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第四章
04.信じて見守る
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完全復活した遠野は、学校でも以前のような明るさで生徒たちに寄り添っている。
共に働く教師たちには、迷惑をかけたということで謝罪をし、「これからもよろしくお願いします」と頭を下げた。
使いものにならなかったとしても、辞められては不本意なのだ。
文句を言っていた教師たちは、遠野が心を入れ替えたのならと受け入れてくれる。
ここ最近は、遠野のことを悪く言う教師はいなくなった。
しかし、矢神にとっては、生徒との距離が近すぎる遠野は目に余るものがある。
あれが彼のやり方なのだと理解はしていた。話しやすいのが遠野の持ち味だ。
それでも教師と生徒というよりは、仲良しクラスメートの間柄に見えてしまう。
もう少し教師らしくした方がいい気がする。
このことを言うべきなのか胸にしまっておくべきなのか。迷っていれば、隣に立たれた人物に話しかけられた。
「矢神先生、後輩のこと気になるのはわかるけど、そんな心配することないんじゃない?」
それは、養護教諭の長谷川先生だった。
「なんのことですか?」
「あれ、遠野先生。ずっと目で追ってるから」
遠野を指差して、長谷川先生は面白そうに笑う。
「いや、追ってませんよ」
「あー自覚ないんだ。遠野先生も一時期危なかったけど、彼なりに頑張ってるんだから信じてあげなよ」
「信じるも何も私は……」
「心配しすぎは良くない。お互い疲れちゃうでしょ。矢神先生の性格からして、型にはめてガチガチにしたくなるんだろうけど、そこは我慢して見守るのも大事だよ」
長谷川先生の言葉に反論できなくなる。図星だったからだ。
ぎゅっと口を一文字に結ぶと、彼女がふはっと吹き出す。
「矢神先生のそういうマジメなところ好きだよ。あまり無理しない方がいい。疲れたら医務室へサボりにおいで」
手をひらひらと振って、長谷川先生は職員室から出て行く。
彼女に言われるまでは気づかなかった。
遠野のことを心配している自分がいる。
目で追っているつもりはなかったが、自然とそうなっていたのだろう。
あの時の遠野は危なっかしくて、矢神の中では衝撃的で忘れられないのだ。
あんな遠野は絶対に見たくないし、これからもずっと笑顔でいて欲しい。
共に働く教師たちには、迷惑をかけたということで謝罪をし、「これからもよろしくお願いします」と頭を下げた。
使いものにならなかったとしても、辞められては不本意なのだ。
文句を言っていた教師たちは、遠野が心を入れ替えたのならと受け入れてくれる。
ここ最近は、遠野のことを悪く言う教師はいなくなった。
しかし、矢神にとっては、生徒との距離が近すぎる遠野は目に余るものがある。
あれが彼のやり方なのだと理解はしていた。話しやすいのが遠野の持ち味だ。
それでも教師と生徒というよりは、仲良しクラスメートの間柄に見えてしまう。
もう少し教師らしくした方がいい気がする。
このことを言うべきなのか胸にしまっておくべきなのか。迷っていれば、隣に立たれた人物に話しかけられた。
「矢神先生、後輩のこと気になるのはわかるけど、そんな心配することないんじゃない?」
それは、養護教諭の長谷川先生だった。
「なんのことですか?」
「あれ、遠野先生。ずっと目で追ってるから」
遠野を指差して、長谷川先生は面白そうに笑う。
「いや、追ってませんよ」
「あー自覚ないんだ。遠野先生も一時期危なかったけど、彼なりに頑張ってるんだから信じてあげなよ」
「信じるも何も私は……」
「心配しすぎは良くない。お互い疲れちゃうでしょ。矢神先生の性格からして、型にはめてガチガチにしたくなるんだろうけど、そこは我慢して見守るのも大事だよ」
長谷川先生の言葉に反論できなくなる。図星だったからだ。
ぎゅっと口を一文字に結ぶと、彼女がふはっと吹き出す。
「矢神先生のそういうマジメなところ好きだよ。あまり無理しない方がいい。疲れたら医務室へサボりにおいで」
手をひらひらと振って、長谷川先生は職員室から出て行く。
彼女に言われるまでは気づかなかった。
遠野のことを心配している自分がいる。
目で追っているつもりはなかったが、自然とそうなっていたのだろう。
あの時の遠野は危なっかしくて、矢神の中では衝撃的で忘れられないのだ。
あんな遠野は絶対に見たくないし、これからもずっと笑顔でいて欲しい。
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