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本編
3 絶望
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「――リアム様」
そのとき、口を開いたのは陛下の隣でずっと黙り込んでいたリリーだった。
「リリー様……」
いつ見ても本当に美しい。
陛下が彼女の虜になっているのも納得がいくほどだ。
しかし、それらを全て台無しにしてしまうほど性格が悪いため、王宮にいる陛下以外の人間は基本的に彼女を嫌っている。
正直、私も彼女のことはあまり良く思っていない。
王の寵愛を得ていることは事実だから誰も表立っては言えないが。
リリーは俯いている陛下に近付き、慰めるように肩に手を置いた。
それに気付いた陛下が泣きそうな顔でリリーを見る。
「リリー……どうしよう……もう君にドレスや宝石を買えなくなってしまうかもしれない……」
「……」
リリーは陛下にそう言われても冷静で、全く表情を崩さなかった。
それどころかこの状況を面白がるように口角を上げている。
私はそんな彼女の笑みを少し恐ろしく感じた。
性格が良くないことは随分前から知っているが、今の状況で笑いが出るとは。
(何かしら……?一体何を考えているの……?)
彼女が何かとんでもないことを言い出すような、そんな気がしてならない。
そしてその予感は的中することとなる。
「リアム様、私に良い考えがあるのです」
リリーは陛下の背中を妙な手付きで撫でながら口を開いた。
「リリー……?」
彼はそんな彼女を不思議そうな顔で見た。
(何を言い出すのかしら……)
そして、私はそんな二人の様子をじっと見つめていた。
本当は今すぐにでもこの窮屈な場所から立ち去りたかった。
しかし、リリーの言う良い考えというのがどうしても気になり、足が動かない。
「――リアム様、お金が無いのなら国民たちから搾取すればいいではありませんか」
「………………!?!?!?」
リリーのその発言に、私は言葉を失った。
(……ちょっと、冗談でしょう!?どうしてそんな考えになるのよ!)
元々性格が悪いことは知っていたが、どうやら私が想像していた以上に醜かったようだ。
そんなことを平気で言う彼女の笑みに、体が震え上がった。
この女は人の皮をかぶった悪魔なのか。
少なくとも私にはそう見える。
(……だけど、陛下はきっと頷かないわ。いくら愚王でもそれがいけないことだということくらい分かるもの)
むしろ彼女のこの発言で陛下の目は覚めただろう。
何故こんな女に恋をしていたのだろうと、今頃きっとそんな気持ちになっているはずだ。
しかし、それに対する彼の返事は私をさらなる絶望へと落とした。
「……………なるほど!それは良い考えだな!」
「…………え?」
驚いて陛下の方を見ると、彼は名案だとでもいうかのように目を輝かせていた。
衝撃で固まる私をよそに、二人は話を続ける。
「やはりリリーは天才だな!身分さえ高ければ王妃にもなれるだろう!」
「もう、リアム様ったら褒め過ぎですわ……」
私が部屋にいるのも気にせず陛下はリリーを膝の上に乗せてイチャイチャし始めた。
「……」
それをじっと見つめていた私はというと、しばらくその場から動くことが出来ないでいた。
そのとき、口を開いたのは陛下の隣でずっと黙り込んでいたリリーだった。
「リリー様……」
いつ見ても本当に美しい。
陛下が彼女の虜になっているのも納得がいくほどだ。
しかし、それらを全て台無しにしてしまうほど性格が悪いため、王宮にいる陛下以外の人間は基本的に彼女を嫌っている。
正直、私も彼女のことはあまり良く思っていない。
王の寵愛を得ていることは事実だから誰も表立っては言えないが。
リリーは俯いている陛下に近付き、慰めるように肩に手を置いた。
それに気付いた陛下が泣きそうな顔でリリーを見る。
「リリー……どうしよう……もう君にドレスや宝石を買えなくなってしまうかもしれない……」
「……」
リリーは陛下にそう言われても冷静で、全く表情を崩さなかった。
それどころかこの状況を面白がるように口角を上げている。
私はそんな彼女の笑みを少し恐ろしく感じた。
性格が良くないことは随分前から知っているが、今の状況で笑いが出るとは。
(何かしら……?一体何を考えているの……?)
彼女が何かとんでもないことを言い出すような、そんな気がしてならない。
そしてその予感は的中することとなる。
「リアム様、私に良い考えがあるのです」
リリーは陛下の背中を妙な手付きで撫でながら口を開いた。
「リリー……?」
彼はそんな彼女を不思議そうな顔で見た。
(何を言い出すのかしら……)
そして、私はそんな二人の様子をじっと見つめていた。
本当は今すぐにでもこの窮屈な場所から立ち去りたかった。
しかし、リリーの言う良い考えというのがどうしても気になり、足が動かない。
「――リアム様、お金が無いのなら国民たちから搾取すればいいではありませんか」
「………………!?!?!?」
リリーのその発言に、私は言葉を失った。
(……ちょっと、冗談でしょう!?どうしてそんな考えになるのよ!)
元々性格が悪いことは知っていたが、どうやら私が想像していた以上に醜かったようだ。
そんなことを平気で言う彼女の笑みに、体が震え上がった。
この女は人の皮をかぶった悪魔なのか。
少なくとも私にはそう見える。
(……だけど、陛下はきっと頷かないわ。いくら愚王でもそれがいけないことだということくらい分かるもの)
むしろ彼女のこの発言で陛下の目は覚めただろう。
何故こんな女に恋をしていたのだろうと、今頃きっとそんな気持ちになっているはずだ。
しかし、それに対する彼の返事は私をさらなる絶望へと落とした。
「……………なるほど!それは良い考えだな!」
「…………え?」
驚いて陛下の方を見ると、彼は名案だとでもいうかのように目を輝かせていた。
衝撃で固まる私をよそに、二人は話を続ける。
「やはりリリーは天才だな!身分さえ高ければ王妃にもなれるだろう!」
「もう、リアム様ったら褒め過ぎですわ……」
私が部屋にいるのも気にせず陛下はリリーを膝の上に乗せてイチャイチャし始めた。
「……」
それをじっと見つめていた私はというと、しばらくその場から動くことが出来ないでいた。
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