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第1章 異世界でも俺はこき使われる
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危機一髪、といった感じで俺たちは島から脱出することができた。
けれど、俺の心境としては何にからも脱出できていないような気持ちだ。
「うっ、うっ、帰りたいよぉ……」
俺は半ば自暴自棄になって船の端で膝を抱えていた。
すると、音もなくドゥーガルドが寄り添ってきて俺の肩を抱き寄せた。
「……大丈夫だ。何も心配することはない。確かに家族と離れて心細いかもしれないが、それなら新しい家族をこっちで作ればいい。……俺と一緒に家族を作ろう。確か禁忌の魔法で男もはらませる方法もあったはずだ」
「そういうのがいやだから帰りたいんだよ!」
まるでプロポーズでもするような甘い笑みを浮かべているが、内容は結構えぐい。
「ははっ! 子供だとか家族だとかよくそんな面倒なもの作りたがるな。俺はいらねぇ。あ、でも魔法でできた穴に突っ込むのもおもしろそうだな。一回くらい経験するならアリかな」
「もうクソだとか突っ込むのも疲れたよ!」
突っ込みの必要ない平凡な日常に戻りたい……!
俺は縋る気持ちでチェルノの方に向き直った。
「チェルノ、空間の歪みって魔獄島以外にもあるよな? な?」
どうかあってくれと祈るように訊くと、チェルノは「あるのはあるけど……」となぜか言い淀んだ。
「あるけど!? なに!?」
「いやさぁ、ソウシはここに残った方が安全なんじゃないかなと思って~」
「どこが!? こんなケツを狙われる世界のどこが安全!?」
アーロンに弱みでも握られてるのか!?
ドゥーガルドにでも金でも積まれたの!?
「まぁ、貞操に関しては危険かもしれないけどさ~、でも邪神さんのソウシへの執着っぷりを見るとこのまま引くようには思えないんだよね~」
チェルノの言葉に慶介の怒りに満ちた表情を思い出して、全身に鳥肌が立った。
確かに別れ際の言葉からしても、ただではすまないことは明白だ。
「でも、だからこそ、奴がいない元の世界に戻りたいんだよ!」
「気持ちは分かるけどさぁ、正直難しいと思うよ~。だって邪神さん、最初にこの世界を征服してからソウシをこっちに連れてくるつもりだった、みたいなこと言ってたじゃん~?」
そういえば、そんなことを言っていたような……。
「ってことはだよぉ、つまり邪神さんは元の世界と行き来できるってことじゃない~? だとしたら元の世界に迎えに来られたらアウトじゃん~。それとも向こうで誰か守ってくれそうな人いるの~?」
「うっ……」
俺は言葉に詰まった。
確かに、邪神の力を持った奴が元の世界にきて俺を連れ戻そうとしたら、誰が守ってくれるというだろう……。
親は慶介を信頼しているだろうから丸め込まれそうだし、悲しいことに友達のいない俺には他に頼れる人間はいない。
「それを考えるとさぁ、こっちの方がアーロンやドゥーガルドもいるから安心だとは思うよ~」
チェルノの言葉はもっともだ。
けれど……。
ちらりとドゥーガルドとアーロンを見る。
「……ソウシ、俺は何があっても守り抜く。それが夫としての役目だ」
「仕方ねぇから、俺は一日三セックスで守ってやるよ」
「……うわぁぁぁ! やっぱり嫌だぁぁぁ! 元の世界に帰りたいよぉぉぉ!」
俺の切なる叫びは広い海原に響くだけだった。
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