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6.元聖女は魔法都市でエルフに会いました。
147.
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この人がソーニャのおじいちゃん……。
「あなたがソーニャのお祖父さまのオリヴァー=シュゼイン様ですか?」
「いかにも」とおじいちゃんは答えた。
ステファンはソーニャから預かって来た手紙を渡して挨拶をした。
「ソーニャさんから、手紙を預かってきました。僕はステファンと申します。こちらがライガとレイラです」
「サミュエルからも話は聞いている。長旅だったろう。とりあえず、荷物でも置いて一息つきなさい」
オリヴァーさんが後ろを向いて、手に持った長い杖を地面にコンっと打ち付けた。
黒いローブを着た何人かの若い人たちが私たちの方にわらわらっと来ると、荷物を持ってくれた。
――この人たちも魔法使い?
「――ソーニャのお母さんとかお父さんは、ここにはいないの?」
私が小声でステファンに聞くと、オリヴァーさんがくるっと振り返る。
「娘夫婦はアスガルドの王都にいる。ここに住んでいるのは儂と弟子だ。ソーニャにも儂がここで魔法を教えていた」
それから白い髭を触りながら、笑った。
「――末の孫娘なもんで、だいぶ儂も甘くなってしまってな。これじゃいかんと思って兄弟子のサミュエルのところに出したのだ」
サミュエルさんってソーニャの兄弟子だったんですか……。
オリヴァーさんは話を続ける。
「最初のころは『帰りたい』とかばかり手紙で書いて来いてたんで心配してたから、いい人たちにパーティーを組んでもらえたという手紙をもらった時は安心した。お前さんたちだろう、ソーニャとパーティーを組んでくれたのは」
ステファンとライガは顔を見合わせた。
「……短い間だけだけどな」
ライガが「いい人」という言葉に照れたのか気まずそうに肩をすくめて呟いた。
オリヴァーさんは髭を揺らして笑った。
「部屋はたくさん空いている。好きなだけ滞在すれば良い」
「ありがとうございます」とお礼を言ってから、私は聞いた。
「エドラヒルさんというエルフの方にお会いしたいんですが、魔術師ギルド本部にいらっしゃるんですか?」
お父さんのことがわかるかもって思うと、少しでも早く会いたかった。
「おお、エドラヒルな……。あいつは、たいてい山の手の魔法研究所の奥の庭園にいるよ。今日の午後で良ければ案内してやろう」
「いろいろとありがとうございます。――それから、これを、治せる魔法使いをご存じありませんか?」
ステファンが荷物から瓶に入った私の耳を取り出して見せた。
オリヴァーさんは「ほぉ」と呟いて、しげしげとその瓶を上から横から眺める。
――自分の一部だと思うと、恥ずかしいですね……。
私は思わずローブのフードを被って頭を押さえた。
「だいぶ干からびておるの。――――しかし、エドラヒルなら治せるだろう」
オリヴァーさんは頷いた。
「あいつの専門は生命魔法だからな」
「あなたがソーニャのお祖父さまのオリヴァー=シュゼイン様ですか?」
「いかにも」とおじいちゃんは答えた。
ステファンはソーニャから預かって来た手紙を渡して挨拶をした。
「ソーニャさんから、手紙を預かってきました。僕はステファンと申します。こちらがライガとレイラです」
「サミュエルからも話は聞いている。長旅だったろう。とりあえず、荷物でも置いて一息つきなさい」
オリヴァーさんが後ろを向いて、手に持った長い杖を地面にコンっと打ち付けた。
黒いローブを着た何人かの若い人たちが私たちの方にわらわらっと来ると、荷物を持ってくれた。
――この人たちも魔法使い?
「――ソーニャのお母さんとかお父さんは、ここにはいないの?」
私が小声でステファンに聞くと、オリヴァーさんがくるっと振り返る。
「娘夫婦はアスガルドの王都にいる。ここに住んでいるのは儂と弟子だ。ソーニャにも儂がここで魔法を教えていた」
それから白い髭を触りながら、笑った。
「――末の孫娘なもんで、だいぶ儂も甘くなってしまってな。これじゃいかんと思って兄弟子のサミュエルのところに出したのだ」
サミュエルさんってソーニャの兄弟子だったんですか……。
オリヴァーさんは話を続ける。
「最初のころは『帰りたい』とかばかり手紙で書いて来いてたんで心配してたから、いい人たちにパーティーを組んでもらえたという手紙をもらった時は安心した。お前さんたちだろう、ソーニャとパーティーを組んでくれたのは」
ステファンとライガは顔を見合わせた。
「……短い間だけだけどな」
ライガが「いい人」という言葉に照れたのか気まずそうに肩をすくめて呟いた。
オリヴァーさんは髭を揺らして笑った。
「部屋はたくさん空いている。好きなだけ滞在すれば良い」
「ありがとうございます」とお礼を言ってから、私は聞いた。
「エドラヒルさんというエルフの方にお会いしたいんですが、魔術師ギルド本部にいらっしゃるんですか?」
お父さんのことがわかるかもって思うと、少しでも早く会いたかった。
「おお、エドラヒルな……。あいつは、たいてい山の手の魔法研究所の奥の庭園にいるよ。今日の午後で良ければ案内してやろう」
「いろいろとありがとうございます。――それから、これを、治せる魔法使いをご存じありませんか?」
ステファンが荷物から瓶に入った私の耳を取り出して見せた。
オリヴァーさんは「ほぉ」と呟いて、しげしげとその瓶を上から横から眺める。
――自分の一部だと思うと、恥ずかしいですね……。
私は思わずローブのフードを被って頭を押さえた。
「だいぶ干からびておるの。――――しかし、エドラヒルなら治せるだろう」
オリヴァーさんは頷いた。
「あいつの専門は生命魔法だからな」
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