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05: 新しい生活は中々充実してます。
しおりを挟む最初は何だか胸の内がスースーしたし、差し入れとかしないから財布から金は何時までたっても無くならないし、時間余りすぎて暇をもて余すしで色々戸惑ったが、それも3日で慣れてしまった。
折角なので、余った時間はじっくり勉強してみたり読書したり、ちょっと同じ学科の人と世間話してみたり……何だか本当に別人になったみたいだった。
因みに、多分だけど…俺がちょっと前まで同じ学科に居たド派手な人だとは、学科の誰も気付いて無いようだった。
まぁ、授業終わったら即効退室してたし、追っかけに忙しくて誰かと喋った事もなかったからな…。
そんでもって現在の俺には、こっちから挨拶したり話し掛けたりしてると、こんな人居たんだね…?みたいな空気が何かヒシヒシと伝わってくるが、まぁ、特に訂正する必要性も感じなかったのでそのまま放置した。
そして、今まで昼間追っかけてた分、夜は課題や予習復習や雑事等に費やしていたが、昼間暇すぎて全部昼間に終わる為、夜は遊ぶことにした。
何せ金が、余る余る…。
ド派手な蛍光色地にアニマル柄なんかが入ったり、妙に形が変形した愛すべき俺のジャケット達。
異国の形にしたり、部分的に煌めいていたり、デカい飾りが下がってたりする、俺の大好きなズボン達。
様々な形と色と柄の靴。
透けてたり蛍光色だったり、変なところに穴が空いてたり、複雑に絡み合ってたりする大好きなシャツ達。
コイツらを手放すなんて出来ないくらい、俺はもう魂まで派手ファッションが浸透していた。
何かもう俺の大事なアイデンティティにして魂の叫び的なやつである。
なので、放課後帰宅したらシャワーを浴びて派手ファッションに身を包み、繁華街に入り浸る様になった。
ウィッグで隠れるし、と金髪を右半分鮮やかな水色から菫色のグラデーションに染めて、左半分は厳つく編み込みにして、ギラギラしたデカいアクセサリーを着けて、"この時間が本当の俺に戻れる時間"みたいな顔して…。
馴染みのキャバレーで飯食って請われるままにピアノを弾いて、常連達や踊り子達に誘われるままに違う店に行って、ちょっと酒を飲んで、ピアノを弾いて、時に歌って、踊って、偶に失恋の悲しみをシャウトして怒られて…。腹が捩れるほど笑って笑って明け方に帰宅でバタンキュー。
四時間程寝てから急いでシャワー浴びて支度して学園へ。休日は只管寝る。
不健全と言われるかもしれない。だが、その生活は凄く楽しくて、凄く充実していた。
後、金が余るから遊んでるのに、ピアノ弾いたりするとチップくれたり酒奢ってくれたりするから、結局金はどんどん増えていった。Oh、なんということでしょう。
「マスター…金が増えるよぉ……。」
いつもの様に、ある程度遊んだ後に又馴染みのキャバレー"テルカズヨシダ"に戻ってきて管を巻く俺に、屈強なマスターがニッコリ微笑んで言う。
「あらそう、良かったじゃない。なら、使わせてあげるわ♪ほら、いつもの倍のお値段のお酒よー♪」
「ウェーイ☆やったぁ!……あ、凄い!美味しい!薫りが違……ぐぅ。」
「…………度数は三倍なのよ。おやすみ♡」
一口飲んでゴトン!と机に突っ伏して眠り始めた俺に、マスターはさらりと言って残りの酒を一口で飲み干した。
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