朝焼けの女神

小笠原雅

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朝焼けの女神12 瀬戸内の島

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朝焼けの女神 12
 瀬戸内の島

 少し寝ぼけて目覚ましを止めた。今日の朝は瀬戸内の島に手伝いをする日だ。最寄りの港でオーナー夫妻の船と待ち合わせをしている。それに乗り遅れると海上タクシーを呼ばなければ行けない。
 慌てて起きてからここは文子の家だという事を思い出した。文子を迎えに行く時間を短縮出来るから少し余裕があるのでほっとした。
 いつもなら寝起きは悪い方だが今日はやる気がみなぎっている。なんだろうこの清々しい気持ちは、昨日のセッションの効果が凄い。
「起きたの?」キッチンから文子の声が聞こえる。その後から少しだけ顔を出してくれた、笑顔がまぶしい。
 文子はすでに出かける用意が済んでいて自分達のお弁当を作っている。
 飛び起きてパジャマのまま追いかけて後ろから抱きしめてた。
 心底この女に惚れて仕舞ったと身体が言う。
 夏の朝でも今日は暑いキッチンに立っている文子の汗を嗅いでまた幸せな気分になった。
 それを許さないと、すぐに向き直り逃げる様に三浦から離れて首を振った。
 あせった三浦を見て文子は笑いながら言う、
「あなたと私はチャクラの流れを良くするセッションをしただけ、契り(ちぎり)を交わしたわけじゃないの、だからあなたに所有された訳じゃ無いのよわかって欲しいの、ありがとう朝のキスは嬉しいわ」
「チギリ?」
「そう私はあなたの事を何も知らないわ、でもキレイなエネルギーを持ってる。女が好きな事は悪い事じゃ無い、その欲があるから開ける未来もあるわ」
「でも私の心の中を覗こうとしない、感じようとしないのは困るのよ、これからのセッションにも関わる事だと思うの」
 文子を抱きしめようと腕を広げたまま固まって仕舞った三浦を見て文子は笑う。
「でも私、あなたが好きよ、後ろから抱きしめてくれた時うれしかったわ。夜もあんな素晴らしい交接を出来る人って少ないんじゃないかしら」
 三浦はそれを聞いてホッとして様に朝食を用意してくれたテーブルに腰を掛けた。
 キッチンに向き直る文子の背中を眺めて、
「セックスの時、文子の言うようにいままでは丹田にエネルギーが貯まるとただ出したくなるだけだったけど、それを我慢して長く腰を振っていたのが今までだった。
 エネルギーを頭頂に持っていくと落ち着くって言うのか、水が澄んで来るって言うのかな、今までとはぜんぜん違った気がするよ」
 使ったフライパンを洗いながら、
「グルはそのエネルギーを頭頂から出してオーラの輝きで繋がっている2人を包んで行くの、そのエネルギーが風船の様に膨らんで、部屋全体になって、コロニー全体を包んでいくのよ。聞いた話しでは村全体を包むらしいわ、だけど私は部屋全体で終わったの残念だったわ」
 文子はフライパンを持った手を大きく広げ部屋じゅうを表している様だ。
 文子は両手を広げその場でくるりと回って見せた。三浦は顔の前を通るフライパンを見つめながらアゴを引いた。
「そうか昨日はエネルギーを外に出したら終わってしまったよね。それがオーラになるって、2人を包むってすごいよね」
「そうなのよ、凄い強い光を浴びたみたいになって私は失神したの。
 だから途中でセッションが終わってそれ以上出来なかった。でもその時、周りが金色に包まれただけしか覚えて無いの」
「そっかーすごい世界だな」
「契りって言ったけど、やっぱりそうした方がいいみたいなの、村全体に広げた経験を持つシスターはグルの子どもを頂いているわ」
「ゴムをつけるとエネルギーの質が落ちるの、宗派が違うと契りあった人としかセッションをしてはいけないって言う所が多いの」
「それは僕らの常識と一緒だな」
「だからグルはコロニーの中だけで限定してたみたい」
「そうだよねセックスカルト扱いされるよね」
「何度も言うけどそれはセックスに対して考え方が違うのよ、どうしてもわかって貰えないみたいだから、あなたとは契れ無いのよ」

「口先だけじゃなく、心の奥底までわかってもらうまで待ってみようと思うの」

「うーーーん難しいなぁ、さあ今日は車に乗ろう」
 
 高速道路を西に走らせて、オーナーの待つ港に着いた。
 三浦と文子以外にもオーナーと同じぐらいの年齢のご夫婦が3組が揃った
9人乗りのクルーザーに買い出しがいっぱいでゆっくりと瀬戸内の海を渡って行く

 舟着き場に泊りみんなで荷物をリアカーに乗せて、オーナーの運転する耕運機で引っ張るエンジンの音の割には速度が遅くゆっくり時間が流れて行くのが心地よく感じる。

 宿泊棟の前に立つと、島の中でも太い気が台風の風で折れて屋根の上に倒れている、隣の木にワイヤーをかけてチエーンブロックで引っ張りそれ以上は倒れないようにしているが、今回はその木を撤去して木で傷んだ屋根の補修をするのだ。

 オーナーの指示で倒れた木の枝を払い、細かく切っては屋根から下ろす。その木を撤去する為に耕運機で運ぶ。

 女性達は宿泊棟の部屋の中の雨水に濡れた物を天日干しをしたりカーペットを干したり泥が入ってきた所を綺麗にしたりと大忙しだった。

 コンクリート作りの宿泊棟は頑丈な作りで雨水が入ってきた原因が倒れた木で窓ガラスが割れた事だとわかり、幸いにも屋根には影響が無かった。

 
 二日目にも6人も協力者が来て、オーナーの畑や山の井戸周りも片付けてくれた。丸二日かけて復旧作業をして二日目の夕食はお疲れ様会となった。
 楽しい食事でオーナーがこんな事は初めてだったようで、協力者が来てくれた事に感謝して泣いていた。
 自然の力でぐちゃぐちゃになった島を見てるから、もらい泣きしている人もいた。

 その日は星が綺麗だった。
 文子が1人こっそり部屋から出て行ったのを見て三浦も着いて行く事にした。

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