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終息と誓い
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しおりを挟む香さんは誰よりも長く生き過ぎている。誰にも、香さん本人でも寿命を知ることはできない。ある日突然かもしれないし、終わりが見えてもかなり長いかもしれない。
香さんは隣に立つ、自分を見つめる揺らめく赤を見上げて息を吐いた。
「1000年もの時を生きたのじゃ。あと1000年も2000年もそう変わらんじゃろう。長の務めが果たせぬようになるまでは、おぬしらを悠々と見下ろしてやるわい」
「……そのお言葉が聞けて安心したッス。もっとよく見下ろせるように、高い高いいたしましょうか?」
「うっわぁ!?や、やめい緋桜!これ、下ろさぬかっ、緋桜!笑っておらんで、早う下ろせ!」
え、笑ってるのか?実は女王様気質の香さんが「フンッ」と偉そうに鼻を鳴らしながら顎を上げ、俺達を見下す。
その香さんの脇の下に手を入れ、軽々ヒョイッと持ち上げた緋桜さん。あ、よく見たら無表情がちょっとだけ緩んで楽しそう。
仲がいいんだなぁ、このコンビは。絶対緋桜さん、一瞬の間は「1000年も2000年もそう変わらんじゃろう」って香さんの発言に対してのツッコミを考えていたんだろう。
あえて何もツッコミを入れなかったのは、ボケ無視という緋桜さんの香さんへの愛情。だと、俺は思っている。
「おい、お前らのラブラブっぷりはもう腹いっぱいだ。俺達の身体検査があるんだろう?早く済ませて、早く家に帰らせてくれ」
天井近くで暴れる香さんを、完全な無表情になってしまった緋桜さんが「あぁつまらない男だ」みたいな顔で悠一を見ながら下ろした。
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