ユキ・シオン

那月

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譲渡会

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 ズビズビ言いながらも泣き止んだ、なんだか子供っぽい彼と目が合った。クリクリ、チョコレートみたいな目。俺が「初めまして」って言うと、ビクッと怯えつつもペコッと頭を下げた。


 ドクトルより体が大きいのに、後ろに隠れて怯えてんのか?変なやつ。って思ったら、悠一が手を叩いた。


「もしかしてこの子か、ドクトルが最近引き取って面倒見ているっていう事故マニアの犬の擬人化種は」


「そうそう。犬年齢は不明、人間年齢は17歳の子犬ちゃん。色々あってねぇ、今は治療しながら吾輩の手伝いをしてもらったりしちゃってるんだよぅ、たぶん。ほら、挨拶しなさい」


「は、はじめ、まして……ポチ・駿、です。その…………あ、ねぇ、ドクトルさん。ボク、トイレに……」


 マジかよ。俺よりも年下?マジで子供なんじゃん。体のデカさといい、大人びて見えるからさ。いや、中身はまるっきり怯える幼い子供だけど。


 まさか、このタイミングで会えるとは思わなかった。ん?あれ、事故マニアの名前ってポチじゃなかったか?店長から聞いた名前はポチだった。


 でも、どうする?ここで、ポチの元飼い主が探してるって伝えるべきか?いやでも、ドクトルは「治療」って言っていたよな。


 見た目は元気そうでも病気があるのかもしれない。今は元気なだけで、しばらく入院が必要なくらい具合が悪いとか。なら、ちゃんと回復してからの方がいいよな。


 元飼い主の男には悪いけど、悠一も同じことを考えているのか目が合うと小さくうなずき合った。んーでも、ドクトルには話しておいた方がいいか?


 なんて考えていたら、ポチ君……って、ポチ君はさすがに変だな。駿君がドクトルの腕を引いた。トイレについてきて欲しいって、マジで小さい子供かよ。


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