上 下
8 / 14

原作修正、身体を張って頑張ります1

しおりを挟む



.


とってもまずいことになりました

どうやらこの物語の主人公の頭が突然狂い、原作からかなりかけ離れてしまったようです

そろそろ舞踏会のシーンが近いというのに、猿のように近親相姦祭りをしているこの一家は完全に崩壊してしまってます

これはどうやら魔法使いの出番が必要な時です

「…えっ!?ちょっと!なんか他人任せにしてない!?」

魔法使いの魔法で、逸れてしまったあの者の軌道修正をするのです

「いやいや!僕はせいぜいカボチャの馬車とドレスを出すくらいしか出来ないよ!?」

それでは魔法使いに新たな魔力を授けましょう
そしてこの物語にハッピーエンドが訪れるよう尽力しなさい

「えぇっ!待って!一体どうすればいいのさ!おーいこの投げやりナレーション~~!」



.



チュンチュンと小鳥がさえずり、屋根裏部屋の窓に昼の眩しい陽の光が差し込む

心地よく寝ていたシンデレラは、その強い日差しに起こされる

「う…眩しい……身体…だる…」

昨日はずっとお楽しみだったせいで、流石の現役十代の精力旺盛なこの身体にも堪えた

まあ身体自身、以前のものとは違うせいでかなり疲れを感じてしまっているようだけど

「あれ…俺…自分でここまで来たのか…」

確か最後に記憶にあるのは、マシューをメス堕ちさせた後、コナーも交えてまた何度も身体を重ねた所で疲れてそのまま寝てしまったように思えるが、身なりもきちんと整い現に屋根裏部屋で目覚めている

「まあ…いっか…てか今何時だ…」

当然この部屋に時計なんかはあるわけなく、自分がどれだけ睡眠を貪っていたのかが分からない

一つ懸念しているのは、目覚めた義父が怒りで俺を殺しに来るんじゃないかと思っていたが、それもない

頭を掻き、寝ぼけ頭で思考を巡らせても埒が明かないので、重い腰を上げ屋根裏部屋を降りた

階段を降りきった所で、ちょうど部屋から出てくるコナーと鉢合う

目が合うとコナーは、何見てるんだと少し気まずそうにだが、踵を返してエントランスに向かい、屋敷から出て行ってしまった

「なんだあいつ。つれないやつだな」

昨日は腹ごしらえもせず何発もかましたせいで、流石に腹が空き過ぎてまた同じようにリビングのような所を物色する

特にめぼしいものはなかったが、テーブルに添えてあるフルーツが盛り合わさった山を適当に手に取って食べた

すると隣の部屋が開く音が聞こえる

隣は確かお義父様の部屋だったような

「やべ…まずいぞ…」

今ここで鉢合うと完全に締め殺される気しかしない
急いで立ち上がり、フルーツのバスケットを片手にリビングから立ち去ろうと扉のドアノブに手を掛けようとしたら、それよりも早く向こう側から扉が開かれた

「…ッ!……オハヨーゴザイマス…」

「…ッ!貴様…何してる……まぁ、いい…消えろ、目障りだ」

またまたやはり気まずそうにだが、義父も昨日の事を咎める様子もなくこちらを睨みながらリビングから追い出された

「……??」

怪訝に思った俺は、居なくなったお義父様の扉を開け中の様子を見る

当然そこには、昨日散々汚した赤く染みるベッドのシーツや、お義父様に使った色々な道具が転がっているはずだが、何もなかったように綺麗な状態だった

「んん?おかしいな…」

そして驚く事に、昨日空けたワインボトルすら、またテーブルの上で封も開いていない状態で置かれていたことに唖然とする


何がどうなってるんだ?

それでもシンデレラ的には、命が助かったと安直に考えるだけで、特に気にせずマシューの部屋に向かった

ノックもせずに扉を開けると、そこにはソファに掛け本を読んでいたらしいマシューがビックリしてこちらを振り向く

そしてカァッと顔を赤らめるも、すぐに顔を背けて何勝手に入ってきてんだよ出ていけ!と罵倒するだけだった

「マシュー、昨日は…」


そこまで言いかけたところで、突然強い力で後ろから引っ張られ、マシューの部屋から引き離される

驚いた俺は、おい誰だ!と後ろを振り向くが、そこには誰もいなかった


そのまま見えない力によって強引に屋根裏部屋まで引き戻され、部屋に着いた瞬間力が解け盛大に尻餅をつく

「いってぇ…なんなんだよ一体…」

不可解な現象に、恐怖よりも怒りが勝った俺は苛立ちながら声を荒げる

「いったいどういうつもりだ!」

自分以外誰もいない空間にそう叫んだら、意外にも後ろから声がかけられた

「手荒な真似をしてすいません…でも貴方がいけないんですよ…?」

「!?」

驚いて後ろを振り向くと、そこには目深く紺色のフードを被った人物が立っていた

「なっ!?いつの間に!?誰だお前!」

驚いて後ずさる俺に、目深の人物は焦ったように両手を前に出して大袈裟に振る

「あっ…驚かせてすいません…まだちょっと出番が早いんですけど…魔法使いです…」

「ま、魔法使い…?」

ああ、そうだった。シンデレラの原作には魔法使いのお婆さんとやらが出てくる事を思い出した

しかしこんなタイミングで出てくるのは原作とは違う筈だ

それにフードを被っているがお婆さんというよりも背が低く子どものようにも見える。

声もしゃがれてなく、それもどこか聞いたことのあるような…

「でもっ!貴方が急にあんなマネするから仕方なかったんです!」

どうやら俺が本来のシンデレラと違う行動を起こした事により、イレギュラーとして捉えられたらしい

「………あんなマネってどんな?」

わざとらしくシラを切る
魔法使いは見るからに動揺していて、それが面白かった

「あんな…!淫らなことを!どうして急に性格が変わったように…」

「へぇ…全部見てたの?あんたやらしいヤツだな」

「みっ見てません!物語の進行役が怒っていたから!見たのは途中…からです…」

昨日の俺たちの情事を思い出したのか拳を握りローブの裾を握り肩をすくめる

「見てんじゃん。てか、今日は舞踏会の日じゃないだろ?何しに来たの?」

「僕は物語の進行役に言われて貴方を止めに来たんです」

「………。」

なんだかこいつの話が長くなりそうで、多分説教でも垂れにきたんだと察した俺は、少しめんどくさくなってきたので、早く退場させるよう話を切り上げにかかろうとする

誰になんと言われようがもうこの身体は俺のモンで、これから何をするかは今のシンデレラが決めることだからだ

単純に俺は、またあの三人をハメたい
ただそれだけだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪徳令嬢はヤンデレ騎士と復讐する

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:258

獣人の恋人とイチャついた翌朝の話

BL / 完結 24h.ポイント:163pt お気に入り:29

アデルの子

BL / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:573

僕は頭からっぽのバカだから

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:10

You're the one

BL / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:61

初恋の王女殿下が帰って来たからと、離婚を告げられました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:79,961pt お気に入り:6,933

【R18】堕ちた御子姫は帝国に囚われる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,313pt お気に入り:283

野望

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:239

処理中です...