黒羽の約束

猫目オテテ

文字の大きさ
46 / 47

第11話「ダブルデート計画」

しおりを挟む
「あー……俺、こういうの、あんま向いてないんだけど……」

日曜日のショッピングモール。
サングラスに帽子という、いかにも「目立ちたくないです」な服装のアルマが、
人ごみの中で所在なさげに立っていた。

「アルマ、俺と出かけるの初めてだし、もう少し楽しそうな顔しろよ」

宗一はアルマの手を握ったまま、ニヤリと笑う。

「……あんまり人間界の休日に慣れてないだけだ」

「じゃあ、慣れさせてやるよ。俺流の、甘いやつで」

「……っ」

後ろで見ていた律が、思わず吹き出した。

「アルマ、顔赤い。かわいいなぁ」

「うるさい。お前もさっきからベタベタしすぎなんだよ、ノアに」

「え? でも、恋人だし?」

「その通り。律くんは俺の。誰にも渡さないよ」

ノアがさらっと囁きながら律の手をぎゅっと握ると、
律は一瞬で耳まで真っ赤に染まり、目を逸らした。

「ノ、ノア、また人前で……!」

「アルマたちもしてるし、いいでしょ?」

「お前ら、見てるこっちが恥ずかしくなるんだよ……」

ため息をつきながらも、どこか楽しそうに呟いたアルマの視線は、
しっかりと宗一の手元に絡んだ自分の指を見つめていた。


「プリクラ……?」

「そうそう! 4人で撮ろう! 記念ってことで!」

律の提案に、宗一は即OK。
ノアももちろんノリノリで、問題は――

「……この機械、何をする装置なんだ?」

完全に戸惑うアルマだった。

「だいじょぶ、怖くない。むしろ映える」

ノアが背中を押し、4人は狭いブースにぎゅうぎゅうに押し込まれた。

「アルマ、もうちょっと笑ってー!」

「笑えって言われて笑えるか……ッ」

「ほら、チューのポーズ!」

「誰がするかそんなの!」

……そして出来上がったプリクラには、
照れ顔で頬を赤らめたアルマと、そんな彼を後ろから抱いて笑う宗一、
真顔のノアと、満面の笑みでぴったり寄り添う律が収まっていた。

「……これはこれで、いいかもな」

帰り道。
買い物袋を提げながらアルマがぽつりと呟いた。

「……こんな時間、悪くない」

宗一はそんな彼を見下ろし、優しく額に口づける。

「じゃあ、またこうやって遊ぼう。次は2人でもな」


その日の夜。
律の部屋で、ベッドの上に並んでプリクラを眺めながら、
ノアがぽつりと呟く。

「……また、君に触れたくなった」

「……俺も」

そっと唇を重ねるふたりの間には、
もう遠慮や迷いはなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...