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第一章

41、用意周到

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「エル、俺も行く」

初めてルートヴィッヒと結ばれた後に、色々な液体を洗い流しにバスルームへ行こうとすると、ルートヴィッヒも付いて来ると言う。

「えっと、出来れば一人で……」

「疲れた妻の身体の手入れをして労うのも夫に許された権限だ」

「ですが……」

「ほら、行こう」

事後に段々冷静になってくると、色々な痴態を見られてしまったルートヴィッヒと入浴するのはかなり恥ずかしい。

しかし手を繋がれてバスルームまで誘導されては振り切る訳にもいかない。

羽織ってきたガウンをルートヴィッヒに再び脱がされた。
スポンジでまだ少し敏感なエレオノーラの肌をなぞるルートヴィッヒ自身は、ガウンを羽織ったままだ。

「どこか痛いところはないか?」

「大丈夫です」

さっきまでの艶っぽいルートヴィッヒが嘘みたいに、慈しむように身体を洗われて、エレオノーラは恐縮してしまう。

「あの、やっぱり私、自分で……」

「今夜は俺にやらせてくれ。なるべくエルの側に居たいんだ」

そう微笑みながら言われると、頷くよりない。

「ルドは、あんなことがあっても、恥ずかしくないのですか?」

「あんな事とは?」

「わ、分かってて聞くのは意地悪ですっ!」

「そう言う俺も好きだと色っぽく言ってくれたエルの言葉は嘘だったのか?」

ルートヴィッヒはエレオノーラの腿の内側をスポンジで洗う。

「もういいです……」

身体を洗われるのと、言葉での羞恥プレーとを天秤に掛けて、前者を選んだエレオノーラ。
大人しくされるがままになり、最後はお湯で綺麗に泡を洗い流してもらった。
バスローブを身体に巻かれ、寝室に帰されそうになる。

「私もルドのお身体を……」

そう言うと、

「俺はいい。後で入るから」

と頑なに拒まれた。

「そんなのずるいです。私だってルドの身体を洗うくらい出来ま──」

無理やりにガウンの紐を解き前を開くと、さっきエレオノーラを貫いたばかりのルートヴィッヒのモノが寸分違わず見事に天を向いていた。
ルートヴィッヒは明らかにバツの悪そうな顔をする。

「なぜ……」

ポロっと出たエレオノーラの呟きに、渋々ルートヴィッヒが答えた。

「エレオノーラの中で一度果てた後、何故かまたこうなってしまった。別に一回では満足できないと言う事ではないから、気にするな」

気にするな、と言われてすんなり気にしないには大きくなりすぎている気がする。
と言うか改めて見ると、こんなに大きいものが自分の中に入ったなんて到底信じられない。

「ほら、行こう」

ルートヴィッヒは戸棚から新しいナイトドレスを取り出し、有無を言わさずエレオノーラの手を引いて夫婦の寝室を通りすぎると、そのまま書斎も通り越し、ルートヴィッヒが婚前に使っていた寝室に通した。

「今晩はここで休もう。あちらのベッドは色々と汚してしまったからな」

「はい……」

赤々と燃え盛る暖炉のお陰ですっかり温まっている部屋に、ルートヴィッヒが今夜はここで眠ることになるのを見越していたのに気付き、その心配りに感謝するも、明日、メイドさん達に夫婦の営みがバレてしまう事を思うと、恥ずかしくてどうにかなりそうだった。

「俺も風呂に入ってくる。すぐに戻るが、寒いから、エルは着替えたら布団に入っているんだぞ」

ベッドにエレオノーラの夜着を置いて、来た時と反対の扉の方へ消えていった。
日頃から色々とよく気が付くルートヴィッヒだが、今夜は格別に面倒見が良い。

ものの5分もしないうちに寛いだ造りの夜着を着たルートヴィッヒが戻ってきた。
手にはお盆を持っている。

「白湯とココアを持ってきてもらった」

「ありがとうございます」

エレオノーラの前に飲み物と小さな焼き菓子の載った盆が置かれる。
ルートヴィッヒは銀の細長い杯に入った何かを飲んでいる。
エレオノーラは少し喉が渇いていたので、白湯を飲んだ。
ほんのりライムが香って飲みやすい。

「来月、王都に行く。エルも一緒に来ないか? 滞在は短く二週間程だが、どうしても行かなければ片付かない仕事があってな」

ルートヴィッヒは本来ならもう少し早い時期に登城しなくてはならなかったが、エレオノーラとの新婚生活が落ち着くまで待ってもらっていた。

「はい、是非ご一緒させてください。両親やお姉様達に会えるのが楽しみです!」

ルートヴィッヒは、はしゃぐエレオノーラを見て嬉しそうに笑うと、その長い髪にキスをした。


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