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第一部 第五章 終わりの始まり
秘密の花園①
しおりを挟むそれぞれひと段落したところで、秘密の庭園の花園エリアに移動しティータイムと寛いでいた。
美しい庭で色とりどりの菓子が並べられる。さすが王城。出されるものが一味も二味も違う。
その美味なお菓子を堪能しながら、ずっと気になっていたことを私は尋ねた。
魔法を見せ合ったからか、互いに少しだけ打ち解けた気がする。まだ、ルイ以外の王子たちには気を遣うが以前ほどではない。
「今日はどうしてこの場所だったのでしょうか? やはり意味が?」
「もちろんだよ。この秘密の庭園は歴代の光の魔法により守られた場所で、幼い頃から王族の魔法の練習に使われてきた場所でもあるんだよ」
そう説明してくれるルイは、内緒だよと人差し指を口の前に当ててふふっと微笑する。おお、秘密の庭園のことは秘密ってことね、了解です。
私は神妙に頷き、新たに質問を重ねた。
「なら、ルイたちもずっとここで練習を?」
「うん。ここなら周囲に見られることも迷惑をかけることもないからね。王族はほとんどの者が高い魔力を持って生まれてくるから、その制御と使い方を学ぶ必要があるんだ」
「そうだね。学園に入る歳までに王族としての信念と応じた魔力使用ができるようにすることが大事だと教えられている。だから、ジャックとエドガーもここで訓練を兼ねて現在も修行中だよ」
ルイに続きシモンが説明を加えた。天使たちは現在進行形で努力中らしい。
なるほど。邪魔されず、王族としての力を確立する場所。
王族にとってとても大事なところのようだ。だから、双子も気になってやってきたということなのだろう。
「大丈夫だという判定は誰がするんですか?」
「専属の教師がいるから、属性や課題別に彼らが見ている」
「そうなんですね。よく考えたら、魔力があるからってだけですぐにうまく魔法が使えるわけではないですもんね」
むしろ、大きい魔力ほど周囲の影響を考えてしっかりと制御を学ばなければならない。
「そうだよ。だから、エリーの魔法の習得はどのようにしたのか気になるのだけど?」
「えっ? 私?」
「うん。魔力を隠そうとしていたし、エリーは家族にも内緒にしていたつもりだったみたいだし」
「つもり……」
確かにそうなのだけど、改めて言われるとぐさりとくる。
まったく隠せずにいたことは、彼らが自分の気持ちを尊重してくれていたことを感謝するとともに、自分の行動を考えると恥ずかしくて黒歴史だ。
「ふふっ。自覚が出てきたのはいいことだね。それで続きなのだけど、僕たちについてこられるレベルに至るには、専門の知識を持ったものに教えてもらい鍛錬しないと難しいことだと思う。風魔法は以前一緒にしたことで大体知っていたけど、水魔法もシモンとうまく融合していたよね。滝を真っ二つに割ったのは見事だったよ」
転生を繰り返しできることが増えたのも本当であるが、今生は魔力を抑えようとすることでかなり精度が増したようなので、偶然な部分も大きい。
「それは、えっっと、うーん……。たまたま、みたいな?」
「たまたま?」
「ルイが知っての通り、ちょおっと、ちょおっとだけ、円滑に過ごそうといろいろ練りだした結果というか」
「……そう言われると、確かにわからないでもないかな」
納得されるのもどうかとも思うけれど、この件はあまり深く追求してほしくない。
そこで、サミュエルが「円滑?」と首を傾げると、「そう、エリザベス基準の円滑という名のいろいろ」と説明になっているのかわからない説明を加えた。
まあ、いいや。この理由で納得してくれたようで良かったと、私はほっと息をつき話を戻す。
「とにかく、だから王家は皆さまが凄いということが今日わかりました!」
そこで私は尊敬の眼差しを向けた。
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