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1: プロローグと緋狼
しおりを挟む「ねぇ、羅武。俺と賭けをしようよ。」
レンタルルームか事務所か、白い、生活感皆無な部屋に俺を閉じ込めて裸で拘束した青年は、慈愛に満ちた美しい微笑みを浮かべてそう言った。
どうしてこうなったんだっけ……。
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ーー
ピロン♪ピロン♪ピロン♪ピロン♪ピロン♪
ああ、またか。
連続する通知音に、俺、緋狼は眉をしかめた。
通知を確認すれば、やはり、羅武からだ。俺はそっとトゥイータの画面を閉じてウーツベで面白い動画を漁ることにした。
『僕は、ヒーロの事、大好き!ずっと一緒にいようね!』
羅武のその言葉に救われたと、喜んだのは昔の話。
ヒーローに因んだヒーロという名前なのに弱くて生っ白い泣き虫だった緋狼はもういない。
中学2年頃からぐんぐん背も伸びて、女みたいとからかわれてた容姿は男からも女からもチヤホヤされる立派なイケメンへと変化した。
クラスの人気者になり、学年の人気者になり、羅武とニコイチだったひ弱な緋狼を忘れるかの様に、俺は羅武と距離を取り始めた。
高校に入る頃には、俺はちょっとした有名人になり、モデルやタレントのスカウトにも声をかけられる様になった。
羅武は、高校にも付いてきたが、俺はもう、完全に羅武を居ない者扱いした。
流行りを先取る髪色と髪型にして、同じ様なイケてるヤツラとだけツルむ。
そんな俺の視界に、いつも、いつまでも、羅武は現れて、少し寂しそうな笑顔を向けてきた。本当にウザい。判れよ。俺もう、昔とは違うんだ。
お前に守られてた幼稚園や小学校とも違うし、お前と一緒じゃなきゃ何も出来なかった中学前半とも違う。
判れよ。
そう思うのに、羅武はどんなに無視しても諦めなかった。
朝の5時半、モーニングコールみたいにトゥイータの通知音が鳴り響く。
隣の家から、羅武が俺の呟き全部にイイネを付ける音だ。
俺が5時半に起きて支度をするのを知ってるから、いつからか、この時間に纏めて付けてくるのだ。
最近じゃ、何か便利だからアラーム代わりにしてやってる。リプもしてくるけど、一度も返したことはない。イイネだって、俺が羅武に返すことはない。
俺の呟きを引用してくれた他の誰だか知らないヤツラにはイイネするけど、羅武だけは一度もイイネを付けたことがない。リアルでもトゥイータでも丸無視だ。
それなのに、毎朝、おはようと言わんばかりにイイネをつけまくってくる。
俺の呟き一個一個に丁寧なリプを送ってくる。
まるで、俺がどんだけ変わろうとも、世界中の全てが俺を嫌いになろうとも、羅武だけは俺の事を変わらず好きでいる。
そう思わせるような羅武の全てが、俺は大嫌いだった。
それでいて、これからもずっと、俺がどんなに酷い態度を取ったって、この関係が続くと思っていた。
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