127 / 149
第三章
45.葛藤の朝 ①
しおりを挟む
頭にガンガンとした痛みが伴い、矢神は目覚めた。
ベッドに横たわっていた自分は、いつものようにパジャマを着ている。
「……うっ」
吐き気を催し、二日酔いのような状態に思わず額をおさえてうめき声を上げた。
身体は重たく、動くのも億劫だ。
カーテンの隙間からは日差しが入り、朝を告げていた。
首だけ動かして目覚まし時計を確認すれば、時刻は6時前を指している。
昨日のことは、はっきりと覚えていた。意識を失うまでは。
それからはきっと遠野が全て後片付けをしてくれたのだろう。
汗と精液で汚れていたはずの身体はきれいになっている。
パジャマも自分で着たとは思えなかった。
「はぁ……」
大きなため息を吐く。
今日も仕事だから起きないといけない。
頭ではわかっていても身体が言うことを聞いてくれなかった。
ゆっくりと身体を起こそうとすれば、ずっしりと重たくて動くのが辛い。
あと5分だけ。
ベッドの中でごろごろと寝返りを打っていた。
そんな時、部屋をノックする音がして、びくりと身体を震わせてしまう。
「はい」と答えれば、静かにドアを開けて遠野がひょこっと顔を出した。
「矢神さん……大丈夫ですか?」
申しなさげに言うから、心配をかけないでおこうと無理矢理に身体を起こした。
「……調子は良い方じゃないけど、平気だ」
遠野は、恐る恐る部屋に入ってくる。
「顔色が悪いです」
「あー、なんか、酒飲んだあとみたいで頭が重い」
「今日は休んだ方が……」
「そういうわけにはいかないだろ」
「でも……」
矢神に触れようとして遠野の手が伸びたが、ためらうように空中で彷徨う。
今にも泣きそうな顔をするから困ってしまう。
急に、昨日のことが頭を駆け巡った。
目隠しで視覚を失っていたが、どんな風にされたのかは身体が覚えている。
細長い、その指で――。
「うぅ……」
思い出した自分が嫌になって、思わず顔を伏せて唸ってしまう。
ベッドに横たわっていた自分は、いつものようにパジャマを着ている。
「……うっ」
吐き気を催し、二日酔いのような状態に思わず額をおさえてうめき声を上げた。
身体は重たく、動くのも億劫だ。
カーテンの隙間からは日差しが入り、朝を告げていた。
首だけ動かして目覚まし時計を確認すれば、時刻は6時前を指している。
昨日のことは、はっきりと覚えていた。意識を失うまでは。
それからはきっと遠野が全て後片付けをしてくれたのだろう。
汗と精液で汚れていたはずの身体はきれいになっている。
パジャマも自分で着たとは思えなかった。
「はぁ……」
大きなため息を吐く。
今日も仕事だから起きないといけない。
頭ではわかっていても身体が言うことを聞いてくれなかった。
ゆっくりと身体を起こそうとすれば、ずっしりと重たくて動くのが辛い。
あと5分だけ。
ベッドの中でごろごろと寝返りを打っていた。
そんな時、部屋をノックする音がして、びくりと身体を震わせてしまう。
「はい」と答えれば、静かにドアを開けて遠野がひょこっと顔を出した。
「矢神さん……大丈夫ですか?」
申しなさげに言うから、心配をかけないでおこうと無理矢理に身体を起こした。
「……調子は良い方じゃないけど、平気だ」
遠野は、恐る恐る部屋に入ってくる。
「顔色が悪いです」
「あー、なんか、酒飲んだあとみたいで頭が重い」
「今日は休んだ方が……」
「そういうわけにはいかないだろ」
「でも……」
矢神に触れようとして遠野の手が伸びたが、ためらうように空中で彷徨う。
今にも泣きそうな顔をするから困ってしまう。
急に、昨日のことが頭を駆け巡った。
目隠しで視覚を失っていたが、どんな風にされたのかは身体が覚えている。
細長い、その指で――。
「うぅ……」
思い出した自分が嫌になって、思わず顔を伏せて唸ってしまう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
29
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる