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ユグドラシル1週間

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転位から1週間。

あれから色々と歩き回り、水場を見つけた。
森に流れる小川のような物だ。
そこまで深くはなく、川底が見えるくらいには綺麗である。
川魚もちらほらと見かけ、最近はこの川沿いを歩いて、人里を探していた。

水場近くに集落が出来るのは前世の歴史が証明してるのだ。

何よりも水無し生活を三日間続けた俺には、水場を見失うというのは恐怖である。
水源を見つけられたのはこの一週間で最大の功績と言っても過言ではないほどだ。

もちろん、他にもいろいろ変わったことはある。
まずは、食生活。
初めの二三日はひたすらポプラの実を食べていたが、今ではほとんど食べていない。
代わりに食ってるのが、『グレンの実』や『アオサイ』などと言うの美味しい木の実。それと山に時折出る獣だ。
ちなみに、グレンの実はリンゴのような形をしたリンゴだ。
アオサイは見た目ブルーでマズそうだが、シャキシャキのレタスみたいで結構おいしい。
他にも、『レオンジ』や『グリンポース』、『ぐりけっと』なども食っている。
まあ、これらの実はほとんどデザートか前菜用の食べ物だが・・・


二つ目は、ステータス。
鑑定を使い続けていたら、鑑定の性能が上がった。
初めはスキルと名前、職業しか見れなかったが
今では、MPやHPなども見えるようになった。

―――――――――――――――――
名前 伊藤 敦
種族 ヴァンパイアLv.1
MPバー  HPバー
職業 狩猟師Lv.5 ウルフキラーLv.3
Aスキル
『筋力増強(極)』『握力増強(大)』『威圧Lv.3』『吸血』『噛みつく』『我慢』
Bスキル
『MP補正(極)』『獲得スキルポイント上昇(大)』
収納品
『王緑藻』『素敵な石』・・・
保有スキルポイント・・・55P
―――――――――――――――――

MPとHPは正確な数値が見えるのではなく、ゲームに出てくるような、棒状で見える。
HPやMPが減ると段々と長さが小さくなり、色が緑→黄色→赤と変化していくのだ。
何でそこまで分かるかって?
一回試しに鑑定を使いまくったら、そうなったからだ。

おかげでほら?Aスキルに『我慢』が増えた。
あれは気絶しそうになったので、スキルポイント10Pと交換で手に入れたのだ。
さらに上位スキルに『忍耐』と言うのがあったが、これは100P必要だったので諦めた。

普通に高すぎる・・・

他にも吸血や噛みつくと言ったスキルが増えたが、これはポイントで得たのではなく、気づいたら増えていたもの。
理由は分からん。
特に変わったことはしてないし、スキルについて詳しく知っている訳でもないからな。

あと変わった事と言うと、職業が増えた!

狩猟師Lv.5とウルフキラーLv.3
文字通り『スモールウルフ』と言う獣を(正確にはモンスターです)狩りまくったら、手に入ったものだ。
この5日間で20匹以上は狩ったと思う。

もはや3匹くらいなら、同時でも余裕で勝てる。


「グルルルル――――――――――」


そんな事を考えていたせいでは無いと思うが、獣のいななく声が聞こえた。
声の方を向いてみると、最近ではもう見られた獣がいる。
『スモールウルフ』
文字通り小さい狼だ。
数は一匹。
余裕だ。


とは言え、油断は禁物。一応鑑定を使っておく。

―――――――――――――――――

スモールウルフ
Lv.7  

―――――――――――――――――

俺が今まで倒した最高レベルが13だから、やはり問題ないだろう。

さて、この狼どうしようか?

スモールウルフを殺しますか?
1.殺す  2.殺さない

もちろん1だ。
今腹減って無いし、殺さなくてもいいのだが、
放って置くと仲間を呼ばれる可能性がある。
一度仏心を起こして、酷い目にあったから、それ以降見つけたら殺すことにしてる訳だ。


俺は『吸血グローブ』がしっかり付いていることを確認し、スモールウルフを見やった。


スモールウルフは俺から三メートルくらい離れた場所で、警戒した目つきで俺を睨んでいる。
やはり、仲間がいないと然して攻撃的にはならないようだ。
まあ、俺には関係ない。

俺は『筋力増大(極)』と『握力増強(大)』を使い、スモールウルフに襲い掛かった。

スモールウルフは驚いて横っ飛びで逃げだしたが、俺は更にそれを追い、襟首を掴み上げる。
そのまま吸血グローブの基本能力で全身の血を吸い上げ、干からびるのを待つ。
ウルフは初めはジタバタと手足をもがき、抵抗もしていたが、
それも数秒で終わり。

「あっけない・・・・。」

正しくその一言に尽きる完全な勝利。
ここ最近は当たり前になった光景。
はたしてウルフが弱いのか?俺が強いのか?
前者だとは思うが・、吸血グローブと言うチートアイテムの寄与も少なくない効果があるだろう。

このグローブ使ってるうちに、そのチートぶりがよく分かった。

各種アビリティーの性能アップはもちろん、MP吸収やHP吸収機能まである。
おかげで戦闘でも疲れないし、MPやHPが枯渇することも無い。
おまけに完全吸血機能で、血抜きの手間も省けると来た。
ここまで来ると、何か大きなデメリットがありそうで怖くなる次元だ。

*デメリットあります。

考えたところで分かることでもないので、今は放置。
俺は、スモールウルフをアイテムボックスへ放り投げた。
この後も、いつも通りに、鑑定を使いながら鑑定の性能強化と珍しいものの発見に努め、
時折襲ってくる獣を撃退しながら、川沿いを下っていく。

(今日も何事もなく終わるのだろう・・・)

正午ごろ、そう思い始めた時、
唐突に少女の甲高い悲鳴が森に響き渡った。
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