41 / 47
第6話「君の笑顔が見たくて」
しおりを挟む
春の夕暮れ。
風がやわらかく頬をなでる放課後、ノアと律は並んで歩いていた。
「今日は、寄り道してもいい?」
ノアが不意に口を開いた。
「……え? どこに?」
「うん、ちょっと秘密。でも、律くんきっと気に入ると思う」
(またこれだよ……! こいつたまに抜け目なく甘いことするんだよな)
とは思いながらも、ノアの横顔を見れば自然と律の頬も緩む。
拒否する理由なんて、あるはずがなかった。
「……わかったよ」
夕日が射す坂道を下り、ふたりは住宅街の奥にある、小さな公園にたどり着いた。
その中心には――
「……えっ」
小さなピクニックシートと、バスケット。そしてランタンのような明かり。
静かな時間に包まれた、誰もいない秘密の空間がそこにあった。
「今日、律くんに言われたこと、ずっと気になってて」
「……気にすることなんて……」
「嫉妬されるの、嬉しかったんだ。だから――今日は、僕だけが律くんを見つめる時間を作りたくて」
バスケットの中には、サンドイッチやフルーツ、そして小さなケーキまで。
「まさかこれ、全部ノアが……?」
「うん。不器用だけど、頑張った」
「……マジで、罪深い顔してるくせに、やること全部可愛いのずるい」
「ふふ……」
律は思わず顔を隠すようにそっぽを向いたが、その耳は真っ赤だった。
ふたりは腰を下ろし、肩を並べて軽食をつまむ。
何気ない会話、ふと重なる笑い声。
すべてが自然で、けれど特別だった。
食後、ノアがそっと手を伸ばしてきた。
「手、握ってもいい?」
「……言わなくても、握っていいくらいの仲だろ」
そう言って差し出された律の手を、ノアは丁寧に、そしてしっかりと包み込んだ。
「律くんが、僕に気持ちをくれて本当に嬉しかった。今日も、明日も、その先も……ずっと一緒にいたい」
「……オレも」
風が優しく吹き抜ける中、ふたりの指は絡まり、心はまたひとつ、近づいていく。
風がやわらかく頬をなでる放課後、ノアと律は並んで歩いていた。
「今日は、寄り道してもいい?」
ノアが不意に口を開いた。
「……え? どこに?」
「うん、ちょっと秘密。でも、律くんきっと気に入ると思う」
(またこれだよ……! こいつたまに抜け目なく甘いことするんだよな)
とは思いながらも、ノアの横顔を見れば自然と律の頬も緩む。
拒否する理由なんて、あるはずがなかった。
「……わかったよ」
夕日が射す坂道を下り、ふたりは住宅街の奥にある、小さな公園にたどり着いた。
その中心には――
「……えっ」
小さなピクニックシートと、バスケット。そしてランタンのような明かり。
静かな時間に包まれた、誰もいない秘密の空間がそこにあった。
「今日、律くんに言われたこと、ずっと気になってて」
「……気にすることなんて……」
「嫉妬されるの、嬉しかったんだ。だから――今日は、僕だけが律くんを見つめる時間を作りたくて」
バスケットの中には、サンドイッチやフルーツ、そして小さなケーキまで。
「まさかこれ、全部ノアが……?」
「うん。不器用だけど、頑張った」
「……マジで、罪深い顔してるくせに、やること全部可愛いのずるい」
「ふふ……」
律は思わず顔を隠すようにそっぽを向いたが、その耳は真っ赤だった。
ふたりは腰を下ろし、肩を並べて軽食をつまむ。
何気ない会話、ふと重なる笑い声。
すべてが自然で、けれど特別だった。
食後、ノアがそっと手を伸ばしてきた。
「手、握ってもいい?」
「……言わなくても、握っていいくらいの仲だろ」
そう言って差し出された律の手を、ノアは丁寧に、そしてしっかりと包み込んだ。
「律くんが、僕に気持ちをくれて本当に嬉しかった。今日も、明日も、その先も……ずっと一緒にいたい」
「……オレも」
風が優しく吹き抜ける中、ふたりの指は絡まり、心はまたひとつ、近づいていく。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる