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87. 野営訓練終了!!

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「ヨナン君! 次はどうする?」

 射撃部隊のマリンが聞いてくる。

「Aクラスの奴らを殲滅してくれ!」

「了解!」

 マリンが、元気に返事をする。
 というか、余裕そうだ。

 まあ、良く考えれば、マリンは走ってるだけだしね……。
 それを言ったら、アイさんは弓を放ってるだけ。

 でもって、昼までにAクラスの班を殲滅してしまった。

『ご主人様?どうするんですか?Aクラスを殲滅した陣地を確保するんですか?』

 鑑定スキルが聞いてくる。

「無しだな。うちの班を分けるのは得策じゃない。俺が居ない所に、カトリーヌや、アスカの班の『恋愛イチャイチャキングダム』のイケメン2人が攻めてきたら殺られるからな」

『確かに、カトリーヌや、イケメン君達は、チートですからね。まあ、暗殺は出来ると思いますけど、真正面からの戦いだと、ご主人様抜きだと厳しいですよね!』

「まずは、Sクラスの生徒をマリン、アイさんチームで削ってく。
 アスカのチームは、男子全員。カトリーヌのチームも男子6人くらい削っとこうか!」

『軽く言いますね』

「ウチらの暗殺チームなら、余裕だろ?」

『確かに』

 てな訳で、全てマリンとアイさんにお任せると、3時間後には、俺のリクエストを完璧に答えてくれた。

「やっぱり、建物の外からの攻撃は反則だよな……」

『ですね。まさか陣地の建物の中に居るのに、致命傷を負わされとは誰も思いませんもん!
 これもそれも、既に、野営訓練が始まる前に、陣地の建物の中まで監視カメラを設置出来たからですよ!』

「だな」

 ヨナンは、あまりに簡単に勝負が終わってしまって、ちょっと拍子抜けしてしまう。

 アスカの班の残った女子達は、一つの陣地に固まって震えてるし。
 カトリーヌの班も、4つ確保していたうちの2つの陣地を引き払って、現在、2つの陣地に籠城。
 どこから飛んでくるか分からない、アダマンタイトミスリル合金の矢に戦々恐々としているのである。

「終わったよ!」

「任務完了した」

 マリンとアイさんが陣地に戻ってくる。

「じゃあ、陣地の警戒をしつつ、野営訓練が終わる1時間前くらいに、他の空っぽの陣地を占領して終わりだな!」

「「了解!」」

『結局、スーザンさんと、マリンさんと、アイさんだけで勝てちゃいましたね!』

 皆がどこかに行くと、鑑定スキルが話し掛けてくる、

「お前、他の女子達も、これから陣地確保の仕事があるだろうが!
 それから、お前の念話と共有スキルも役に立ったぞ!」

 一応、窘めてから、鑑定スキルを持ち上げとく。
 煽てると、伸びるタイプらしいので。

『やっぱり、一番の功労者は、僕で間違いないですよね!』

 嘘が言えない鑑定スキルは、やはり、謙遜などしなかった。

 でもって、野営訓練が終わる朝6時の1時間前まで、普通に過ごし、空いてる陣地を確保し、見事、ヨナンの班は野営訓練1位で終わる事に成功したのだった。

 ーーー

 野営訓練が終わると、ヨナン班は睡眠もしっかりとり、美肌温泉にも浸かってるので、血色も良く肌もツヤツヤ。

 一方、他の班の生き残りは、最終日まで爆竹の音と、室内であったとしても、いつ放たれてくるかも分からない弓矢に怯え、完全に心神喪失で、身も心もボロボロの状態。

 ちょっと可哀想なくらい。

 まあ、しょうがないので、Sクラスのアスカ以外の女子達には、ロードグラスホッパーホテルのどこの支店でも使えるタダ券をあげた。このまま終わってしまうと、鬼畜だと思われちゃうしね。
 だって、結局、野営訓練中、爆竹の嫌がらせで一睡もさせなかった訳だし。
 身も心もリフレッシュしてもらわなければ!

 ヨナンは、女子達の心のケアも忘れないのである。

 でもって、野営訓練が終わり、一日休みをとってから、イーグル辺境伯主催の野営訓練終了パーティーが開かれた。

「ガッハッハッハッハッ!やはり、うちの婿殿の班が優勝だったな!
 そして、カトリーヌの班も2位だったか、良くやったぞ!」

 イーグル辺境伯は、ご満悦。

 そして、

「アンタ、私だけロードグラスホッパーホテルのタダ券くれないなんて、覚えてらっしゃい!」

 アスカがやって来て、しょうもない因縁をつけてくる。
 しっかりと、アスカへのザマーも成し遂げ、ヘイトも稼いだようだ。

『ご主人様、地味に、アスカへの嫌がらせが効いてますね!』

「ああ。俺の恨みはまだまだ消えないけどな! エドソンと兄貴達を殺し、そしてナナを、トップバリュー男爵の性〇隷にした恨みは、こんぐらいじゃ晴らせないんだよ!」

『でも、トップバリュー商会も、相当落ちぶれてきてるみたいですね。
 まさかアスカが、ライバル商会が経営する、ロードグラスホッパーホテルのタダ券を欲しがるなんて』

「ああ。この調子でトップバリュー商会を締め付けてやる!
 まあ、その辺は、勝手にエリザベスがやってくれてると思うけど」

『ですね! 女の恨みは怖いです! だって、良く考えたら、ご主人様は実際、エドソンさんやセントさん達と血の繋がりのない他人ですけど、エリザベスさんから言わせたら、アスカとトップバリュー商会は、最愛の旦那様と息子達を殺したにっくき敵ですからね!』

「なるほど、だからエリザベスは、俺よりもアスカやトップバリュー商会を目の敵にしてるんだな!」

『ご主人様……もしかして、今更気付きました?』

 なんか、鑑定スキルが呆れてる。

「ああ。まさか、エリザベスが俺より、アスカとトップバリュー商会を憎んでるとは思ってもみなかった。
 だって、実際経験した訳じゃなく、俺の経験した記憶を見ただけなんだぞ?」

『見ただけでも、殺られた事には変わりませんからね。しかも、その時、気付けなくて、むざむざエドソンさんと、セントさん達、そしてご主人様を亡くしてしまった事を後悔してるんじゃないですか?
 実際、エリザベスさんは公爵令嬢で、その当時も、地位も力もあった訳ですから、ただ、それを全く使わなかった。
 それを物凄く後悔していて、今生では、全力でアスカとトップバリュー商会に復讐してるんですよ!』

「女の恨みつらみは、怖えな……」

『ですよ! だから、僕にも優しくしなきゃいけないですよ!』

「ん? やっぱり、お前って女なのか?」

『僕の精神は、完全に女の子です!僕自身を鑑定しても、今では、しっかりと女の子って出てきますから!』

「そうなの?」

『そうですよ! だから、ご主人様は、女の子である僕に対して、優しく接して下さい!
 じゃなければ、どうなってもしりませんからね!』

「お前、俺を脅すのかよ!」

『脅しませんよ! いつもご主人様に酷いこと言われても、結局、いつも従ってるじゃないですか!』

「それは、お前が俺のスキルだからだろ?」

『ですよ。僕、鑑定スキルなんで!スキルは、持ち主の役に立つ為に、存在してるんですから!』

 自我があり、女の子と言い張る鑑定スキルなのだが、絶対に、スキルの枠からはみ出さない強い決意?システム上の決まりだけは守るようであった。
 
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