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久しぶりに通う学園は表立ってはなんの変哲もない普通の学園だった。
「変わった様子は無いけれど・・・」
でもグレン様が嘘をつく理由も無いわけで・・・。でも気にし過ぎていてもしょうがないわ、今の所私に何かある訳では無いのだし。そう、第1何も起こらないかもしれないのだし。
「おはようございます」
私は久しぶりの自分のクラスで挨拶をする。
「まあ、エミリア様お久しぶりです」
「お久しぶりです」
彼女は私が仲良くしているシェイラ。
私と同じ侯爵家の生まれで実はお兄様の婚約者。
「貴方のお家に行ってもいつもいないのですもの」
「ほとんどお城で過ごしてましたから」
「そうみたいねぇ。王妃様と殿下にも困ったものね」
「ふふっでも王妃様も殿下もお優しくて・・・私、殿下の婚約者で幸せだわ」
「ハイハイ、ご馳走様」
私に向かって肩を竦める。
「そう言う貴方も私目当てで屋敷に行ったように言っていたけれど・・・本当はお兄様目当てでしょ」
「ふふっそれは当然でしょ。私も婚約者様の事大好きだもの」
「・・・何だか身内のそう言う話は複雑だわ・・・」
私とシェイラは顔を見合わせて笑いあった。
「・・・そういえば、ちらっと聞いたんだけれど。学園がちょっとおかしいって・・・」
私がそう言うと今まで穏やかに笑っていたシェイラの顔が一瞬険しくなった。でも、それも一瞬ですぐにまた笑顔になった。
「いいえ、そんな事は無いわ」
「・・・そう」
シェイラが嘘を付いているのは一目瞭然で分かったがシェイラが私に隠し事をするような人物では無いのも確かで・・・それはすなわち私に言えない理由があると言うこと・・・。
昼休み、私は殿下に一緒にお昼を食べようと誘われていた。
食堂へと向かう途中通りかかった中庭の建物の陰から声がした、いつもなら知らぬ振りをして通り過ぎるのだがその時は何故か少し気になって声のする方へ足を向けた。姿は見えないが声が段々とハッキリ聞こえてくる・・・。
「エミリアなんて所詮悪役令嬢なのよ!早くあんな女と婚約破棄して私を婚約者にして」
・・・・・・・・・・・・。な・・・に・・・?
今、私の名前が聞こえた・・・。それに婚約破棄?
私は相手に分からないようにそっと声のする方を覗き込んだ。
するとそこには見慣れた殿下の背中。その向こうに、この学園の制服を着た少女。チラチラ見えるその髪は夢の少女と同じピンクブロンド・・・。
少女は殿下の手をとりこう言った。
「この物語のヒロインは私なの、貴方は私を選んで初めて幸せになれるのよ」
そう言って少女は笑ったようだった。
あれから殿下との約束の食堂には行かなかった、普通に出来る自信が無かった。教室に戻り体調が悪いからと言って急いで帰って来た。
・・・どういう事なの?何故殿下はあんな所で女子生徒と2人で会っていたのだろうか・・・。
しかも婚約破棄って・・・ヒロインって何?殿下もシェイラも・・・私に何か隠している・・・何でなの?
私の事を悪役令嬢と言っていた、あの子は夢の少女なのだろうか・・・。夢の少女と同じ髪の色の少女。
私はあの夢のようになってしまうのだろうか。
何故だか涙が溢れて止まらなかった。
夢を見るのが怖かった。その夜、眠れずに声を殺して泣いた。
「変わった様子は無いけれど・・・」
でもグレン様が嘘をつく理由も無いわけで・・・。でも気にし過ぎていてもしょうがないわ、今の所私に何かある訳では無いのだし。そう、第1何も起こらないかもしれないのだし。
「おはようございます」
私は久しぶりの自分のクラスで挨拶をする。
「まあ、エミリア様お久しぶりです」
「お久しぶりです」
彼女は私が仲良くしているシェイラ。
私と同じ侯爵家の生まれで実はお兄様の婚約者。
「貴方のお家に行ってもいつもいないのですもの」
「ほとんどお城で過ごしてましたから」
「そうみたいねぇ。王妃様と殿下にも困ったものね」
「ふふっでも王妃様も殿下もお優しくて・・・私、殿下の婚約者で幸せだわ」
「ハイハイ、ご馳走様」
私に向かって肩を竦める。
「そう言う貴方も私目当てで屋敷に行ったように言っていたけれど・・・本当はお兄様目当てでしょ」
「ふふっそれは当然でしょ。私も婚約者様の事大好きだもの」
「・・・何だか身内のそう言う話は複雑だわ・・・」
私とシェイラは顔を見合わせて笑いあった。
「・・・そういえば、ちらっと聞いたんだけれど。学園がちょっとおかしいって・・・」
私がそう言うと今まで穏やかに笑っていたシェイラの顔が一瞬険しくなった。でも、それも一瞬ですぐにまた笑顔になった。
「いいえ、そんな事は無いわ」
「・・・そう」
シェイラが嘘を付いているのは一目瞭然で分かったがシェイラが私に隠し事をするような人物では無いのも確かで・・・それはすなわち私に言えない理由があると言うこと・・・。
昼休み、私は殿下に一緒にお昼を食べようと誘われていた。
食堂へと向かう途中通りかかった中庭の建物の陰から声がした、いつもなら知らぬ振りをして通り過ぎるのだがその時は何故か少し気になって声のする方へ足を向けた。姿は見えないが声が段々とハッキリ聞こえてくる・・・。
「エミリアなんて所詮悪役令嬢なのよ!早くあんな女と婚約破棄して私を婚約者にして」
・・・・・・・・・・・・。な・・・に・・・?
今、私の名前が聞こえた・・・。それに婚約破棄?
私は相手に分からないようにそっと声のする方を覗き込んだ。
するとそこには見慣れた殿下の背中。その向こうに、この学園の制服を着た少女。チラチラ見えるその髪は夢の少女と同じピンクブロンド・・・。
少女は殿下の手をとりこう言った。
「この物語のヒロインは私なの、貴方は私を選んで初めて幸せになれるのよ」
そう言って少女は笑ったようだった。
あれから殿下との約束の食堂には行かなかった、普通に出来る自信が無かった。教室に戻り体調が悪いからと言って急いで帰って来た。
・・・どういう事なの?何故殿下はあんな所で女子生徒と2人で会っていたのだろうか・・・。
しかも婚約破棄って・・・ヒロインって何?殿下もシェイラも・・・私に何か隠している・・・何でなの?
私の事を悪役令嬢と言っていた、あの子は夢の少女なのだろうか・・・。夢の少女と同じ髪の色の少女。
私はあの夢のようになってしまうのだろうか。
何故だか涙が溢れて止まらなかった。
夢を見るのが怖かった。その夜、眠れずに声を殺して泣いた。
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