転生チートで夢生活

にがよもぎ

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第7章 建国

第247話 -大海原 2-

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「うーん………何処に居るんだろ?」
 
海中を歩く事30分程。目当てのお化けイカ達は見つからなかった。テイタムにも聞いてはいるのだが、お化けイカ達は巣を持たないらしく、色々な所を流れているそうだ。

道中、ソードっていう魚を狩猟した半魚人マリーマン達とあった。彼等にお化けイカを見かけなかったか聞いたが、誰も見てないとのことだった。誰かがテイタムに何しに行くのかと聞いた様で、話を聞いた半魚人マリーマンが着いてこようとした。だが、テイタムがそれを断り、村に戻って警戒する様に伝えた。彼等は納得していなかったが、村が手薄になるのはヤバイと理解したらしく、渋々ながら了承していた。

「前に見かけた場所に近いが……………いや、下を見てみろアルス」

「下?……ウゲッ!?」

足元を見てみると骨が散らばっていた。しかし、それは魚の骨の様で、何故か綺麗に頭と尾だけ残っていた。

「漫画みたいな食べ方しやがる…」

「間違い無い。これはお化けイカの仕業だ」

「尾頭付きが?」

「奴等は内臓を好み、卵を産み付ける際には内臓だけを食すのだが、この食べ方は奴等しかしない。他の魔物は骨すらも残さないからな」

「ウゲェ………グロテスクな食べ方やな」

「……見た所、ここに戻ってくる可能性はあるな」

「そうなん?」

「奴等の食べカスは縄張りの証拠だからな。知能がない魚はここを泳ぐだろう」

「じゃあ待ち伏せでもするか?」

「別にしても良いぞ?だが、ここは隠れる場所が少ないからな」

「……じゃ、ここら辺を探すか」

テイタムと二人で周囲を歩き回る。至る所に食べカスが残っており、魚の冷え臭い臭いを思い出し、少し気分が悪くなった。

「……そういやさ、ちょっと疑問なんだけど」

「なんだ?」

「お化けイカの卵がさ、孵化してたらどうなるの?めちゃくちゃ小さいだろ?イカの赤ちゃんって」

「いや、小さくないぞ。視認出来る大きさだ」

「そんなのを産み付けんのかよ…」

「? お化けイカが産み付けるのは一個だけだぞ?」

「え?そうなの??俺はてっきり大量に産み付けるのかと…」

「養分となる大きさにもよるが、この様な魚であれば一個が限界だ。孵化したらその魚を喰らい、親元へと戻って行く習性がある」

「………じゃあ、その習性を利用しない?」

「そのつもりだ。…しかし、どれもこれも喰われているからな」

「ちなみにその孵化したヤツって見た目はどんな感じ?」

「孵化したばっかりだと、カラダから触手が生えているぞ。あと、泳ぎ方がフラフラしているな」

「ふーん………とりあえずキモいって事ね」

テイタムに言われた通り海中を泳いでいる魚へと目を向ける。初めての海中散歩となっているが、どうも違和感が拭えない。陸で歩いている感じはするんだけど、目に入ってくる光景が水槽を観ているような感じがする。今だって目の前をスイスイ泳いでる魚が居るんだけど、視野の問題なのか、大きくて広い水槽を泳いでいる様にしか思えない。

(……眼の問題なのか?魚眼って聞くけどアレ丸っこい見え方だよね?)

もしかしたら見た目は半魚人マリーマンになっているが、眼は人間のままなのかも知れない。まぁ、映り方が変わるよりかはマシだけど。

「ん?」

しばらく海中を見ながら歩いているとスイスイとは違った泳ぎ方をしている魚を見かけた。

「テイタム!」

「見つけたか?」

「見つけたかどーかわかんねーけど、アレはどーなの?」

怪しい泳ぎ方をしている魚を指差すとテイタムはジッと見つめたあと喋る。

「…アレだな」

「アレなのか……」

「後をついて行くぞ」

変な泳ぎ方をする魚の後をついて行く。道中、テイタムの言ってた通りカラダからウネウネとした触手が見えた。それを見て気になったことは触手の数が多いということだ。イソギンチャクみたいに触手が大量に出るのをみて『気持ち悪い!』と思った。

「アルス」

テイタムが手で俺に指示を出し、近くにある岩陰へと隠れる。

「見つからない様にこの岩向こうを見てみろ」

「……………ウゲェ…」

岩陰から覗き込むと、先程の魚の様に変な泳ぎ方をしている魚が何十匹も泳いでいた。どの魚もウネウネと触手を漂わしており、好みでない絵面に本気で吐きそうになった。

「どうやら今は彼処に潜んでいるようだ」

「潜んでる?……魚しか見えねぇぞ?」

「? 見えないのか?」

「何が?」

「……彼処の地面だよ」

テイタムが呆れながら言うが、俺にはただの海底にしか見えない。デッケェ岩があって、その周辺を触手が泳いでるだけなんだが…。

「………あれ?」

よくよく見てみると、地面が波打っているように見えた。ジッと目を凝らして見ると岩だと思っていた物もユラユラと揺れていた。

「テイタム……もしかして擬態してる?」

「そうだ。ようやく見えたか……」

「イカって擬態するんだ……」

「大王イカの擬態は凄まじいぞ。何秒間か見ておかないと気付かないほどだ」

「それってやべぇじゃん……………………………ん?」

擬態出来る生物だとは予想だにしなかった。まぁ、よくやく考えてみるとそういうことが出来てもおかしくは無い。まぁ、俺が今まで戦った魔物は擬態するなんて事は無かったからね。

そして、擬態という言葉である事を思い出した俺はコッソリ索敵をしてみる。俺の能力が擬態相手にも通用するかどうかを確かめたかったからだ。

「………………………………」

「どうしたアルス?」

「………ちょっとマズい状況かも…」

「?」

「テイタム、ちょっと俺の隣に来い」

不審がるテイタムを呼び寄せると皮袋から道具を取り出し、それをテイタムへと渡す。

「これはお前の防御と攻撃力を上昇させる薬だ。魔法はダメって聞いてたから、薬草で創り出した物だけど、すぐに使ってくれ」

「………どうやって使うのだ?」

「飲んでも良いし、身体に塗っても良い。とりあえず急げ!」

テイタムは俺から渡された薬品を飲む。その間にテイタムに武器を渡し早口で喋る。

「いいか?今の状況はすっげぇマズい。どうやら俺等が後を付けていたのはバレてたみたいだ。んで、今渡した武器は斬れ味抜群だから、それを使ってくれ。防具が必要なら言ってくれ」

「バレていた??……どういうことだ?」

「……ゆっくりと周囲を見回してみろ」

「……………………ッ!」

「囲まれてるだろ?つーことはバレてるって訳だ。……………簡単には逃げれそうに無いな」

「…どうする?」

「テイタムは自分の命だけを優先に考えろ。あと、これも持っとけ」

「これは?」

「回復薬だ。ハモンさんに渡したヤツよりも即効性がある」

「アルスはどうするのだ?」

「決まってんだろ?アイツを狩りに行くのさ」

索敵をした結果、俺とテイタムを取り囲む様に反応があった。数の反応は膨大で、真っ赤な帯が出来るほどであった。という事から、俺等の居場所はバレており、逃げ出そうものなら一気に襲い掛かってくるだろう。俺一人なら逃げ出せるが、テイタムには魔法は毒となる。つまり『転移』が使えない。ならばテイタムには防戦をしてもらって、俺は大元を叩きに行くしかない。回復薬も渡したし、武器も持たせたからな。

「…正気か?」

「攻めるしか道はねぇだろ。……ちなみに聞いておきたいんだけど、俺が魔法を使ったとするじゃん?その魔法に使用した魔力がテイタムに影響したりする?」

「……分からんが、多分大丈夫だろう。キルリアで話し合っている時にも周囲で魔法を使っていたが、気分が悪くなったりはしなかった」

「なら大丈夫って事だな。とりあえず、俺は大王イカを瞬殺する為に魔法をバンバン使う。気分が悪くなったりしたらすぐに逃げろ」

「魔法を使うのか?ここは陸じゃ無いんだぞ?」

「そんくらい分かってるわ。伊達にゲームしてる訳じゃねーんだ」

「?????」

「んじゃ俺はすぐに攻撃する。絶対に死ぬなよ?」

「ま、待てアルス!!」

テイタムの言葉を無視して俺は岩陰から飛び出し、大王イカへと攻めるのであった。

♦︎♢♦︎♢♦︎♢

俺が飛び出すのを分かっていたかの様に擬態している岩から投石があった。

「ウギョーーッ!?」

その投石の速度に悲鳴を上げながら避ける。海中だからゆっくりだと思っていたのに、それはただの固定観念でしか無かったと思い知らされた。

「クソッ!!海中なら抵抗とか重力とかあるだろ!!」

海底の隙間に身を隠しながら悪態を吐く。あんな火の玉ストレートを投げるなんて予想してなかったよ!!

「まぁいいや。陸と同じ様に戦えばいいって事だろ?」

次弾が俺の近くに着弾する隙に、俺は場所移動をする。海底で戦っても良かったが、何となく海中を泳ぎながら戦った方が良いと思ったからだ。

「まずはその取り巻き共を駆除させてもらうぜ」

ウネウネと触手を動かしているお化けイカ達へと魔法を放つ。………しかし。

「大人しくイカ焼きになりな!!」

炎の魔法をお化けイカ達へと放つが、ただ手を振っただけとなった。

「な、なんで?」

その隙を逃さずお化けイカ達は群れをなして俺に攻めかかってくる。慌てて短剣を『創造』し、チクチクと噛まれながらもお化けイカ達を切断していく。

(あー!!!そうか!!ここ海だったわ!)

『水の中では炎は使えない』という小学生でも分かる現象を忘れていた。つーか、『効果が無い』という事と勘違いしていた。

(じゃあ草系の魔法だ!)

慌てている俺の脳内は某国民的ゲームの相関図で埋まっていた。

「…草の魔法ってなんだよ!!」

自分で考えたのもなんだが、草の魔法って何だろう?それらを一瞬で考えたあと、『急所に当たりやすい』技名を口にする。

「は、葉っぱカッター!!」

俺が唱えると同時に、海底に生えていた海藻がお化けイカへと伸びる。海藻は俺を取り囲んでいるお化けイカを切断していくと、大王イカまで伸ばす。しかし、大王イカの触手には傷一つ付かず、逆にブチブチと千切られる始末であった。

「イメージと違うんだけど!!」

海藻が伸びるとかそんな説明は無かっただろ!斬新すぎるわ!!……けど、助かった!

「んじゃソーラービィムとか使えたり…………あ、そりゃ流石に無理か」

陸でなら使えただろうけど、ここは海中だ。集光率も確実に悪いだろうし、それを使うんだったらまだ普通のビームの方がマシだ。

そんな事を考えていると予期せぬ事が起こった。葉っぱカッターで分断した筈のお化けイカが、ウネウネと触手を動かしながら俺に突撃してきたのだ。

「キモいキモいキモい!!」

再度葉っぱカッターを唱え、ついでに自分の周りに竜巻を起こす。竜巻に海藻も巻き込まれて木っ端微塵になっていくが、今はどうでもいい。

(風魔法は使える!なら大王イカの足元に竜巻を起こせば……)

周囲の竜巻を解除し、視界が晴れた瞬間に大王イカへと竜巻を放つ。しかし、放った感覚はあれど、大王イカは微動だにしなかった。

「はぁ???」

何度も竜巻を起こすが、ダメージが入っている様な感覚は無かった。しかし、攻撃されていると理解したのか、大王イカがゆっくりと動き出し、その全貌を明らかにした。

「………デッカッ!!」

岩が胴体の部分かと思っていたが、そうでは無かった。岩の部分は顔の部分で、胴体は更に上、海中の部分であった。

「擬態って部分別に出来んのかよ!!」

大王イカは器用にも海底に触手を埋めていた。大王イカが動き出すと同時に海底が揺れるのが見えた。

「テイタム!!大丈夫か!?」

「大丈夫だ!」

テイタムの方に目を向けると、少し離れた所で戦っている姿が見えた。水中で器用に矛を奮っているのを見て、『やはり海属性はすげぇ』と思った。

「…ここに居たらテイタムにも被害が出るかもな」

そう考えた俺は大王イカに竜巻を放ちながらテイタムから離れて行く。大王イカも俺が一番の危険人物だと思ったのか俺の後を追ってきた。

「ここら辺でいいな。………しっかし、デカ過ぎる…」

隠れる場所が無い平坦な場所へと辿り着くと、大王イカを視認する。ただ、不思議な事に大王イカは泳いでおらず、触手を動かして地面を這ってきていた。

「……ははぁーん?図体がデカ過ぎて泳げないんだな?」

お化けイカの全長は簡単に見積もっても10m以上はあるだろう。しかし、ここは深いとはいえ深海ではない。立ち泳ぎすれば耳の部分が海上に出るかも知れねぇから、泳げないんだろうな。

「ブハハハッ!雑魚じゃねぇか!!」

泳げないと分かった俺はちょっと調子に乗る。距離も充分取ってあるし、海底には手頃な大きさの岩は落ちていない。触手の攻撃を警戒すれば簡単なのだ。

「さぁ!調理の時間だ!!」

大王イカが喰えるかどうかは分からねぇが、イカはイカだ。倒した後にでも陸で焼けば喰えるだろ。……………と、簡単に思っていた俺がバカでした。

「ウワァ?!」

攻撃しようとした時、大王イカが何かを吐き出した。それは真っ黒なモノで視界が覆われた。

「イ、イカスミか!?」

その真っ黒いモノは壁の様であり、広く横まで伸びていた。そして、真っ黒な壁から触手が伸びてきて俺の腹に勢い良く当たる。

「ブヘェッ!!」

触手は1本だけでなく、全体的に伸びており広範囲に渡って伸ばしたモノだと理解した。俺に当たった触手の周囲に伸びている触手が捕まえようとしてくる。それを下に潜る事によって回避したが、器用にも上下左右に触手が動き、俺を探していた。

「ち、ちょっ、タイム!!」

こんな攻撃は予想外だ。つーか、イカスミって海中だと凄いのね……。目眩し所のレベルじゃねぇわ。

触手から更に距離を取った所で反撃する。まずはこのイカスミを取り払わなければ!

竜巻をイカスミへとぶつけて、カーテンを開けるかの様な仕草をする。綺麗にイカスミを取り払う事は出来なかったが、視界は開けた。

「中々頭良いじゃねえか!イカの分際でよぉ!!」

今度は俺の番となったので、三叉の矛を創造し雷の魔法を付与させて大王イカへと投げる。しかし、矛は俺の数m先で弧を描いて海底へと落ちて行った。

「ハァ!?真っ直ぐ飛ぶはずだろーが!!」

俺が思っているイメージとは違った事に文句を垂れる。矛がぶっ刺さってバリバリバリッて感電死させるつもりだったのに!!!

「んなら今度はどうだ!!」

今度は雷の魔法をビーム状に放つ。雷は真っ直ぐに大王イカへ当たった。……しかし。

「アビャビャビャビャ!!」

大王イカに雷が当たった瞬間に俺も感電した。そりゃあもう、バチバチと言った具合に。

(な、何で!?)

理由は簡単だ。ただの水よりも塩水の方が電気が通り易く、発生源はアルスだったからだ。

「シ、シビれるぅー……」

アルスが自爆している最中、大王イカは触手を動かしアルスを煽っていた。アルスが放った雷の威力は大王イカに取ってはそこまで威力のないモノであった。

ここで『大王イカ』という種族について説明する。大王イカとはその名の通りイカの魔物である。個体差は大きく、アルスが戦っている大王イカは小さい部類に入る。能力として、擬態や墨を吐いたりと通常のイカと似ているが、防御の面はファンタジーらしい物となっている、大王イカには弱点というモノは無く、アルスが考えている様な相関図は当て嵌まらない。肉質も硬く、生半可な攻撃では傷一つ付かない。また、表面はヌメヌメとしており、刺す攻撃もあまり効果が無い。余程の怪力で渾身の力を込めなければ突き刺さる事はない。

また、通常のイカと違い足は数十本持っている。1本1本が自由に動かせ、吸盤には歯が付いており引っ掻いたり巻き付いたりと武器であった。更には再生機能も持ち合わせており、例え1本が千切られたとしても瞬時に再生する。この機能は囮としても使用でき、頭を使う大王イカも少なくは無い。稀に魔法を扱える個体も居るが、初級程度の魔法でそこまで重宝しない。魔法を使うよりかは触手を使用した方が効率が良い為だ。

だが、稀に補助を覚えている個体も居た。治癒や強化を使うのだが、アルスが対峙している個体はコレに当て嵌まった。いずれは大海の覇者になって居たであろうが、それはアルスに出会わなければの話だった。

感電から戻ったアルスは頭を回転させ、次の攻撃を考える。遠中距離はダメだと理解したアルスは接近戦を選んだ。

「んなろっ!!」

多少泳ぎ方に慣れたアルスは的を絞らせずに近寄る。そして矛では無理だと感じたアルスは長剣を創造し大王イカの触手に斬りかかる。しかし、その攻撃力は陸でなら通用する威力であり、海中においては生半可な威力であった。

「硬ぇ!!」

近付いたのを好機とみた大王イカは他の触手でアルスへと攻撃する。アルスは全力でそれを避けると海上へと上がる。

(威力が足りないのなら重力を借りるまでだ!)

アルスの考えは鳥の様に垂直落下し剣を突き刺すというモノだった。海上に到着したアルスは空高く上昇し、索敵を使って大王イカの場所を視認する。そして剣を握り、落下速度を上げて頭から海へと落ちる。

水柱が上がり、着水する際の抵抗があったが、アルスはその勢いのまま大王イカの胴体へと剣を突き刺す事ができた。だが、ダメージが入った事に驚いた大王イカが暴れ出し、アルスは剣を手放してしまう。アルスの予定ではそのまま斬り落とす予定だった。

「痛ッ!!」

触手が当たり、アルスは海底へと叩き付けられる。しかし、ダメージは無かった。

「守備範囲広過ぎ!」

ムクリと起き上がったアルスは大王イカの出方を窺う。今の攻撃が効いているのかを確かめたかったからだ。

アルスの攻撃は大王イカにとって生涯初の傷であった。今までは無傷の戦いを経験していた大王イカにとって痛みが走るのは初めてだった。イカに痛覚があるのかは疑問だが、触手が暴れ回っているのを見る限りダメージはあったようだ。

「しっかし、毎度毎度こんな戦い方してたら時間掛かるぞ……」

雷も炎も草もダメ。成果があったのは近接のみ。多少の被弾を覚悟して戦うしかねぇのか……。

「うおっ?!」

様子を窺っていると、大王イカの触手が海底を砕き、そのカケラを投擲してきた。その攻撃を避けたアルスだったが、その攻撃によりピコーンと閃くものがあった。

「…………………もしかして」

試しにアルスは海底に落ちている小石を握り、とある細工をしてから大王イカへと投石する。その小石は力を込めなくても気泡を伸ばしながら真っ直ぐに進み、大王イカの触手の1本を打ち落とす事が出来た。

「…………ンフフフフッ!」

自分の閃きが正解だったと理解したアルスは近くにあった小石を拾い、次々と投石する。どれもが気泡を出しながら真っ直ぐに進み、触手を的確に打ち落としていった。大王イカは突然の事に動揺し、触手で壁を作った。

「それは効いてるって証拠だぜぇ!!」

満面の笑みを浮かべながら、アルスは手当たり次第の石を大王イカへと投げつけるのであった。
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