愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここに?

ましゅぺちーの

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本編

11 母の言葉

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(ど、どうしよう……断れなくてつい受け入れてしまったわ……)


会議の後、私は一人部屋で後悔に苛まれていた。
とんでもないことになってしまった。
つい、女王になるだなんて……。


(絶対にダメよ、私に務まるわけがないわ……!)


今からでも断りを入れた方が良いかもしれない。
そう思って部屋から出ようとしたそのとき、ある人物が部屋へと入ってきた。


「マルガレーテ」
「お母様……?」


中に入ってきたのは母だった。


「お父様に聞いたわ。女王になるんですってね」
「お母様、そのお話今からでも辞退したいんです……!」
「あら、どうして?」


お母様はきょとんと首をかしげた。
昔から私の一番の理解者だった母。


もしかしたら分かってくれるかもしれないと思い、私は正直に全てを打ち明けた。


「私に王なんて務まりません。もっと相応しい方がいらっしゃるはずです。例えばお父様とか……」
「あら、そうかしら?」
「お母様……」


まさか、お母様も私が女王になることを望んでいるのだろうか。


「私は貴方が最も相応しいと思うけれど。お父様や重鎮たちだってそう考えたからこそ貴方を推薦したのではなくって?」
「そ、そんなことは……」


彼らが何を考えているかなんて分からない。
突然私を女王にと言ったのも、全く理解出来ない考えだ。


俯く私の肩に、お母様はそっと手を置いた。


「私は貴方に、この国で暮らす女性たちにとっての光になってほしいと思っているの」
「光……?」
「シュベール王国ではまだまだ女性の立場が弱いでしょう?貴方が国のトップに立つことでそれを変えられるかもしれないわ」
「……」


お母様の言う通り、この国では男性に比べて女性の立場は弱い。
実際に、女性が爵位を継承することはほとんどなく、同じ家でも女児より男児の方が優遇されるのが実態だ。
男尊女卑がまだまだ強く根付いているのが、このシュベール王国だった。


「……私が、そんな大きな問題を解決できるでしょうか」
「それは誰にも分からないわ。だけど、やってみる価値はあるのではないかしら」


お母様は私の手をギュッと握って微笑んだ。


「もちろん、一人では大変でしょうからお父様や私が傍にいて女王になった貴方を支えていくわ。旦那様もそのつもりでいるみたいだし」
「お母様……お父様まで……」


そうだ、今の私には心強い味方がいる。


「お母様……私、やってみます……!この国を変えたいです……!」


私が力強い声でそう言うと、お母様はクスリと笑って頷いた。


(私に何が出来るかは分からない……だけど、僅かな可能性があるのなら……!)


――女王になって、何かを変えられるのなら。


私が王の座に就くことを決意した瞬間だった。





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