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5・火炎竜討伐
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「はぁ。あの子はこれを盗まれて怒ってるってことね。」
イブお姉様が呆れながら5人を睨みつけるとボソボソと経緯を話し始めた。
調査に来たはいいが特に森も荒れておらず、襲われもしない。この洞窟にはいってサボっていたところ、火炎竜が帰ってきたらしい。
地面に着地した瞬間に魔導士がスリープをかけて、隙をついて額に付いていた核を盗んだんだそうだ。
火炎竜の核となれば、白金貨10枚ほどの価値になる。生きている個体から採れたとなれば、更に価格は上がるだろう。
「なんてこと。竜は人を襲わない子の方が多いのよ。それなのに攻撃をこちらから仕掛けるなんて…」
私がぎゅっと核を握り締めて、5人組に話しかけるとグッと不満そうな顔をしながらも、項垂れてしまう。
そのまま、踵を返して走って洞窟から出るとコンラッドが火炎竜に大剣を突き刺そうとする瞬間だった。
「まって!!コンラッド!とまって!」
そう叫ぶと振り上げていた大剣から手を離し、無理矢理剣を地面に落とす。
私の大声で驚いたのか火炎竜もこちらを勢いよく振り返ってみる。
「ごめんね。これ、あなたのでしょ?すぐに返すから」
手に握っていた核を突き出して見せると火炎竜は此方に突進してきた。核を見つけ出して自慢げに私の頭の上にいたシュバルツが“キーキー”と鳴き声を発する。
小さい体からよくそんな大きな声が出るなぁと感心していると、焦った表情でコンラッドがこちらへ手を伸ばして走ってきていた。
あ、はねられる。と思った瞬間ピタッと私の目の前で止まり頭を垂れる。
「やっぱり、優しい子なのね。あなたの大切なもの、お返しするわ。ごめんなさいね」
そっと額の窪みに核を埋め込む。そのまま手を当てて回復魔法をかける。ナイフの様な鋭利な刃物で切り出したのだろう、かなり深い傷ができていた。
「痛かったでしょ?これで許されるとは思わないけど、せめて傷を治させて。」
「オリヴィア、たのむから、無茶はやめてくれ」
「大丈夫よ、多分シュバルツが説明してくれたのよね?助かったわ!ありがとう。」
「俺様はこれとったやつ教えてやるから止まれっていっただけだぜ。アイツらをここに引っ張り出してきてやるから待ってな!!!」
竜の額の傷を治していると、コンラッドが息も絶え絶えに追いついてピッタリ後ろに張り付く。
シュバルツは頭の上からおりて洞窟へ走っていった。
竜は傷も治ってきて安心したのか、私のお腹に鼻先をすりすりと擦り付けてきた。
そのまま、ぐいっと顔を上げて目の前に鼻先を突き出す。
「あら、あなた。あの時の子?元気に過ごしていたのね。会えて嬉しいわ」
鼻先にある傷跡を見せたかった様で、どうやらそれは私が5歳の時に治してあげた傷の様だ。あの頃はまだ、回復魔法の力が弱くて傷跡まで消してあげられなかった。
鱗の模様と混ざって星の形にみえる。
「ちゃんと治してあげられなくてごめんね。あの時もっと力があれば綺麗にできたのに…」
「それでも、命は助かったんだ、きっと竜は感謝してるよ、オリヴィアに」
すぐ後ろで穏やかなテノールが聞こえてドキッとする。
竜にグイグイと押されるので、必然的に後ろにいるコンラッドにピッタリ密着する様になっているが、彼が後ろに下がる様子はなく、チラッと後ろをみると冷たいアイスブルーの瞳がすぐそばにあった。
目が合うとニコッと微かにほほえむ。その微笑みはずるい!と心の中で悪態をついてしまう。
『オリ…ヴ…ア…?オリ…ヴィ…』
しばらく見つめあっていると竜の方から辿々しい言葉が聞こえてくる。驚いてそちらをみると、火炎竜が青白い炎に包まれる、熱さはないが反射的に腕で顔を隠しぎゅっと目を瞑ってしまった。
『オリヴィア、あなたに会いたかったの…2度も助けてくれてありがとう。』
パチパチと気が爆ぜる様な弾んだ声が聞こえて目を開けると、目の前には青い髪に赤い目をした20代くらいの美人なオネェさんが立っていた。
「へ?」
貴族令嬢としてあるまじき声を出しながら、コンラッドを見ると、「火炎竜が女になった」と呟いていた。
『火炎竜じゃないわよ。わたしはイフリータ、精霊よ。ちょっと、聞いてる?おーーい!!』
ヒラヒラと真っ赤な爪のついた綺麗な手を目の前で振られてハッと意識を取り戻す。
イフリータと名乗った女性の左目の下には星型のあざがある。大体、火炎竜と同じ位置になるだろう。
そして額には赤く輝く石が埋まっており、キラキラと輝いている。
『やっとあなたに会えた!ねぇ、私を連れて行って!あなたの魔力をまた貰いたいのよー』
「ぇぇえええええ?!」
叫ぶと同時に、ドォオン!!と爆発音が鳴り響く。
コンラッドがガッチリと体を抱きしめてくれたおかげで転ばずにすむ。
『あ、やだぁまた暴れ出したわぁ。ほら、あなた達が探してるのはあっちよ。せっかく押さえつけてたのに、あいつらのせいで解放しちゃったのよ!!』
ザアアア!!と木々が激しく擦れ合う音と共に黒く燃える竜が森から姿を現す。
「…ええええええ?!」
もう何が何だかわからず、コンラッドに抱えられ取り敢えず洞窟に避難する。もちろんイフリータも一緒だ。
イブお姉様が呆れながら5人を睨みつけるとボソボソと経緯を話し始めた。
調査に来たはいいが特に森も荒れておらず、襲われもしない。この洞窟にはいってサボっていたところ、火炎竜が帰ってきたらしい。
地面に着地した瞬間に魔導士がスリープをかけて、隙をついて額に付いていた核を盗んだんだそうだ。
火炎竜の核となれば、白金貨10枚ほどの価値になる。生きている個体から採れたとなれば、更に価格は上がるだろう。
「なんてこと。竜は人を襲わない子の方が多いのよ。それなのに攻撃をこちらから仕掛けるなんて…」
私がぎゅっと核を握り締めて、5人組に話しかけるとグッと不満そうな顔をしながらも、項垂れてしまう。
そのまま、踵を返して走って洞窟から出るとコンラッドが火炎竜に大剣を突き刺そうとする瞬間だった。
「まって!!コンラッド!とまって!」
そう叫ぶと振り上げていた大剣から手を離し、無理矢理剣を地面に落とす。
私の大声で驚いたのか火炎竜もこちらを勢いよく振り返ってみる。
「ごめんね。これ、あなたのでしょ?すぐに返すから」
手に握っていた核を突き出して見せると火炎竜は此方に突進してきた。核を見つけ出して自慢げに私の頭の上にいたシュバルツが“キーキー”と鳴き声を発する。
小さい体からよくそんな大きな声が出るなぁと感心していると、焦った表情でコンラッドがこちらへ手を伸ばして走ってきていた。
あ、はねられる。と思った瞬間ピタッと私の目の前で止まり頭を垂れる。
「やっぱり、優しい子なのね。あなたの大切なもの、お返しするわ。ごめんなさいね」
そっと額の窪みに核を埋め込む。そのまま手を当てて回復魔法をかける。ナイフの様な鋭利な刃物で切り出したのだろう、かなり深い傷ができていた。
「痛かったでしょ?これで許されるとは思わないけど、せめて傷を治させて。」
「オリヴィア、たのむから、無茶はやめてくれ」
「大丈夫よ、多分シュバルツが説明してくれたのよね?助かったわ!ありがとう。」
「俺様はこれとったやつ教えてやるから止まれっていっただけだぜ。アイツらをここに引っ張り出してきてやるから待ってな!!!」
竜の額の傷を治していると、コンラッドが息も絶え絶えに追いついてピッタリ後ろに張り付く。
シュバルツは頭の上からおりて洞窟へ走っていった。
竜は傷も治ってきて安心したのか、私のお腹に鼻先をすりすりと擦り付けてきた。
そのまま、ぐいっと顔を上げて目の前に鼻先を突き出す。
「あら、あなた。あの時の子?元気に過ごしていたのね。会えて嬉しいわ」
鼻先にある傷跡を見せたかった様で、どうやらそれは私が5歳の時に治してあげた傷の様だ。あの頃はまだ、回復魔法の力が弱くて傷跡まで消してあげられなかった。
鱗の模様と混ざって星の形にみえる。
「ちゃんと治してあげられなくてごめんね。あの時もっと力があれば綺麗にできたのに…」
「それでも、命は助かったんだ、きっと竜は感謝してるよ、オリヴィアに」
すぐ後ろで穏やかなテノールが聞こえてドキッとする。
竜にグイグイと押されるので、必然的に後ろにいるコンラッドにピッタリ密着する様になっているが、彼が後ろに下がる様子はなく、チラッと後ろをみると冷たいアイスブルーの瞳がすぐそばにあった。
目が合うとニコッと微かにほほえむ。その微笑みはずるい!と心の中で悪態をついてしまう。
『オリ…ヴ…ア…?オリ…ヴィ…』
しばらく見つめあっていると竜の方から辿々しい言葉が聞こえてくる。驚いてそちらをみると、火炎竜が青白い炎に包まれる、熱さはないが反射的に腕で顔を隠しぎゅっと目を瞑ってしまった。
『オリヴィア、あなたに会いたかったの…2度も助けてくれてありがとう。』
パチパチと気が爆ぜる様な弾んだ声が聞こえて目を開けると、目の前には青い髪に赤い目をした20代くらいの美人なオネェさんが立っていた。
「へ?」
貴族令嬢としてあるまじき声を出しながら、コンラッドを見ると、「火炎竜が女になった」と呟いていた。
『火炎竜じゃないわよ。わたしはイフリータ、精霊よ。ちょっと、聞いてる?おーーい!!』
ヒラヒラと真っ赤な爪のついた綺麗な手を目の前で振られてハッと意識を取り戻す。
イフリータと名乗った女性の左目の下には星型のあざがある。大体、火炎竜と同じ位置になるだろう。
そして額には赤く輝く石が埋まっており、キラキラと輝いている。
『やっとあなたに会えた!ねぇ、私を連れて行って!あなたの魔力をまた貰いたいのよー』
「ぇぇえええええ?!」
叫ぶと同時に、ドォオン!!と爆発音が鳴り響く。
コンラッドがガッチリと体を抱きしめてくれたおかげで転ばずにすむ。
『あ、やだぁまた暴れ出したわぁ。ほら、あなた達が探してるのはあっちよ。せっかく押さえつけてたのに、あいつらのせいで解放しちゃったのよ!!』
ザアアア!!と木々が激しく擦れ合う音と共に黒く燃える竜が森から姿を現す。
「…ええええええ?!」
もう何が何だかわからず、コンラッドに抱えられ取り敢えず洞窟に避難する。もちろんイフリータも一緒だ。
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