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ウェルヘムの回想
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まさかリリアンが私とスカーレットの関係に感付いているとは知らなかった。
結婚する前から私に対して疑う事など殆どしなかった妻が。
もしかしてスカルとジゼルがリリアンに告げ口でもしたのか?
ありそうだな、確かに。
スカルはともかくジゼルは私とは昔からの親しい友人ではあるものの、愛しのスカーレットには嫌悪感を抱いており私と彼女と関係を持っている事には断固として反対している。
私がいくら彼女の事をどれだけ愛しているとか、大事にしていきたいと粘り強く説得しているが未だに首を立てに振ってはくれないどころか妻はどうする、悪評が付きまとう彼女では納得出来ない、今すぐ別れてくた方が君の為だと激しく叱咤してくる始末。
いい加減にしてくれ。
私は最初からリリアンの事なんてそれ程愛している訳では無いんだ。
私がリリアンにプロポーズをして結婚したのはお父様から公爵の地位を譲り受ける為の嘘なのだと現在でも思っているんだ。
何故だが知らないがお父様は嫡男である私よりも二つ下の弟であるラフェルと二年前に養子として迎えられたガゼットの方に愛情や期待をかけている。
その反動なのかは知らないがお父様は私に対してそれ程関心は持っていない。
笑顔を見せる事も、反対に本気で怒る事もせずにただ後ろ向いて私が話かけてくるまで返事をしない。
むしろ放置されているといって良いくらいだ。
だが私自身にも非が無いわけではないのは確かだ…認めたくは無いがな。
私自身は容姿や女性に関するエスコート等、社交界での必要なスキルにはラフェルとカゼットには負けない自信はある!
……が騎士や領主としての才覚はその二人よりも遥かに劣っている自覚はあった。
ラフェルは私よりもやや地味な容姿でいつも眼鏡をかけているが語学や数学に置いては学院内では一、二位を争う程に成績優秀で卒業してからは博士号を修得している。
その為、お父様としてはリリアンを私では無くラフェルと結婚をさせたかったみたいだが私が嫡男である事とリリアンが私に好意を抱いていたので仕方無しに諦めたみたいだが…。
ガゼットの方は元々、ここから遠く離れた田舎の小さな町を治めている男爵家の息子でしかなかったが乗馬や剣術に優れている為、お父様はその高い実力と功績を買われた上に、彼の両親が不治の病に偶然にもかかってしまった事で養子にする事をお母様とラフェルと相談して決めてしまった。
私は心の中では、断固として反対したかったが両親とラフェルが決めた事なので直接意見など出来る訳がない…腹立たしいがな。
ラフェルとガゼットは意見が合うのか実の兄弟の様に互いに信頼し合う関係にあり、ラフェルは自身よりも六歳も年上で精悍で義理堅い性格をしているガゼットに剣術を教わり、ガゼットもまたラフェルから語学や数学といった様々な学問を教わっている。
実の兄である私とは偉い違いだ…。
だか私には嫡男であり、れっきとした跡継ぎであり、どんなに剣術や学問に優れていようともその生まれだけは絶対で、容姿でも私の方が断然上の筈だ!!
流石のお父様も嫡男もある私が跡継ぎである事を受け入れてはいるものの、口煩く厳格な性格には変わりがなかったから半ば強引にリリアンと結婚をしろと迫って来た。
そんなお父様に煩わしさを感じてはいたが、断れば何をされるか分かったものではないと思ったので彼女と接触した。
リリアンは私が今まで付き合って来た中で一番の美貌を持つが、中身は酷くつまらない性格をした女性だと落胆した。
何せ大嫌いなラフェルとガゼットと同じ性格だからだ。
違いがあるとすれば、社交界での嗜みやマナーは出来るという事だけか……。
それ以外は常に内政や外交の仕事の話が殆どで、それ以外の話はあまりしてこない。
朝早くから領民への挨拶や財政管理、農作物や家畜の品種改良や生産の管理をほぼ私無しにこなす事が多くて私のする仕事なんて妻であるリリアンの相談をただ聞くだけだ。
楽しみにしている社交界だって、隣にいるリリアンによって私の存在はどうしても少し霞んでしまう事も珍しく無かった。
だからこそ思ってしまう、こんストレスのたまる妻との生活を続けてもいいのだろうかと……。
この時初めてウェルヘムの浮気心が芽生え始めた。
結婚する前から私に対して疑う事など殆どしなかった妻が。
もしかしてスカルとジゼルがリリアンに告げ口でもしたのか?
ありそうだな、確かに。
スカルはともかくジゼルは私とは昔からの親しい友人ではあるものの、愛しのスカーレットには嫌悪感を抱いており私と彼女と関係を持っている事には断固として反対している。
私がいくら彼女の事をどれだけ愛しているとか、大事にしていきたいと粘り強く説得しているが未だに首を立てに振ってはくれないどころか妻はどうする、悪評が付きまとう彼女では納得出来ない、今すぐ別れてくた方が君の為だと激しく叱咤してくる始末。
いい加減にしてくれ。
私は最初からリリアンの事なんてそれ程愛している訳では無いんだ。
私がリリアンにプロポーズをして結婚したのはお父様から公爵の地位を譲り受ける為の嘘なのだと現在でも思っているんだ。
何故だが知らないがお父様は嫡男である私よりも二つ下の弟であるラフェルと二年前に養子として迎えられたガゼットの方に愛情や期待をかけている。
その反動なのかは知らないがお父様は私に対してそれ程関心は持っていない。
笑顔を見せる事も、反対に本気で怒る事もせずにただ後ろ向いて私が話かけてくるまで返事をしない。
むしろ放置されているといって良いくらいだ。
だが私自身にも非が無いわけではないのは確かだ…認めたくは無いがな。
私自身は容姿や女性に関するエスコート等、社交界での必要なスキルにはラフェルとカゼットには負けない自信はある!
……が騎士や領主としての才覚はその二人よりも遥かに劣っている自覚はあった。
ラフェルは私よりもやや地味な容姿でいつも眼鏡をかけているが語学や数学に置いては学院内では一、二位を争う程に成績優秀で卒業してからは博士号を修得している。
その為、お父様としてはリリアンを私では無くラフェルと結婚をさせたかったみたいだが私が嫡男である事とリリアンが私に好意を抱いていたので仕方無しに諦めたみたいだが…。
ガゼットの方は元々、ここから遠く離れた田舎の小さな町を治めている男爵家の息子でしかなかったが乗馬や剣術に優れている為、お父様はその高い実力と功績を買われた上に、彼の両親が不治の病に偶然にもかかってしまった事で養子にする事をお母様とラフェルと相談して決めてしまった。
私は心の中では、断固として反対したかったが両親とラフェルが決めた事なので直接意見など出来る訳がない…腹立たしいがな。
ラフェルとガゼットは意見が合うのか実の兄弟の様に互いに信頼し合う関係にあり、ラフェルは自身よりも六歳も年上で精悍で義理堅い性格をしているガゼットに剣術を教わり、ガゼットもまたラフェルから語学や数学といった様々な学問を教わっている。
実の兄である私とは偉い違いだ…。
だか私には嫡男であり、れっきとした跡継ぎであり、どんなに剣術や学問に優れていようともその生まれだけは絶対で、容姿でも私の方が断然上の筈だ!!
流石のお父様も嫡男もある私が跡継ぎである事を受け入れてはいるものの、口煩く厳格な性格には変わりがなかったから半ば強引にリリアンと結婚をしろと迫って来た。
そんなお父様に煩わしさを感じてはいたが、断れば何をされるか分かったものではないと思ったので彼女と接触した。
リリアンは私が今まで付き合って来た中で一番の美貌を持つが、中身は酷くつまらない性格をした女性だと落胆した。
何せ大嫌いなラフェルとガゼットと同じ性格だからだ。
違いがあるとすれば、社交界での嗜みやマナーは出来るという事だけか……。
それ以外は常に内政や外交の仕事の話が殆どで、それ以外の話はあまりしてこない。
朝早くから領民への挨拶や財政管理、農作物や家畜の品種改良や生産の管理をほぼ私無しにこなす事が多くて私のする仕事なんて妻であるリリアンの相談をただ聞くだけだ。
楽しみにしている社交界だって、隣にいるリリアンによって私の存在はどうしても少し霞んでしまう事も珍しく無かった。
だからこそ思ってしまう、こんストレスのたまる妻との生活を続けてもいいのだろうかと……。
この時初めてウェルヘムの浮気心が芽生え始めた。
応援ありがとうございます!
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