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第11章 ふたりの秘密
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放課後・高校の屋上
放課後の屋上には冬の風が吹いていた。
灰色の雲の下、律はフェンスに背を預け、足元に転がる缶ココアを見つめていた。
最近、学校にやってきた転校生――ノア。
白銀の髪に、整った顔立ち。けれど“美形”という一言では片づけられない、不思議な雰囲気を持った男だった。
どこか現実感がない。
それなのに、近づくと胸がざわつく。
「……なんなんだよ、あの人……」
独りごちるように呟く声は、風に消された。
⸻
同日・帰り道
「律くん、また屋上にいたんだね」
声をかけられて振り返ると、そこにはノアが立っていた。
夕焼けに照らされたその姿は、まるで絵から抜け出したように見える。
「お、おう……なんで知ってるんだよ」
「君の靴、土の跡がついてる。屋上、最近工事のせいで汚れてるでしょ?」
「……よく見てんな」
「観察好きなんだ。特に、“面白い人”は」
くす、と笑ったノアの笑顔に、律は不意を突かれたように胸が跳ねた。
何かが、普通じゃない。
けれど、怖くはない。むしろ――もっと知りたいと思った。
⸻
夜・宗一の家・リビング
律はアルマのいるソファにドサッと座りこみ、ぶっきらぼうに宿題を放り出した。
「……なあ、アルマ」
「なんだ」
「もしさ、誰かのことが気になって、その人の声とか仕草とか……勝手に思い出しちまうときって、それって“好き”ってやつか?」
アルマの手がピタリと止まる。
「……誰の話だ」
自分にも似た様な事がある気がしたアルマは詳しく聞いてみることにした。
「んー……新しく来た転校生。なんかフワフワしてて、目が離せねーんだよ。人の話はぐらかすし、時々スッと消えそうになる。……だけど、なんか放っとけないっつーか……」
アルマは律の横顔を見つめる。
“フワフワしていて、目が離せない。不意に消えそうで、放っておけない”――
どこか、聞き覚えのある言葉。
「その男……名前は?」
「ノア。変な名前だけど、似合ってんだよな。不思議な空気してるし」
――ノア。
その名を聞いた瞬間、アルマの胸が強く鳴った。
三男。あの、誰よりも軽やかに、誰よりも早く“人間界”に姿を消した兄弟。
まさか――いや、しかし。
「……律」
「ん?」
「その男、どんな時に笑う?」
「え……? んー……俺がバカなこと言うと、ちょっとだけ口元緩める。静かに笑う。あんま笑わないけど、笑うと……ちょっと寂しそうに見える」
アルマの胸の奥に、淡い不安が生まれ始めていた。
⸻
深夜・ノアの部屋(視点切替)
ノアは小さなアパートの部屋で、律が話していた言葉を思い出していた。
「君のこと……もっと知りたい」
あの言葉は、嘘じゃなかった。
けれど、自分が“何者”かを知れば――彼はどう思うのだろうか。
ノアは、ぎゅっと目を閉じた。
人間と恋をすること。
それは、許されない感情。けれど、心はもう――止まっていなかった。
放課後の屋上には冬の風が吹いていた。
灰色の雲の下、律はフェンスに背を預け、足元に転がる缶ココアを見つめていた。
最近、学校にやってきた転校生――ノア。
白銀の髪に、整った顔立ち。けれど“美形”という一言では片づけられない、不思議な雰囲気を持った男だった。
どこか現実感がない。
それなのに、近づくと胸がざわつく。
「……なんなんだよ、あの人……」
独りごちるように呟く声は、風に消された。
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「律くん、また屋上にいたんだね」
声をかけられて振り返ると、そこにはノアが立っていた。
夕焼けに照らされたその姿は、まるで絵から抜け出したように見える。
「お、おう……なんで知ってるんだよ」
「君の靴、土の跡がついてる。屋上、最近工事のせいで汚れてるでしょ?」
「……よく見てんな」
「観察好きなんだ。特に、“面白い人”は」
くす、と笑ったノアの笑顔に、律は不意を突かれたように胸が跳ねた。
何かが、普通じゃない。
けれど、怖くはない。むしろ――もっと知りたいと思った。
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夜・宗一の家・リビング
律はアルマのいるソファにドサッと座りこみ、ぶっきらぼうに宿題を放り出した。
「……なあ、アルマ」
「なんだ」
「もしさ、誰かのことが気になって、その人の声とか仕草とか……勝手に思い出しちまうときって、それって“好き”ってやつか?」
アルマの手がピタリと止まる。
「……誰の話だ」
自分にも似た様な事がある気がしたアルマは詳しく聞いてみることにした。
「んー……新しく来た転校生。なんかフワフワしてて、目が離せねーんだよ。人の話はぐらかすし、時々スッと消えそうになる。……だけど、なんか放っとけないっつーか……」
アルマは律の横顔を見つめる。
“フワフワしていて、目が離せない。不意に消えそうで、放っておけない”――
どこか、聞き覚えのある言葉。
「その男……名前は?」
「ノア。変な名前だけど、似合ってんだよな。不思議な空気してるし」
――ノア。
その名を聞いた瞬間、アルマの胸が強く鳴った。
三男。あの、誰よりも軽やかに、誰よりも早く“人間界”に姿を消した兄弟。
まさか――いや、しかし。
「……律」
「ん?」
「その男、どんな時に笑う?」
「え……? んー……俺がバカなこと言うと、ちょっとだけ口元緩める。静かに笑う。あんま笑わないけど、笑うと……ちょっと寂しそうに見える」
アルマの胸の奥に、淡い不安が生まれ始めていた。
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深夜・ノアの部屋(視点切替)
ノアは小さなアパートの部屋で、律が話していた言葉を思い出していた。
「君のこと……もっと知りたい」
あの言葉は、嘘じゃなかった。
けれど、自分が“何者”かを知れば――彼はどう思うのだろうか。
ノアは、ぎゅっと目を閉じた。
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それは、許されない感情。けれど、心はもう――止まっていなかった。
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