ユキ・シオン

那月

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悪夢再び

5P

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 俺によく見えるように目の前まで上げ、手を覆っているガーゼをゆっくり剥がしていく。その下には、3本の引っかき傷の痕。まだ血がにじんでいる。


「あぁその顔、やっぱりそうなんだ!本物に出会えるなんて、しかも君がそうだなんてすごく興奮するなぁ。ねぇねぇ、変身してみせてよっ」


 まるで無邪気な子供。はしゃいで、抱き着いて、両手を後ろに回して俺の腰をいやらしく撫でる。尻尾を探してやがる。


 極度の興奮状態に陥ると本性が出るって知ってんのかよ。腰を撫でていた手はズボンの中に侵入、パンツの上から尻の穴を撫で始めた。


 密着して、またあの嫌な匂いが鼻を……ん?嫌な匂いに交じって、なんだかいい匂いもする。甘くて、飲んだことはねぇけど酒みたいにクラクラする……


 無意識にスンスン匂いを嗅いでいると、目の前に小さなきんちゃく袋が現れた。


 とたんに匂いが濃くなり、頭の中がグラッと揺さぶられる。平衡感覚がバカになって直也にもたれかかってしまう。


「ネコにマタタビ、よく効くんだねぇ?どう、気持ちいい?人間でいう所の媚薬みたいなものなんだろうけど。君に媚薬はまだ使ったことがないし、どうなるんだろう?ちょっと遊んでみよっかなー?」


「は……んや、やめ、ろ……っ!あっ、ん……っ」


 俺にはもう、直也を救ってやることはできない。それどころか、逆に俺の真実が暴かれてしまった。


 鼻に押し付けられたマタタビの匂いを肺いっぱいに吸い込んでしまい、一気に力が抜ける。手から包丁が滑り落ち、カランカランカランッと金属音が響いた。


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