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第26話 新たな出会い
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「なんか暑くないー?」
『ダンダン丘』を抜け、次のダンジョンに差し掛かったところでエアルが口にした。
対して、振り返ったリザとレリアは共にうなずく。
「ま、そりゃね」
「ええ、ここはそういうダンジョンよ」
二人はダンジョンの特徴を知っているようだ。
そうしてすぐ、彼らの視界に広がったのは──赤色。
「ここは『マグメル火山』。まさに灼熱のダンジョンよ」
──『マグメル火山』。
視界の最奥に佇むのは、今なおグツグツと音を立てる大きな火山だ。
その熱が入口付近にまで届いている。
地形も魔物も“火”に関するものが多く、対策が必須となるだろう。
「うへえ……」
「わふぅ……」
エアルとラフィは早くも舌を出している。
初めて来た二人にとっては、慣れるのに時間がかかるだろう。
「だからまあ、ひとまずあいつ狩ってくれる?」
「あいつ?」
リザが指を差したのは、赤色のぷにぷにした体を持つ魔物だ。
「『ヒートスライム』よ。あいつで体を覆えば、暑さが和らぐ──」
「そういうことなら!」
「わふぅ!」
リザはすでに情報を取り入れていたのだろう。
だが、説明の途中で二人は飛び立ってしまった。
「情報屋さんの出番が台無しね」
「……うっさいわね」
ニヤっとするレリアに、ジト目を向けるリザであった。
「ま、早いに越したことはないんだけど」
「ぷにぷにで気持ち良い~」
「わふぅ~」
対策の肝となるヒートスライムを体に覆いながら、エアルとラフィは歩く。
ヒートスライムは、討伐すれば素材として動体をその場に残す。
それを首から包むことで、暑さを和らげることができるようだ。
このダンジョンに挑むには、必須の情報と言える。
加えて、このぷにぷにの感触は気持ち良い。
エアルとラフィはすっかり気に入ったようだ。
「ここから次の探索者街までは、基本的にこんな感じよ。熱いダンジョンが続くわ」
「でも、どうしてこんなところを?」
「……! それは──」
エアルの質問に、珍しくリザは視線を逸らす。
「ここが良いと思ったからよ」
「ふーん」
すると、リザにしては曖昧な答えを示す。
それでも彼女を信頼しているエアルは、構わず進み続けた。
「リザが言うなら間違いないね!」
「ま、まあね」
「……」
レリアだけは黙ってリザを覗いているようだったが。
しかし、話題はすぐに切り替わった。
「なんだこの子ー!」
「「「……?」」」
少し先に行ったエアルが、唐突に声を上げたからだ。
疑問に思ったレリアも急いで追いつき、屈んでいるエアルの視線の先へ目を向けた。
そこにいたのは──
「小鳥さん……?」
人の顔サイズぐらいの小さな鳥だ。
「ぼぉっ!」
ひよこのような薄黄色の体は、羽毛で覆われている。
いかにも、もふもふとしているのが見て取れる。
魔物には違いないが、おそって来る様子はなく、つぶらな瞳でエアル達を見上げている。
「この子、なんだろう?」
「さあ、ワタシでは分からないわね」
攻略組ですら見たこと無かったのか、隣のレリアも首を傾げる。
ここはやはり“彼女”に聞くのが一番だろう。
「ねえリザ……って、あれ」
エアルはきょろきょろと左右を見渡す。
いつもなら一番に情報を伝えてくれるリザだが、なぜか隣にいない。
そうして、ようやく後方にリザを見つける。
「何してるの?」
「……っ」
それどころか、何やら頭を抱えて震えている様に見えた。
リザが不思議な行動を取る中、小鳥がバサっと音を立てて両翼を広げる。
「ぼぉっ!」
「え?」
そしてそのまま、パタパタっとリザの方へ飛び立った。
小さな体で精一杯に飛ぶ様はとてもかわいい。
しかし、リザは──
「ひぎゃああああああ!」
「「「!?」」」
いつもの彼女らしからぬ、大きな悲鳴を上げた。
『ダンダン丘』を抜け、次のダンジョンに差し掛かったところでエアルが口にした。
対して、振り返ったリザとレリアは共にうなずく。
「ま、そりゃね」
「ええ、ここはそういうダンジョンよ」
二人はダンジョンの特徴を知っているようだ。
そうしてすぐ、彼らの視界に広がったのは──赤色。
「ここは『マグメル火山』。まさに灼熱のダンジョンよ」
──『マグメル火山』。
視界の最奥に佇むのは、今なおグツグツと音を立てる大きな火山だ。
その熱が入口付近にまで届いている。
地形も魔物も“火”に関するものが多く、対策が必須となるだろう。
「うへえ……」
「わふぅ……」
エアルとラフィは早くも舌を出している。
初めて来た二人にとっては、慣れるのに時間がかかるだろう。
「だからまあ、ひとまずあいつ狩ってくれる?」
「あいつ?」
リザが指を差したのは、赤色のぷにぷにした体を持つ魔物だ。
「『ヒートスライム』よ。あいつで体を覆えば、暑さが和らぐ──」
「そういうことなら!」
「わふぅ!」
リザはすでに情報を取り入れていたのだろう。
だが、説明の途中で二人は飛び立ってしまった。
「情報屋さんの出番が台無しね」
「……うっさいわね」
ニヤっとするレリアに、ジト目を向けるリザであった。
「ま、早いに越したことはないんだけど」
「ぷにぷにで気持ち良い~」
「わふぅ~」
対策の肝となるヒートスライムを体に覆いながら、エアルとラフィは歩く。
ヒートスライムは、討伐すれば素材として動体をその場に残す。
それを首から包むことで、暑さを和らげることができるようだ。
このダンジョンに挑むには、必須の情報と言える。
加えて、このぷにぷにの感触は気持ち良い。
エアルとラフィはすっかり気に入ったようだ。
「ここから次の探索者街までは、基本的にこんな感じよ。熱いダンジョンが続くわ」
「でも、どうしてこんなところを?」
「……! それは──」
エアルの質問に、珍しくリザは視線を逸らす。
「ここが良いと思ったからよ」
「ふーん」
すると、リザにしては曖昧な答えを示す。
それでも彼女を信頼しているエアルは、構わず進み続けた。
「リザが言うなら間違いないね!」
「ま、まあね」
「……」
レリアだけは黙ってリザを覗いているようだったが。
しかし、話題はすぐに切り替わった。
「なんだこの子ー!」
「「「……?」」」
少し先に行ったエアルが、唐突に声を上げたからだ。
疑問に思ったレリアも急いで追いつき、屈んでいるエアルの視線の先へ目を向けた。
そこにいたのは──
「小鳥さん……?」
人の顔サイズぐらいの小さな鳥だ。
「ぼぉっ!」
ひよこのような薄黄色の体は、羽毛で覆われている。
いかにも、もふもふとしているのが見て取れる。
魔物には違いないが、おそって来る様子はなく、つぶらな瞳でエアル達を見上げている。
「この子、なんだろう?」
「さあ、ワタシでは分からないわね」
攻略組ですら見たこと無かったのか、隣のレリアも首を傾げる。
ここはやはり“彼女”に聞くのが一番だろう。
「ねえリザ……って、あれ」
エアルはきょろきょろと左右を見渡す。
いつもなら一番に情報を伝えてくれるリザだが、なぜか隣にいない。
そうして、ようやく後方にリザを見つける。
「何してるの?」
「……っ」
それどころか、何やら頭を抱えて震えている様に見えた。
リザが不思議な行動を取る中、小鳥がバサっと音を立てて両翼を広げる。
「ぼぉっ!」
「え?」
そしてそのまま、パタパタっとリザの方へ飛び立った。
小さな体で精一杯に飛ぶ様はとてもかわいい。
しかし、リザは──
「ひぎゃああああああ!」
「「「!?」」」
いつもの彼女らしからぬ、大きな悲鳴を上げた。
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