妖精の取り替え子として平民に転落した元王女ですが、努力チートで幸せになります。

haru.

文字の大きさ
14 / 34
~第一章~

治癒師としての道

しおりを挟む
  あれから目が覚めたギルマスと話し合い、いくつかの事が決まった。

  まず私の身分証として冒険者カードを作ってくれた。
  ギルマスとは治癒師として何度か会ってたから私の実力は知っている。だからそこは結構スムーズに手続きが終わった。
  何故かトロイアスも冒険者カードを作っていたけど……
  しかも私が改名したのなら自分も新たな名前にするとか言い出した。

  S級冒険者 アクア  治癒師 魔法使い
  S級冒険者 トロイ  魔法剣士

  これが私達の新しい肩書きだ。

  実力があるとはいえ、私達がS級冒険者になるとわかった時のオリヴァーさん達のギョッとした表情は凄かった。

「え、え、えふ、S級っ!?」

「い、いきなりありなのか!?」

  ギルマスいわく、私達の実力は冒険者も知っているから下手なランクはつけられないそうだ。

  まぁ魔力を増やし続け、王城の魔法書を全て読み漁って会得した元王女と騎士団最強の騎士だからね……
  そこは普通ではないと自覚済みです。

  それにギルマスは私達を冒険者ギルドに引き入れたかったみたいだし。

「これだけの能力があるんだ。欲しがって何が悪い!」

「ざけんじゃねぇぞ、クソジジィ!  この方は物じゃねぇんだよ!  おめぇごときが手に入れられるなんて思うんじゃねぇ!」

  堂々と言ってのけた姿はなんとも潔かった。
  トロイの怒りはともかく……

  誰かに必要とされるのは悪くない気分だ。

  トロイの怒りをさらりと交わしたギルマスは私をギルドの治癒師として在中してほしいと言ってきた。
  専用のブースを作るからそこで治癒魔法を使ってほしいんだって。

  でもな……孤児院や神殿も気になるんだけどーー。

「国から独立した冒険者ギルドなら貴族からも少しは守ってやれるぞ。」

「では、よろしくお願いします。」

  その言葉に惹かれた私は冒険者ギルドで働く事に決めた。

  私に恨みを持った貴族が私以外の人にも絡んでこないとも限らないし。子供達やシスター達に危険な目にはあってほしくない。
   
  孤児院には仕事のない日に遊びに行こう。
  美味しいお菓子を持って行こう。そう決めた。

  6日間で1日休み。
  給金は怪我のランクで料金が変わるシステムにするらしく金額リストを冒険者ギルドの事務員として働いているジュディアさんが作ってくれる事になった。

  しかもトロイまで冒険者ギルドに雇われる事になった。治癒師の護衛としてーー。

  いや、いるかな?  S級冒険者に護衛……

「アクア様の護衛以外はやらん。」

「…………護衛になるのなら、アクアに仕事として命じた任務はお前もこなす事になるが、それでもか?」

「そこにアクア様がいるのなら俺も行く。」

「任務はきちんとすんのか?」

「アクア様が命じればな。」

「……わかった。お前は今日からS級冒険者アクアの護衛だ。面倒事は起こすんじゃねぇぞ!」

「ああ……」

  そんなゆるーい感じで決めちゃっていいの!?
  
  私が口を挟む間もないほどあっさりと簡単に決まった。

  そんな仕事しなくていいと言う私にトロイは「自分の人生なので自分で決めます。」とか言いやがるんだよ!?

  何が私の命令なら何でも従うよ!
  自分に都合の悪い命令はシレーっと無視する癖に!

  こうして私の第二の人生、治癒師としての道は始まった。
 

△▽△▽


「ねぇ、一体何処までついてくるのよ。」

  冒険者ギルドを後にしてオリヴァーさん達と家に帰る筈だったのだが、背後には当然の如くトロイがついてくる。

  チラチラと背後を気にしながら気まずそうに歩いているオリヴァーさん達の様子も気になる。
  さっきから元気がないみたいだし……

  一先ずトロイをこの場から追い払おうと思った。
  どうせ冒険者ギルドでは毎日会う事になるんだし、今日はオリヴァーさん達を優先しようと思ったのだ。

「騎士団辞めた話やお父様達の伝言は気になるけど、トロイも住む所とか決めたり、必要な物の買い出しとかもあるでしょ?  だから送ったりはしなくていいよ。もう王女じゃないし、今日はオリヴァーさん達もいるから……」

  優しく言ったがトロイには私の真意が伝わった筈だ。

  ーー問い詰めるのは後日にするから今日の所はさっさとどっか行って!

  だがトロイはめげなかった。
  ニコニコと胡散臭そうな笑顔で微笑みながら……

「ああ、お気になさらず。護衛の意味もありますが、私の家もこっちなので……」

「はぁ?  え……トロイ家あるの?」

「これでも第三師団長でしたから金はあるんですよ。」

「でも、え?  家?」

  どうなっているのかわからずに歩き続けていた。
  どんどんとオリヴァーさんの家に近づきながら……

「いや、何処なの?  トロイの家って!」

  嫌な予感がして、痺れを切らせた私が叫ぶと「あ、此処ですよ、此処……」といって指差した場所はオリヴァーさんの隣の家だった。

「は、は?  え……此処に住んでた人達は?」

「あ、何か息子さんの精神状態を改善したいとか言って引っ越しされましたよ。」

「精神状態……って!  え!?  」

  咄嗟に思い浮かんだのはさっきの男達だった。  
  ジェイクに確認しようと顔を見たら、気まずそうな表情で頷いていた。

「護衛にもちょうどいいと思いまして、即金で買っちゃいました。」

  楽しそうに笑っている筈なのにギラついた瞳で見つめてくる姿は凶悪な肉食動物そのもので、私は狙われた獲物になった気分だった。

  オリヴァーさん、ジェイク……そしてリエラさん。
  私のせいで隣人がとても危険な奴になったみたいです。
  


しおりを挟む
感想 227

あなたにおすすめの小説

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

義務ですもの。

あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。

処理中です...