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13.悪役令嬢は軌道修正力に怯える
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…まずいことになった気がするわ。
アナスタシアは真剣な目でいまだに自分を見つめるアリアナの手をそっと剥がしてアルバートの様子をうかがった。
…ひぇ!
何がどうなったのか見当もつかないでいたアナスタシアは自分の考えなしの行動を後悔した。
アルバートは恐ろしい眼光でアナスタシアを睨みつけるように見つめていた。
アリアナに嫌われた原因だと逆恨みをされているととれる視線はアナスタシアの肝を存分に凍り付かせた。
…まさか今のやり取りでアリアナを気に入ったの?
これまでのループで殆ど関わる事がなかったせいでピンと来ていないアナスタシアには想像をするしかないが、これではアルバートはアリアナを見ただけで好意を抱いたことになる。
今までのアリアナを守ろうとしたアルバートがアナスタシアに嫌がらせを受けるアリアナを守ってやりたいと思った気持ちから好意に実を結んだのならまだ納得がいった。
アリアナにはほかの令嬢にはない純真さとアナスタシアからの苛めを耐える心の強さがある。
何度もループをすることで目にしてきた様々なアリアナの勇姿を思い浮かべてアナスタシアは素直に納得することが出来た。
けれど。
とアナスタシアはこれまでの思考を否定した。
けれど今回は話が違うのではないかと、アルバートに指摘したくてたまらなくなった。
今回のアリアナはアルバートに対して立ち向かって見せた。
それだけでも驚きなのに、アリアナはアナスタシアを優先してアルバートを邪険に扱った。
この時点でアルバートがアリアナに惚れる理由がアナスタシアにはわからない。
…やっぱりこの世界の軌道修正力は恐ろしいわ。
アルバートがどう足掻いてもアリアナに好意を抱くというレールは外れることがないとアナスタシアは身をもってしり、再び訪れた恐怖に震えた。
…気持ちすらも操作しようとするなんてどうなっているのか見当もつかないわね。
目に見えない力の強さがアナスタシアには計り知れず、一人震えてこの先に待ち受ける避けられない死に怯えた。
黒幕というものがいるのなら何処で見ているか、どんな力をほかに秘めているのか。
アナスタシアはそっと周りを伺うように見渡して力の持ち主を探してみたが、そんな力を持っていそうな人物は見つからなかった。
…そう簡単には見つからないわよね。
一刻も早く死んでこんな世界から抜け出してみせるわ!
アナスタシアは肩を落としてまずはアルバートとアリアナの出会いをこれ以上邪魔しないようにとこほん、と咳をこぼした。
「お話中申し訳ありませんが、私気分が優れませんの」
扇子で口元を覆い、身体をわざと揺らしてアナスタシアはその場を去ろうとした。
「なら私が付き添います」
付き添いをその辺の者に頼もうとしたアナスタシアより先にアリアナがすぐに名乗り上げてアナスタシアの背にそっと、手が添えられる。
ひくり、とアナスタシアの頬が予想外の展開にひくついたが、すぐに淑女の笑みを浮かべてアリアナに礼を述べてその場を辞することにした。
…アルバート様とアリアナさんの仲を取り持つつもりだったのに。
もう何度目かの予想外の出来事にアナスタシアは内心で不貞腐れた。
アナスタシアは真剣な目でいまだに自分を見つめるアリアナの手をそっと剥がしてアルバートの様子をうかがった。
…ひぇ!
何がどうなったのか見当もつかないでいたアナスタシアは自分の考えなしの行動を後悔した。
アルバートは恐ろしい眼光でアナスタシアを睨みつけるように見つめていた。
アリアナに嫌われた原因だと逆恨みをされているととれる視線はアナスタシアの肝を存分に凍り付かせた。
…まさか今のやり取りでアリアナを気に入ったの?
これまでのループで殆ど関わる事がなかったせいでピンと来ていないアナスタシアには想像をするしかないが、これではアルバートはアリアナを見ただけで好意を抱いたことになる。
今までのアリアナを守ろうとしたアルバートがアナスタシアに嫌がらせを受けるアリアナを守ってやりたいと思った気持ちから好意に実を結んだのならまだ納得がいった。
アリアナにはほかの令嬢にはない純真さとアナスタシアからの苛めを耐える心の強さがある。
何度もループをすることで目にしてきた様々なアリアナの勇姿を思い浮かべてアナスタシアは素直に納得することが出来た。
けれど。
とアナスタシアはこれまでの思考を否定した。
けれど今回は話が違うのではないかと、アルバートに指摘したくてたまらなくなった。
今回のアリアナはアルバートに対して立ち向かって見せた。
それだけでも驚きなのに、アリアナはアナスタシアを優先してアルバートを邪険に扱った。
この時点でアルバートがアリアナに惚れる理由がアナスタシアにはわからない。
…やっぱりこの世界の軌道修正力は恐ろしいわ。
アルバートがどう足掻いてもアリアナに好意を抱くというレールは外れることがないとアナスタシアは身をもってしり、再び訪れた恐怖に震えた。
…気持ちすらも操作しようとするなんてどうなっているのか見当もつかないわね。
目に見えない力の強さがアナスタシアには計り知れず、一人震えてこの先に待ち受ける避けられない死に怯えた。
黒幕というものがいるのなら何処で見ているか、どんな力をほかに秘めているのか。
アナスタシアはそっと周りを伺うように見渡して力の持ち主を探してみたが、そんな力を持っていそうな人物は見つからなかった。
…そう簡単には見つからないわよね。
一刻も早く死んでこんな世界から抜け出してみせるわ!
アナスタシアは肩を落としてまずはアルバートとアリアナの出会いをこれ以上邪魔しないようにとこほん、と咳をこぼした。
「お話中申し訳ありませんが、私気分が優れませんの」
扇子で口元を覆い、身体をわざと揺らしてアナスタシアはその場を去ろうとした。
「なら私が付き添います」
付き添いをその辺の者に頼もうとしたアナスタシアより先にアリアナがすぐに名乗り上げてアナスタシアの背にそっと、手が添えられる。
ひくり、とアナスタシアの頬が予想外の展開にひくついたが、すぐに淑女の笑みを浮かべてアリアナに礼を述べてその場を辞することにした。
…アルバート様とアリアナさんの仲を取り持つつもりだったのに。
もう何度目かの予想外の出来事にアナスタシアは内心で不貞腐れた。
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