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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?

ゲーテとトーマ王子、兄弟の賭け?

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それから真紅のお洒落なソファーがある広い部屋に通された。
移動の途中で宮殿内を散歩していた黒チワワのクロウとも合流していた。

「うんと……シャルロット姫は猫の姿ですし……」

紅茶を淹れるかどうか迷っているようだ。

「お茶をいただけるかしら。猫の姿でも、魔法で見た目を変えただけだから、身体は人間と変わらないそうなの」

「私も~!」

侍女は優しい顔をしながら、浅いお皿に人肌に冷ました紅茶を淹れてくれた。
シャルロットは絨毯の上の敷物の上に座ると、紅茶を飲み始めた。
寒天を使ったプルプルなジュレ添えの夏のフルーツの盛り合わせも食べたが、すごく美味しくて顔が緩む。
クロウも美味しそうにムシャムシャとカットスイカを食べていた。


「ん……?」

突然 シャルロットの前に、トーマ王子の飼い猫のべべがやってきた。
口には可愛らしいネズミのぬいぐるみを咥えている。
シャルロットの目前で、ネズミのぬいぐるみをボトッと口から落とした。

お手玉のようなシルエットの丸っこいぬいぐるみの中には鈴が入っているようで、カランッと音が鳴った。
そして、べべはシャルロットの小さな身体に擦り寄った。

トーマ王子はクスッと静かに笑う。

「宝物のぬいぐるみをプレゼントするとは……。べべは妃殿下のことが気に入ったようだ。母上の飼っているメス猫たちとお見合いをさせていたんだが、全然相手にしなかったのになぁ」

この宮殿で飼っている猫はオス猫とメス猫は分けて飼われているようだ。
ナージャ王妃の宮殿ではメス猫、王子宮ではオス猫を飼っている。世話をするのは王子の役割らしい。
猫のお世話をするためだけに雇われている使用人や猫専属の宮廷医までいるそうだ。

『おいっ、お前、このおれさまがお前を嫁にもらってやってもいいぞ。おれさまと結婚したらこのでっかい宮殿で悠々自適に暮らせるぞ。おれさまの飼い主は未来の王様なんだぞ』

猫語で話しかけられた。
シャルロットはびっくりして固まってしまう。
ゲーテやトーマ王子らには猫の言葉は届いていない様子だ。

『え、えっと……ごめんなさい。私は結婚してるの』

『どこのオス猫だ?どうせ大したことない雑種のブス猫だろ?おれさまの求婚を無下にするとは愚か者め』

不遜な態度に、シャルロットは目を点にした。
隣にいた黒チワワはギャンギャン吠えた。

「泥棒猫~!シャルロットは私の奥さんなの!ちょっかい出さないで!」

『はあ?野蛮で下劣な犬畜生と結婚とか頭おかしいんじゃないのか?』

「犬じゃないもん!オオカミだもん」

『オオカミ(嘲笑)』

バカにされて鼻で笑われたチワワは荒ぶっていた。
気付けばソマリ猫とチワワの大ゲンカが始まった。

「や、やめて!クロウ!」

首を噛まれ、顔面に強烈な猫パンチと鋭い爪を食らったチワワは子猫のシャルロットに泣きついた。

「ウワアアン!シャルロット~!」 

「申し訳ございません……。やめないか、べべ。どうしちゃったんだ?いつもはおとなしいのに……。お前らしくない」

トーマ王子は威嚇しているソマリ猫べべを回収し、胸に抱いた。

「発情期で気が荒くなってるんですかねー?」

グリムは可笑しそうに笑って静観していた。

「じゃあ、こうしましょう!べべがグランプリになったら、ご褒美にシャルロット姫と結婚させましょう!」

「アアン?何言ってるんだ、グリム……お前……」

「そうよ!勝手に決めないでちょうだい!」

ゲーテとシャルロットは抗議した。

「もしかして自信がないですか?ゲーテ王子」

「馬鹿野郎!俺様が出場して、負けるわけがないだろ。上等だ!」

「げっ……ゲーテ……!」

「勝負にはリスクがあったほうが燃えるよなあ、んじゃあ、トーマ、俺様のシャルルが勝ったらグリムをもらおうか?宰相をクビにして、俺の従者として一緒にエスター国へ連れて行くぜ」

「兄上……」

なんだかおかしなことになってきた。
呆然としているトーマ王子の腕にグリムは泣きつく芝居を打った。

「ああ!心優しいトーマ王子、助けてくださいまし!あの無慈悲なクソ暴君王子が僕をまたしても奴隷にするつもりでございます……!うう!」

「なんだと!?」

「……わかった、安心しろ、グリム。お前のような有能な宰相を、兄上の従者になんかさせるものか。ーーこっちも勝てばいいだけだ」

ゲーテとトーマ王子は真剣な眼差しで見つめ合った。
シャルロットは2人の顔を見上げて、困惑していた。

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