春の女神は知っている。~モフモフと力を合わせて、ヤンデレメリバフラグ回避してみせます!~

古駒フミ

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第四章

縋られる日々――ララシア⑥

 夜風がそよぐ。
 この寝室からは、夜の海が展望できる。さわやかな潮風が吹いていた。

「ねえ、リッカ。ご飯、美味しかったね」

 私はベッドの上に座って、眠るリッカに語りかけていた。本日はもう、寝るだけだ。

「この国の人も、朗らかで優しくて――彼、みたいで」

 温かな人たちが、この国で幸せそうに生きていた。

「ララシアは、本当に素敵な国で――」

 私も横になった。毛布も布団もいらない。そのまま目を閉じた。




「……ん」

 まだ夜が明けてない中、私は目を覚ました。
 夜風に当たりたくなり、テラスに立つ。月明りを浴びた海を眺めている中。

「……!?」

 視界が揺らいだ……!? 見ている海が、歪んだかのようで。色だってそう、失われている?

「な、なに……?」

 寒気もおぞましさも止まらない。突如訪れた異様な光景、一体何が起きたというの……? 

「確かめなくちゃ……」

 私は手を伸ばそうとするも――。

「!」

 私は突風に目を閉じた。それから、恐る恐る目を開く。

「……?」

 煌めく夜空に、月を映し出す青い海。私は瞬きをする。先程までの異様な雰囲気は消え去っていた。幻だったかと、思えるほどに。

『ああ、そうだ。このララシアを、そして坊を見て欲しい――見た上で、考えて欲しいのだ』

 かの人はそう言っていた。

「……何かがあるというのなら」





「――おはよう、シャーリー」
「うん……おはよ」

 いつしか私も眠っていたようだ。リッカに顔面中を舐められて起こされた。船旅や慣れない土地での疲れもあったからかな。


 朝食も済ませ、支度をする。

「やっぱ、青色が気になるんだよね」

 私は洋服を物色していた。昨日とは違う、それでも青色のものを選択していた。その横にかけられているのは……水着。

「水着……」

 私はそれとなく水着を手にとった。機能美あるデザインだ。この水着を着たら、気持ちだけでも速く泳げそう……うん、持っていくだけ。私はバッグに隠し入れた。

「えへへー、美味しい食べ物ー。お花もたくさん嗅ぐんだー」

 お出かけでご機嫌ワンコがそこにいた。海で遊ぶとなると、全力で嫌がりそうなワンコだった。ちなみにリッカを連れて行かない、そんな選択肢はなかった。

「泳ぐ……は無しかな。ねえ、リッカー? 砂浜での遊びも楽しいよ?」

 エドワード君の故郷の海。あの子も泳ぎ回りたいだろうし。待っている間、別のことをしていたっていいよね。私は提案してみた。

「……砂浜。海に近いよ?」
「……うん、そうだね。でもね、たくさん掘り掘りできたり、色々作れたりするんだよ? 貝殻だって拾ったり。リッカ、たくさん見つけそうだね?」
「貝殻。僕、シャーリーにプレゼントしたい!」
「ああ、リッカぁ……」 

 すっかり乗り気になっていた、優しいねぇ……可愛いねぇ……私は撫でくり回した。


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