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決着の時 第五十話
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リリーは勢いよく床を蹴って、アクアだったものに向かって走り出す。
途中触手が襲ってくるが、次々と氷となり床へ力無く落ちていく。氷きらなかったもの達も、2本の刃と1対の拳によって弾かれていく。
[がああああぁぁぁ]
とすでに人ではない叫び声を上げながら攻撃の手を緩めないアクアだった者はついにリリーに接近を許してしまう。
「あなたのした事は絶対に許さない。人を不幸にして自分だけ幸せになろうなんて間違ってる!!!」
そう言うと思い切り右手を振りかぶり、黒いモヤの中心に向かって思い切り叩きつける。
グニャリと吸い込まれる様な感覚があったが、負けるものかと、あの日の怒りをさらに乗せて、そのまま拳を振り抜く。
[いたいイタイ痛いいたい]
ギリギリとねじ込まれる手から逃れようと触手でリリーを絡め取ろうとするが、振り抜かれた拳により吹っ飛び壁に叩きつけられる。バウンドして床に落ちたそれは手も足も出ず、そのまま瓦礫に埋もれる事になる。
これで終わりかと思ったが、すぐにガラガラと音を立ててアクアが起き上がる。
「わたくしは、まちがってない。わたくしはなにをしてもゆるされるのよ!!!」
ゴゥッと凄まじい勢いで風がふく。瓦礫が風に乗って弾丸のように襲いかかってくる。
シルビアが咄嗟に大きな氷の壁を作りその攻撃を防ぐと、すかさず氷にストレートをぶち込み氷の弾丸をアクアに浴びせる。
「オトナシクミジメニイキレバイイノニ!ぎゃあ!!」
何とか避けようとしたようだが、いくつかは当たってしまい、痛さで悶絶する。
「あなたが不幸にした人たちは、あなたを許していない。なにも許されてなんかない。」
「ユルサレナイ?わたくしが?ユルサレナイ…」
「そのままでは誰にも愛されない。ほら、誰もあなたを守らないじゃない!」
「わたくしは、、、ひとり?」
混乱するアクアは隙だらけで、少しずつリリーは距離を縮めていく。
「嘘で固められた哀れな人ね。だからって許さないけど」
そう言うと握りしめていた拳を開き、パン!とアクアの頬を打つ。
「仕返し。私は聖人君主じゃないから、やり返さないと気が済まないの」
呆然としているアクアの腕を後ろ手にひねり動きを封じた隙に、シルビアが近寄り残りの呪いを回収する。黒いモヤは散り、後にはボロボロになったアクアが倒れているだけだった。
「我が息子が、すまなかった。クレイは二度と、表舞台に姿を現させないと誓う。」
一連の争いを見ていた王はリリーに向かって頭を下げた。その言葉を聞いて、クレイはペタンと床に座り込み動かなくなってしまった。
「僕は…どこで間違えたんだろう」
うわごとのようにそう呟くと涙を流し、すまなかった…と呟き繰り返した。
その後、正気に戻ったアクアと王太子は北の塔へと幽閉されることが決まった。
たくさんの人から恨みを買った為、払っても払っても呪いが湧き出てきてしまい、もはや手の施しようがなくなってしまった。
また、騎士団も解散されあのでっち上げ事件も、アクア本人の証言により被害者と加害者を交代することとなった。
結局、アクアの記憶は呪いによる夢で現実と夢の区別がつかなくなってしまっていた。呪いの夢に惑わされ、現実を台無しにしてしまったのだ。
長い時間を共にしたクレイにもその力は及び、巻き込まれたように崩れて行った。
さて、無事ジェントクランに帰ってきた一行は、教会にて今後の相談を始める事になる。
途中触手が襲ってくるが、次々と氷となり床へ力無く落ちていく。氷きらなかったもの達も、2本の刃と1対の拳によって弾かれていく。
[がああああぁぁぁ]
とすでに人ではない叫び声を上げながら攻撃の手を緩めないアクアだった者はついにリリーに接近を許してしまう。
「あなたのした事は絶対に許さない。人を不幸にして自分だけ幸せになろうなんて間違ってる!!!」
そう言うと思い切り右手を振りかぶり、黒いモヤの中心に向かって思い切り叩きつける。
グニャリと吸い込まれる様な感覚があったが、負けるものかと、あの日の怒りをさらに乗せて、そのまま拳を振り抜く。
[いたいイタイ痛いいたい]
ギリギリとねじ込まれる手から逃れようと触手でリリーを絡め取ろうとするが、振り抜かれた拳により吹っ飛び壁に叩きつけられる。バウンドして床に落ちたそれは手も足も出ず、そのまま瓦礫に埋もれる事になる。
これで終わりかと思ったが、すぐにガラガラと音を立ててアクアが起き上がる。
「わたくしは、まちがってない。わたくしはなにをしてもゆるされるのよ!!!」
ゴゥッと凄まじい勢いで風がふく。瓦礫が風に乗って弾丸のように襲いかかってくる。
シルビアが咄嗟に大きな氷の壁を作りその攻撃を防ぐと、すかさず氷にストレートをぶち込み氷の弾丸をアクアに浴びせる。
「オトナシクミジメニイキレバイイノニ!ぎゃあ!!」
何とか避けようとしたようだが、いくつかは当たってしまい、痛さで悶絶する。
「あなたが不幸にした人たちは、あなたを許していない。なにも許されてなんかない。」
「ユルサレナイ?わたくしが?ユルサレナイ…」
「そのままでは誰にも愛されない。ほら、誰もあなたを守らないじゃない!」
「わたくしは、、、ひとり?」
混乱するアクアは隙だらけで、少しずつリリーは距離を縮めていく。
「嘘で固められた哀れな人ね。だからって許さないけど」
そう言うと握りしめていた拳を開き、パン!とアクアの頬を打つ。
「仕返し。私は聖人君主じゃないから、やり返さないと気が済まないの」
呆然としているアクアの腕を後ろ手にひねり動きを封じた隙に、シルビアが近寄り残りの呪いを回収する。黒いモヤは散り、後にはボロボロになったアクアが倒れているだけだった。
「我が息子が、すまなかった。クレイは二度と、表舞台に姿を現させないと誓う。」
一連の争いを見ていた王はリリーに向かって頭を下げた。その言葉を聞いて、クレイはペタンと床に座り込み動かなくなってしまった。
「僕は…どこで間違えたんだろう」
うわごとのようにそう呟くと涙を流し、すまなかった…と呟き繰り返した。
その後、正気に戻ったアクアと王太子は北の塔へと幽閉されることが決まった。
たくさんの人から恨みを買った為、払っても払っても呪いが湧き出てきてしまい、もはや手の施しようがなくなってしまった。
また、騎士団も解散されあのでっち上げ事件も、アクア本人の証言により被害者と加害者を交代することとなった。
結局、アクアの記憶は呪いによる夢で現実と夢の区別がつかなくなってしまっていた。呪いの夢に惑わされ、現実を台無しにしてしまったのだ。
長い時間を共にしたクレイにもその力は及び、巻き込まれたように崩れて行った。
さて、無事ジェントクランに帰ってきた一行は、教会にて今後の相談を始める事になる。
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