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第三十四話 この袋の中に欲しいものが
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鎧ウサギとコウモリの血を我慢して飲むと、顔の火傷が治った。
筋肉痛も治っているし、魔物の血には回復効果があるみたいだ。
これなら地獄の猛特訓も楽になる。
『あぁ~~、さっぱりした』
部屋に戻るとベッドに横になった。
キチンとお風呂に入って、身体から血を洗い流した。
お風呂の床もピカピカに磨いてきた。
これでお母さんに褒められることはあっても、怒られることはない。
『あっ、ピーちゃん。これ返すね』
窓枠に寝ているピーちゃんの横に収納袋を置いた。
僕もこの袋が欲しいな。魔物を保管するのに便利だ。
魔物の死体をお風呂場には置けない。
ピーちゃんに頼んで、冒険者ギルドで買ってきてもらおうかな?
お金はないから、袋の中に入っている魔物を売ってもらおう。
足りなかったら、ピーちゃんに簡単なクエストでもやってもらえばいい。
僕ってピーちゃんの扱い方に関してなら、多分世界一上手いだろうな。
『この袋と同じ物が欲しいの?』
『うん、お願い! 買ってきて!』
ピーちゃんが起きたので、さっそくお願いしてみた。
両手を合わせてピーちゃん様にお祈りする。
『どうして欲しいの? 何か入れるの?』
『えっ、えっと……』
まさか理由を聞かれるとは思わなかった。
正直に話したら魔物を入れる袋が欲しい理由を話さなくてはいけない。
それは面倒くさいことになりそうだ。
『お母さんにプレゼントするんだよ。収穫した野菜とか竜薬草を入れるのに便利でしょ』
『ふぅ~~ん、そうなんだ。分かった。買ってくる』
『ありがとう、ピーちゃん!』
良かった、ピーちゃんが鳥で。簡単に信じてくれた。
あっ、でも死体じゃなくてもいいのか……
血を飲むだけなら、血だけ持ってきてもらえばいい。
それなら死体に噛み付く必要がない。
美味しくても見た目が気持ち悪かったら飲みたくない。
逆に血だけの方が飲みやすいはずだ。
『あっ、袋はいらないかも』
『ピィ? 欲しいの欲しくないのどっち?』
『えっと……』
あれば便利だと思うけど、お願い聞いてもらえるなら、別のお願いを聞いてほしい。
トカゲの血が美味しいなら、ドラゴンの血はもっと美味しいはずだ。
今のピーちゃんならバターナイフで切って、傷口から血を集めるぐらいは出来そうだ。
それに強いドラゴンの血を飲めば、オオカミぐらいは片手で持ち上げられそうな気がする。
太陽に負けない身体にもなれるかもしれない。やっぱり袋よりもこっちにしよう。
『やっぱり灰色ドラゴンの血を瓶に集めてきてもらおうかな』
『……なんでそんなの欲しいの?』
また理由を聞かれたけど、ピーちゃんなら問題ない。
納得できそうな適当な理由を言えばいい。
『花壇に撒くんだよ。ウンチで凄い薬草が作れたんだよ。血ならもっと凄い薬草が作れると思うんだ。倒さなくてもいいんだよ。血ぐらいは取ってこれるよね?』
『……そうだね。出来るかもね』
『じゃあお願い。このコップ一杯、ううん、バケツ一杯取ってきて』
小さな魚が泳いでいるコップを持って頼もうとしたけど、やっぱりバケツ一杯飲みたい。
コップを置いて、ピーちゃん様に両手を合わせてお願いした。
『分かった。取ってくる』
『ありがとう、ピーちゃん!』
便利なピーちゃん様に感謝した。
『でも、もうちょっとレベル上げする。まだ勝てそうな気がしない。ついでに袋も買ってくる』
『うん、ピーちゃんにお任せするね。僕、待ってるからね』
取ってきてくれるなら何でもいい。方法はピーちゃんにお任せだ。
それまでは身体から抜いた魔物の血を瓶に集めて、それを飲みながら地獄の猛特訓だ。
♢♢♢
翌日、家を出発したピーちゃんが帰ってきたのは六日後だった。
魔物の血が切れる寸前だった。砂糖とか入れたのに、牙は血の苦い味しか分からなかった。
『も、持ってきた……』
『ピーちゃん!』
ボロボロの身体を見れば言わなくても分かる。激しい戦いだったんだね。
窓枠から落ちそうになったピーちゃんを慌てて両手で受け止めると、僕のベッドに寝かせた。
竜薬草はお母さんに取ってきてもらおう。
『こ、この袋の中に欲しいものが……』
『あ、ありがとう、ピーちゃん』
震えるクチバシで収納袋の中から、別の収納袋を取り出して渡してきた。
僕が欲しいと言ったから、本当に買ってきてくれた。
涙が出そうになりながら、袋に右手を入れると取り出した。
薪のような木材が一本出てきた。
『なに、持ってきてんじゃい!』
それを床に叩きつけた。木材は持ってきたら駄目って言ったよね!
僕が木工職人になったらピーちゃんのせいだよ!
責任取れるの! 取れないよね!
『今のは冗談。少し寝るから静かにしてて』
『くぅぅぅ!』
笑えない悪い冗談だ。
今すぐに首から収納袋を奪い取りたいけど、もしも入ってなかったらマズイ。
怒って取りに行ってくれなくなるかもしれない。
灰色ドラゴンに二度負けたピーちゃんだ。三度目もありえる。
六日も待ったんだ。一日ぐらい待ってやる。
筋肉痛も治っているし、魔物の血には回復効果があるみたいだ。
これなら地獄の猛特訓も楽になる。
『あぁ~~、さっぱりした』
部屋に戻るとベッドに横になった。
キチンとお風呂に入って、身体から血を洗い流した。
お風呂の床もピカピカに磨いてきた。
これでお母さんに褒められることはあっても、怒られることはない。
『あっ、ピーちゃん。これ返すね』
窓枠に寝ているピーちゃんの横に収納袋を置いた。
僕もこの袋が欲しいな。魔物を保管するのに便利だ。
魔物の死体をお風呂場には置けない。
ピーちゃんに頼んで、冒険者ギルドで買ってきてもらおうかな?
お金はないから、袋の中に入っている魔物を売ってもらおう。
足りなかったら、ピーちゃんに簡単なクエストでもやってもらえばいい。
僕ってピーちゃんの扱い方に関してなら、多分世界一上手いだろうな。
『この袋と同じ物が欲しいの?』
『うん、お願い! 買ってきて!』
ピーちゃんが起きたので、さっそくお願いしてみた。
両手を合わせてピーちゃん様にお祈りする。
『どうして欲しいの? 何か入れるの?』
『えっ、えっと……』
まさか理由を聞かれるとは思わなかった。
正直に話したら魔物を入れる袋が欲しい理由を話さなくてはいけない。
それは面倒くさいことになりそうだ。
『お母さんにプレゼントするんだよ。収穫した野菜とか竜薬草を入れるのに便利でしょ』
『ふぅ~~ん、そうなんだ。分かった。買ってくる』
『ありがとう、ピーちゃん!』
良かった、ピーちゃんが鳥で。簡単に信じてくれた。
あっ、でも死体じゃなくてもいいのか……
血を飲むだけなら、血だけ持ってきてもらえばいい。
それなら死体に噛み付く必要がない。
美味しくても見た目が気持ち悪かったら飲みたくない。
逆に血だけの方が飲みやすいはずだ。
『あっ、袋はいらないかも』
『ピィ? 欲しいの欲しくないのどっち?』
『えっと……』
あれば便利だと思うけど、お願い聞いてもらえるなら、別のお願いを聞いてほしい。
トカゲの血が美味しいなら、ドラゴンの血はもっと美味しいはずだ。
今のピーちゃんならバターナイフで切って、傷口から血を集めるぐらいは出来そうだ。
それに強いドラゴンの血を飲めば、オオカミぐらいは片手で持ち上げられそうな気がする。
太陽に負けない身体にもなれるかもしれない。やっぱり袋よりもこっちにしよう。
『やっぱり灰色ドラゴンの血を瓶に集めてきてもらおうかな』
『……なんでそんなの欲しいの?』
また理由を聞かれたけど、ピーちゃんなら問題ない。
納得できそうな適当な理由を言えばいい。
『花壇に撒くんだよ。ウンチで凄い薬草が作れたんだよ。血ならもっと凄い薬草が作れると思うんだ。倒さなくてもいいんだよ。血ぐらいは取ってこれるよね?』
『……そうだね。出来るかもね』
『じゃあお願い。このコップ一杯、ううん、バケツ一杯取ってきて』
小さな魚が泳いでいるコップを持って頼もうとしたけど、やっぱりバケツ一杯飲みたい。
コップを置いて、ピーちゃん様に両手を合わせてお願いした。
『分かった。取ってくる』
『ありがとう、ピーちゃん!』
便利なピーちゃん様に感謝した。
『でも、もうちょっとレベル上げする。まだ勝てそうな気がしない。ついでに袋も買ってくる』
『うん、ピーちゃんにお任せするね。僕、待ってるからね』
取ってきてくれるなら何でもいい。方法はピーちゃんにお任せだ。
それまでは身体から抜いた魔物の血を瓶に集めて、それを飲みながら地獄の猛特訓だ。
♢♢♢
翌日、家を出発したピーちゃんが帰ってきたのは六日後だった。
魔物の血が切れる寸前だった。砂糖とか入れたのに、牙は血の苦い味しか分からなかった。
『も、持ってきた……』
『ピーちゃん!』
ボロボロの身体を見れば言わなくても分かる。激しい戦いだったんだね。
窓枠から落ちそうになったピーちゃんを慌てて両手で受け止めると、僕のベッドに寝かせた。
竜薬草はお母さんに取ってきてもらおう。
『こ、この袋の中に欲しいものが……』
『あ、ありがとう、ピーちゃん』
震えるクチバシで収納袋の中から、別の収納袋を取り出して渡してきた。
僕が欲しいと言ったから、本当に買ってきてくれた。
涙が出そうになりながら、袋に右手を入れると取り出した。
薪のような木材が一本出てきた。
『なに、持ってきてんじゃい!』
それを床に叩きつけた。木材は持ってきたら駄目って言ったよね!
僕が木工職人になったらピーちゃんのせいだよ!
責任取れるの! 取れないよね!
『今のは冗談。少し寝るから静かにしてて』
『くぅぅぅ!』
笑えない悪い冗談だ。
今すぐに首から収納袋を奪い取りたいけど、もしも入ってなかったらマズイ。
怒って取りに行ってくれなくなるかもしれない。
灰色ドラゴンに二度負けたピーちゃんだ。三度目もありえる。
六日も待ったんだ。一日ぐらい待ってやる。
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