私に悪役令嬢を強要してくる転生者なヒロインと悪役令嬢にはなりたくない転生者じゃない私

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私は週のうち5日登城している。
2日は殿下とのお茶会あとの3日は王妃教育。とは言うものの私は小さい頃から殿下の婚約者なので王妃教育は本当は既にほぼ終わっている。
ならば何をしに行っているかと言うと主には王妃様のお話(愚痴･･･惚気け)を聞きに行っている。
王様が真面目で全然構ってくれないとか、いつまでも格好良くて困るとか。
その話を聞く度にこんな夫婦になりたいなって思う。そもそも王族で恋愛結婚など珍しい。かくいう王様と王妃様も元々は政略結婚だったが初めて会ってお互いに惹かれあったとかで今でもラブラブなのだ。まぁそんなお2人を1番近くで見て育った殿下が･･･それはそれは気持ちをストレートに伝えて下さるのは当然の事なのかもしれない。
「会いたかったよエミリア！」
城に着く度に熱烈に歓迎してくださるこの方がルシード殿下、その隣にはいつものように側近のグレン様。
「殿下、一昨日お会いしたところです」
いつもそう言って殿下の言葉にツッコミを入れている。
「私も楽しみにしておりましたわ」
私がそう言うとほら見ろ！と言わんばかりにグレン様にドヤ顔をする殿下に対してグレン様は「エミリア様はお優しいので殿下に気を使って下さっているんですよ」と言いながら先に行ってしまわれた。
そんなグレン様の背中を見送りながら私達はいつもお茶会をしている城の薔薇園へと向かう。

「いつ来ても素晴らしい薔薇園ですね」
私がそう言うと嬉しそうに微笑んで下さる殿下。こうして黙って立っていれば本当に爽やかな王子様なんですけれどねぇ。
「さあそろそろ座って」
そう言って椅子を殿下自ら引いて下さる、本当にお優しい。
「ありがとうございます」
いつものように穏やかで優しい時間がすぎていく。
「そういえば殿下、昨日は学園の方に行かれてたんですよね？どうでしたか？皆変わりなく過ごしていましたか？」
そう、殿下はご公務と私とのお茶会の日以外は学園に通っていらっしゃる。
私も一応学園に席を置いてはいるが殿下とのお茶会が増えたのと王妃教育とでなかなか日が取れず最近は通えて居ない。そもそも貴族の女子で学園に通うのは1つ結婚相手を見つける為という理由もあってなので私には勿論そこは必要無いので通わなくても問題無い。成績はテストだけ受けに行っているし、そこでちゃんと点数が取れれば卒業させてくれる。
「そうだねぇ、皆変わりなく過ごしているよ。エミリアと会えなくて寂しいと言っているご令嬢達もいたから近いうちに学園に顔を出せるといいね」
「そうですね。王妃教育もほぼ終わっておりますし、そろそろまた通えるようになるかもしれませんね」
「そうか、良かったね」
「はい！」
「･･･あー、そういえば最近平民の子で途中から学園に入ってきた子がいたなぁ」
「へぇ･･･」
私達が通う学園は一応貴族向けの学園。しかしその学園にも1部平民の子達が通う、それは余程何かに秀でている人達。飛び抜けて頭がいいとか武芸に秀でているとか･･･あとは魔力。
この国には一応魔法がある。もっと昔には沢山の魔法を使える人達がいたようなのだが時間の経過と共に少なくなっていった。それでも中には魔力を持って生まれる人もいて、そんな子達は学園にある魔法科に例外無く入れられて魔法の使い方を学ぶ。放って置いたら危ないから。
「生まれてすぐ魔力検査をするはずですのに･･･その方後発ですか？」
「そうらしい･･･しかもちょっと珍しい魔力らしい」
そう、この国では生まれた子供全てに生まれてすぐに魔力検査を施す、なので学園に入る年になると必ず学園に通う事になる。だから本来ならば途中で学園に入って来るなんて事は無いのだが･･･稀にごくごく稀に後発的に魔力が発現する人がいる。
「いつかお会い出来るといいですね」
私が笑顔でそう言うと
「･･･そうだね」
と殿下。しかしその顔が一瞬険しくなったように見えたのは･･･私の気のせいかしら？