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問題です。3時間に1回分裂するスライムを洞窟に閉じ込めて、18時間後に洞窟を訪れて、経験値とお金を荒稼ぎしようとした少年はどうなりますか?
第8話・甘い学園ラブストーリーは始まりません。始まるのは新たな戦いの準備です。
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『キンコンカンコーン♬ キンコンカンコーン♬』と夏休みも終わり、2学期のスタートです。クロム少年も何とか、母親と妹に手伝ってもらい、宿題を終わらせる事が出来ました。担任の先生に怒られずに済みます。
「ねぇ? あれ、クロム君よね?」
「夏休み中、行方不明になってたらしいけど、整形してただけみたいね。中の下が、上の下になってるわよ」
「えっ~~、ギリギリ、上の中ぐらいはあるんじゃないの。ちょっとユカの採点、厳し過ぎない」
「何言ってんのよ。マミの採点が甘いだけよ。はっは~ん、それとも好きになっちゃったとか?」
「もう~やめてよ! 聞こえたら、どうするのよぉ~」
クラスの女子達が、見た目が変わったクロム少年の話しで盛り上がっているようです。太っている人が痩せたら目立ちます。眼鏡をかけた大人しい子が、タトゥーとピアスに金属バットを持ってきたら、誰かも分かりません。世の中、そんなものです。結局は顔です。
(宿題は終わったのに、何か重大な事を忘れているような………)
クロム少年はどうやら上の空のようです。クラスの女子達の声は聞こえていません。今朝から何かを思い出そうとしていますが、全然思い出せないようです。
ガラガラガラ、と突然、教室の扉が開きました。
「お~い、授業始めるぞ~」
気配を消して、教室の中を外から見ていた担任の先生が入ってきました。大人の目がない時の生徒達の日常を知る必要があります。そのお陰か、どうやら、クラスで仲間外れにあっている整形男子を見つけたようです。あとで職員室に呼び出して、悩み相談です。
「起立、礼、着セコ」
日直の号令で、クラス30人は一斉に立ち上がると、先生に向かってお辞儀します。長い夏休みが終わって、今日から2学期の始まりです。ちょっと日直が巫山戯ているようですが、夏休み明けなので仕方ありません。
「よ~し、お前達、気分を切り替えろよ。もう夏休みは終わったぞ。まずは宿題を回収する。出来てない奴は放課後居残りだからなぁ~」
教卓の上にドンドン、宿題の山が積み重なっていきます。流石は高校生です。皆んな真面目に宿題を終わらせてきたようです。
(さてと、今日から学校か。ハロウィンに、文化祭に、クリスマスぐらいしか楽しみはないだろうな)
ハロウィンは母親と妹のコスプレを見るだけ、クリスマスはミニスカサンタとケーキを食べるだけです。大したイベントは何もありません。
(称号・薬草人間の能力を活かせれば、お金儲けが出来そうなんだけどなぁ~)
《称号・薬草人間》の効果で、クロム少年が触れば、傷を回復させる事が出来ます。ちょっとした切り傷や擦り傷ぐらいは簡単に治せます。
生傷が絶えない体育会系のクラブ活動の治療を専門にやれば、有料治療でも結構な日銭を稼ぐ事が出来そうです。
「xy -x -y+1の時」
今は数学の授業中のようです。クロム少年も頭の中でしっかりとお金儲けという数学の勉強をしています。問題はないようですね。
(でも、手で触れて治療するよりも、あの草薙の剣で攻撃した方が回復量が凄いから、マッサージ店でも開けば繁盛すると思うけど、資格がいるからなぁ~)
マッサージ店として開業するなら、《あん摩マッサージ指圧師》の国家資格が必要ですが、《もみほぐし》や《リラクゼーション》の医療類似行為は資格はいりません。保健所に申請を出せば、何とか自分だけの小さな店を出せるかもしれません。
ただし、お客様を剣で切って治療するという変なお店になってしまいますが。
(やっぱり資金が必要だけど、スライムだと1か月で、たったの3万ゴールドだし………んんっ? スライム?)
クロム少年は何か重大な事をもう少しで思い出せそうです。そういえば、洞窟に閉じ込めていたスライムはあの後、どうなったのでしょう?
洞窟を脱出した時は、まだキングスライム1匹とスライム32匹が残っていました。放置して今日で3日目ぐらいです。結構な数のキングスライムが誕生しているはずです。もう洞窟の中は危険地帯です。普通の人は入ったら、生きては出られないでしょう。
(あっ! あっ~~~、そうか! スライム倒すの忘れてたんだ。何匹かキングスライムになって外に出てるかも。まあ、大人が気付いて倒してくれるよね)
それは無理です。レベルを上げ、モンスターを好んで倒していた時代は、もう何千年も昔の事です。今では魔法もその存在を忘れられたぐらいです。誰かが倒してくれるのを期待するのは間違いです。
いずれは洞窟の中に入り切れなくなったキングスライムが野に放たれる事になるでしょう。そして、倒せるのはクロム少年、1人だけです。
(別に急がなくてもいいか。今度の週末にでも、確かめに行こうかな。………増えていたら、ヒッヒッヒッ♬ 倒してお金を稼ぐ事出来るしね)
キングスライム1匹で経験値『600』、お金は『164』ゴールドも獲得できます。経験値はスライムの『300倍』、お金は『41倍』です。倒せる力があるのなら、かなり美味しい相手です。まさにボーナスモンスターです。
♦︎
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あっという間の週末です。下駄箱のラブレターに、初めて告白されるなどのちょっとしたイベントがクロム少年にはありましたが、そんなものはどうでもいいです。
前回のようにアイテムポーチに道具を詰め込んでいきます。武器は棍棒(攻撃力+7)から鋼の剣(攻撃力+45)に変更しました。お値段はたったの『2000』ゴールドと格安です。
この世界の値段設定はちょっとおかしいですが、いちいち気にしていては駄目です。それがファンタジーの世界の常識です。
「今回は草薙の剣があるから、1ターンでHP全回復できる。武器としては使えないけど、この剣は優れた回復アイテムだ。これならキングスライムも倒し放題できる」
前回のようなミスはしません。大昔のモンスター図鑑を調べた限り、キングスライムは何匹集まっても、合体しません。つまりはキングスライムが最終進化形という事です。今回は安心、安全なモンスター狩りになりそうです。
「ねぇ? あれ、クロム君よね?」
「夏休み中、行方不明になってたらしいけど、整形してただけみたいね。中の下が、上の下になってるわよ」
「えっ~~、ギリギリ、上の中ぐらいはあるんじゃないの。ちょっとユカの採点、厳し過ぎない」
「何言ってんのよ。マミの採点が甘いだけよ。はっは~ん、それとも好きになっちゃったとか?」
「もう~やめてよ! 聞こえたら、どうするのよぉ~」
クラスの女子達が、見た目が変わったクロム少年の話しで盛り上がっているようです。太っている人が痩せたら目立ちます。眼鏡をかけた大人しい子が、タトゥーとピアスに金属バットを持ってきたら、誰かも分かりません。世の中、そんなものです。結局は顔です。
(宿題は終わったのに、何か重大な事を忘れているような………)
クロム少年はどうやら上の空のようです。クラスの女子達の声は聞こえていません。今朝から何かを思い出そうとしていますが、全然思い出せないようです。
ガラガラガラ、と突然、教室の扉が開きました。
「お~い、授業始めるぞ~」
気配を消して、教室の中を外から見ていた担任の先生が入ってきました。大人の目がない時の生徒達の日常を知る必要があります。そのお陰か、どうやら、クラスで仲間外れにあっている整形男子を見つけたようです。あとで職員室に呼び出して、悩み相談です。
「起立、礼、着セコ」
日直の号令で、クラス30人は一斉に立ち上がると、先生に向かってお辞儀します。長い夏休みが終わって、今日から2学期の始まりです。ちょっと日直が巫山戯ているようですが、夏休み明けなので仕方ありません。
「よ~し、お前達、気分を切り替えろよ。もう夏休みは終わったぞ。まずは宿題を回収する。出来てない奴は放課後居残りだからなぁ~」
教卓の上にドンドン、宿題の山が積み重なっていきます。流石は高校生です。皆んな真面目に宿題を終わらせてきたようです。
(さてと、今日から学校か。ハロウィンに、文化祭に、クリスマスぐらいしか楽しみはないだろうな)
ハロウィンは母親と妹のコスプレを見るだけ、クリスマスはミニスカサンタとケーキを食べるだけです。大したイベントは何もありません。
(称号・薬草人間の能力を活かせれば、お金儲けが出来そうなんだけどなぁ~)
《称号・薬草人間》の効果で、クロム少年が触れば、傷を回復させる事が出来ます。ちょっとした切り傷や擦り傷ぐらいは簡単に治せます。
生傷が絶えない体育会系のクラブ活動の治療を専門にやれば、有料治療でも結構な日銭を稼ぐ事が出来そうです。
「xy -x -y+1の時」
今は数学の授業中のようです。クロム少年も頭の中でしっかりとお金儲けという数学の勉強をしています。問題はないようですね。
(でも、手で触れて治療するよりも、あの草薙の剣で攻撃した方が回復量が凄いから、マッサージ店でも開けば繁盛すると思うけど、資格がいるからなぁ~)
マッサージ店として開業するなら、《あん摩マッサージ指圧師》の国家資格が必要ですが、《もみほぐし》や《リラクゼーション》の医療類似行為は資格はいりません。保健所に申請を出せば、何とか自分だけの小さな店を出せるかもしれません。
ただし、お客様を剣で切って治療するという変なお店になってしまいますが。
(やっぱり資金が必要だけど、スライムだと1か月で、たったの3万ゴールドだし………んんっ? スライム?)
クロム少年は何か重大な事をもう少しで思い出せそうです。そういえば、洞窟に閉じ込めていたスライムはあの後、どうなったのでしょう?
洞窟を脱出した時は、まだキングスライム1匹とスライム32匹が残っていました。放置して今日で3日目ぐらいです。結構な数のキングスライムが誕生しているはずです。もう洞窟の中は危険地帯です。普通の人は入ったら、生きては出られないでしょう。
(あっ! あっ~~~、そうか! スライム倒すの忘れてたんだ。何匹かキングスライムになって外に出てるかも。まあ、大人が気付いて倒してくれるよね)
それは無理です。レベルを上げ、モンスターを好んで倒していた時代は、もう何千年も昔の事です。今では魔法もその存在を忘れられたぐらいです。誰かが倒してくれるのを期待するのは間違いです。
いずれは洞窟の中に入り切れなくなったキングスライムが野に放たれる事になるでしょう。そして、倒せるのはクロム少年、1人だけです。
(別に急がなくてもいいか。今度の週末にでも、確かめに行こうかな。………増えていたら、ヒッヒッヒッ♬ 倒してお金を稼ぐ事出来るしね)
キングスライム1匹で経験値『600』、お金は『164』ゴールドも獲得できます。経験値はスライムの『300倍』、お金は『41倍』です。倒せる力があるのなら、かなり美味しい相手です。まさにボーナスモンスターです。
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あっという間の週末です。下駄箱のラブレターに、初めて告白されるなどのちょっとしたイベントがクロム少年にはありましたが、そんなものはどうでもいいです。
前回のようにアイテムポーチに道具を詰め込んでいきます。武器は棍棒(攻撃力+7)から鋼の剣(攻撃力+45)に変更しました。お値段はたったの『2000』ゴールドと格安です。
この世界の値段設定はちょっとおかしいですが、いちいち気にしていては駄目です。それがファンタジーの世界の常識です。
「今回は草薙の剣があるから、1ターンでHP全回復できる。武器としては使えないけど、この剣は優れた回復アイテムだ。これならキングスライムも倒し放題できる」
前回のようなミスはしません。大昔のモンスター図鑑を調べた限り、キングスライムは何匹集まっても、合体しません。つまりはキングスライムが最終進化形という事です。今回は安心、安全なモンスター狩りになりそうです。
応援ありがとうございます!
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