は、即ち、俺がマリン達の家の面倒を見なくてはいけない事を意味する。というか、地位が低い準男爵の寄子でいいのか?
「ていうか、マリンの家って、俺より地位が上の子爵家じゃなかったっけ?」
「何も問題有りません! グラスホッパー準男爵家の方が、今では力もありますし、経済力も有りますから!
それに、私達も、ヨナン君が準男爵で終わる男とは思ってませんから!
たくさん出世して、私達を養って下さいませ!」
なんか、期待されるのは嬉しいけど、ちょっとな……。
『まあ、いいんじゃないですか?打算的ですけど、マリンさんの親御さん達も、ご主人様に懸けると言ってる訳ですし、ここは、ご主人様も男を見せる時ですよ!』
「お前、いい感じで言ってるけど、マリン達と話し合ってただろ!」
『バレましたか? 僕はマリンさん達の味方ですので! この野営訓練で仲良くなったんです!』
「裏切り者め!」
『裏切ってなんかいませんよ! 全てはご主人様の為です!僕の行動原理は、全てご主人様の為に動いてるんですからね!』
鑑定スキルは、開き直った。
まあ、俺の為に動いてるというのは、本当だろうけど。
「ヨナン君! どうか私達をヨナン君の騎士にして下さい!」
マリン達は、ついに土下座までしてヨナンに頼む。
「糞っーー!分かったよ。頭を上げてくれ!お前達を、俺の騎士にしてやる!」
もう、ここまで来たら仕方が無い。
女がプライドを捨てて土下座までしてるのだ。ここで、断ってしまっては男がすたる。
「ありがとうございます! 私達一同、ヨナン君に身も心も捧げる覚悟が出来てます!
今日の夜にも、10P致しましょう!」
マリンが、おかしな事を言ってきた。
騎士とは、すぐにオークに犯される異世界ものの女騎士の事を言ってたのか?
「えっと……何言ってんの……10Pとかやんないからね……」
「そんなプレイも、全然ヘッチャラでやる覚悟が有ると、私達は言ってるだけですので!」
ヨナンは、マリンの突然の言葉に、思わず股間のテントがピンピンに張ってしまったが、すぐに大森林の方角に向き直ると、誰にもバレないように、何食わぬ顔をして先頭を走ったのだった。
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