13 / 56
13.
しおりを挟む
(早く終われ~!)
私が目を瞑っていても関係ないのだけれど、心情的に目を瞑ってしまう。
ゆっくりお湯をかけ、撫でるような手つきで洗う王太子殿下は、私……というか猫に対する優しさが見える。
洗われて、タオルドライをされた後、しっかり毛を乾かしてブラッシングしてくれて……うん、極楽。
普通の貴族……というか、義妹ならばお風呂で洗ってもらった後にマッサージ等をしてもらっている。そんな感じなのだろうかと、自分の身分を考えれば若干惨めな気持ちがうかぶけれど、お風呂に入れただけで充分幸せだ。
「よし、しっかり乾いたな!」
ブラシを片手に、満足そうに王太子殿下は言い、そのまましっかりと私の身体を撫でた。
(あ~もう好きにして……)
ここまでされれば、もう抵抗する気力もない。というか護衛の筈なのに、何でこんな至れり尽くせりなんだろう。
もうワケが分からないと言った感じで、考える事を放棄していれば、私をゆっくり抱き上げた王太子殿下は、何故か私のお腹に顔をうずめた。
(!?)
人は焦ると固まるというか、声も出せなくなるというのは、この事か。
思考回路が止まり、何も考えられない。というか、今この状態は現実ですか!?実際起こっている事なのですか!?と、現実逃避をしているかのような思考から始まった。
そして、抵抗しない私を良い事に王太子殿下は、まさかのまさか!私を吸ったのだ。
「あぁ~イルは良い匂いだなぁ~」
「にゃぁああああ!!!???」
挙句、言葉にまで表されるとか、どんな羞恥よ!
思わず手足をバタつかせて、その手から逃れようとするけれど、腕の下をしっかり抱きかかえられているので、なかなか抜け出せない。
けれど、そこは猫の身体。特有の滑らかな動きで逃れると、見事に床へ着地した。……といっても、ふかふか絨毯。肉球で衝撃を吸収するより、絨毯で衝撃が吸収されている。……高級なものって凄い……。
「照れてるのか? イルはメスだからな~」
どこを見て言ったんだ!むしろどこを見たんだ!!ナニを見たんだー!!
思わず怒鳴ってしまいたくなる衝撃を、なけなしに残っている理性で何とか押しとどめる。というか、羞恥心で言葉すら発せられない。
こんな事があるんだと、頭のどこか冷静な部分で思うのは、ただの現実逃避でしかないのだろうけれど。人間、驚きすぎるとこんな事になるんだと初めて知った。
「よし! じゃあ一緒に寝るか!」
続いた言葉に毛を逆立て、逃げ回った。しかし、そんな私を気にする事もなく、自分の欲を優先する王太子殿下にしっかり捕まれば、そのままベッドに連行された。……がっちりと抱きしめられたまま。
私が目を瞑っていても関係ないのだけれど、心情的に目を瞑ってしまう。
ゆっくりお湯をかけ、撫でるような手つきで洗う王太子殿下は、私……というか猫に対する優しさが見える。
洗われて、タオルドライをされた後、しっかり毛を乾かしてブラッシングしてくれて……うん、極楽。
普通の貴族……というか、義妹ならばお風呂で洗ってもらった後にマッサージ等をしてもらっている。そんな感じなのだろうかと、自分の身分を考えれば若干惨めな気持ちがうかぶけれど、お風呂に入れただけで充分幸せだ。
「よし、しっかり乾いたな!」
ブラシを片手に、満足そうに王太子殿下は言い、そのまましっかりと私の身体を撫でた。
(あ~もう好きにして……)
ここまでされれば、もう抵抗する気力もない。というか護衛の筈なのに、何でこんな至れり尽くせりなんだろう。
もうワケが分からないと言った感じで、考える事を放棄していれば、私をゆっくり抱き上げた王太子殿下は、何故か私のお腹に顔をうずめた。
(!?)
人は焦ると固まるというか、声も出せなくなるというのは、この事か。
思考回路が止まり、何も考えられない。というか、今この状態は現実ですか!?実際起こっている事なのですか!?と、現実逃避をしているかのような思考から始まった。
そして、抵抗しない私を良い事に王太子殿下は、まさかのまさか!私を吸ったのだ。
「あぁ~イルは良い匂いだなぁ~」
「にゃぁああああ!!!???」
挙句、言葉にまで表されるとか、どんな羞恥よ!
思わず手足をバタつかせて、その手から逃れようとするけれど、腕の下をしっかり抱きかかえられているので、なかなか抜け出せない。
けれど、そこは猫の身体。特有の滑らかな動きで逃れると、見事に床へ着地した。……といっても、ふかふか絨毯。肉球で衝撃を吸収するより、絨毯で衝撃が吸収されている。……高級なものって凄い……。
「照れてるのか? イルはメスだからな~」
どこを見て言ったんだ!むしろどこを見たんだ!!ナニを見たんだー!!
思わず怒鳴ってしまいたくなる衝撃を、なけなしに残っている理性で何とか押しとどめる。というか、羞恥心で言葉すら発せられない。
こんな事があるんだと、頭のどこか冷静な部分で思うのは、ただの現実逃避でしかないのだろうけれど。人間、驚きすぎるとこんな事になるんだと初めて知った。
「よし! じゃあ一緒に寝るか!」
続いた言葉に毛を逆立て、逃げ回った。しかし、そんな私を気にする事もなく、自分の欲を優先する王太子殿下にしっかり捕まれば、そのままベッドに連行された。……がっちりと抱きしめられたまま。
応援ありがとうございます!
24
お気に入りに追加
1,475
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる