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第16章 触れてはいけない記憶
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深夜・宗一の家
アルマは廊下を歩く。深夜、誰もいない時間帯。
傷もだいぶ癒えたとはいえ、魔力の消耗は激しい。
ふと、微かに声が聞こえた。
「……やめろ……もう、やめてくれ……」
宗一の部屋から。夢の中でうなされているのだろうか。
躊躇いながらも、アルマはそっと扉を開けた。
薄明かりの中、額に汗を浮かべた宗一が、眉間に深い皺を寄せていた。
「……宗一」
思わずその名を呼ぶと、宗一が目を覚ました。
「……アルマ、か……?」
「悪夢を見ていた」
宗一はしばし黙り、それから低く笑った。
「……悪夢っていうか……昔の記憶だな。たまに、こうして夢に出てくるんだよ」
アルマは彼のベッド脇に腰を下ろし、静かに耳を傾けた。
⸻
宗一の過去
「ガキの頃さ、俺は家があんまりうまくいってなくて……親が離婚して、母さんと弟と三人暮らしになったんだ」
「……」
「母さん、優しかったけど、体が弱くて。いろんなとこで我慢して……無理して……」
宗一の拳が、シーツを強く握る。
「気づいたら、俺、誰かを守りたいって思うよりも先に、“誰かが壊れるのを見るのが怖くてしょうがない”って、そう思うようになってた」
静寂が落ちる。
「だからさ。お前が傷ついて帰ってくるたびに……俺、すげえ怖いんだよ」
──それは、告白に似た感情だった。
けれど、宗一自身もまだ、それを恋と認めていない。
「……ごめんな、変な話しちまって」
「……謝るな。お前がどんな人間か、少しだけ分かった気がする」
アルマはそう言い、宗一の前髪をそっと払った。
その指先が、震えているのを自覚しながら。
⸻
翌朝・ダイニングキッチン
朝、律が下りてくると、アルマと宗一が同じ鍋を囲んで朝食を作っていた。
「お、珍しい組み合わせ~。てか兄貴、いつから料理とか……」
「アルマが教えてくれた」
「えっ、マジ!? すげー!」
律はアルマに向かってにっこり笑う。
「なーなー俺さ、またノアと遊ぶ約束しててさ。今度兄貴に紹介しようと思うんだけど、どう?」
その瞬間、アルマの手がピクリと止まった。
「……ノア?」
「うん。ちょっと変わったやつだけど、面白いやつでさ。ああいう不思議な雰囲気のやつ、初めてだった」
宗一が苦笑いしながら「弟が珍しく本気っぽいな」と呟く。
だが、アルマはそれを聞きながら、心の奥で何かが冷たく脈打つのを感じていた。
アルマは廊下を歩く。深夜、誰もいない時間帯。
傷もだいぶ癒えたとはいえ、魔力の消耗は激しい。
ふと、微かに声が聞こえた。
「……やめろ……もう、やめてくれ……」
宗一の部屋から。夢の中でうなされているのだろうか。
躊躇いながらも、アルマはそっと扉を開けた。
薄明かりの中、額に汗を浮かべた宗一が、眉間に深い皺を寄せていた。
「……宗一」
思わずその名を呼ぶと、宗一が目を覚ました。
「……アルマ、か……?」
「悪夢を見ていた」
宗一はしばし黙り、それから低く笑った。
「……悪夢っていうか……昔の記憶だな。たまに、こうして夢に出てくるんだよ」
アルマは彼のベッド脇に腰を下ろし、静かに耳を傾けた。
⸻
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「……」
「母さん、優しかったけど、体が弱くて。いろんなとこで我慢して……無理して……」
宗一の拳が、シーツを強く握る。
「気づいたら、俺、誰かを守りたいって思うよりも先に、“誰かが壊れるのを見るのが怖くてしょうがない”って、そう思うようになってた」
静寂が落ちる。
「だからさ。お前が傷ついて帰ってくるたびに……俺、すげえ怖いんだよ」
──それは、告白に似た感情だった。
けれど、宗一自身もまだ、それを恋と認めていない。
「……ごめんな、変な話しちまって」
「……謝るな。お前がどんな人間か、少しだけ分かった気がする」
アルマはそう言い、宗一の前髪をそっと払った。
その指先が、震えているのを自覚しながら。
⸻
翌朝・ダイニングキッチン
朝、律が下りてくると、アルマと宗一が同じ鍋を囲んで朝食を作っていた。
「お、珍しい組み合わせ~。てか兄貴、いつから料理とか……」
「アルマが教えてくれた」
「えっ、マジ!? すげー!」
律はアルマに向かってにっこり笑う。
「なーなー俺さ、またノアと遊ぶ約束しててさ。今度兄貴に紹介しようと思うんだけど、どう?」
その瞬間、アルマの手がピクリと止まった。
「……ノア?」
「うん。ちょっと変わったやつだけど、面白いやつでさ。ああいう不思議な雰囲気のやつ、初めてだった」
宗一が苦笑いしながら「弟が珍しく本気っぽいな」と呟く。
だが、アルマはそれを聞きながら、心の奥で何かが冷たく脈打つのを感じていた。
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