記憶味屋

花結まる

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温かい肉そば

お寺で

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気がつくと、そこは大きな二重門の前だった。重厚な屋根瓦がびっしりと並び、両端は天めがけてぐいっと上に伸びている。
その下には太い柱が5本そびえ、両脇になんとも厳つい顔の像が仁王立ちしていた。

ここは確か…

そう思った途端、門の前にいる小さな男の子とおじいさんに気がついた。
男の子の方は、短髪に半袖半ズボンで、ワンパクそうだ。
おじいさんの手を精一杯引きながら、何か必死に喚いている。
そして、おじいさんの方は….
その瞬間、連の頭を電撃が貫いた。
灰色髪で福耳、それに優しい垂れ目。
間違いない。8年前に亡くなったはずの祖父だ。
連はまじまじとじいちゃんの顔を見る。
亡くなった時よりも5年は若い、まだ背筋もピンとしてる頃のじいちゃんだ。
そして連は、男の子をもう一度よく見る。
あの落ち着きのなさそうな男の子は、幼い頃の連自身だった。

ふと、連は思い出した。
そういえば昔、じいちゃんが福岡から京都のうちに遊びに来て、一緒に奈良の法隆寺を見に行ったことがあった。
ここは、法隆寺の中門の前だったのだ。

じいちゃんは勉強家で、連をよくいろんな所へ連れて行ってくれた。
それなのに、この日は何だか寺に入りたくなくて、門の前まで来て帰ろうとごね出したのだ。
自分でもなぜこんなことをしたのか、覚えていない。
ただ目の前の小さな男の子は、必死に門をくぐるまいと抵抗している。

せっかく来たんじゃけ、連くん入ろうよ。

じいちゃんはあの懐かしい博多弁で、そう小さな連を促した。
福耳で垂れ目で優しく微笑むじいちゃんは、仏様のようだ。
でも、小さな連は帰りたいの一点張りだった。
参拝にきた他のお客さんたちは、大変そうねぇと笑う人もいれば、避けるように門をくぐっていく人もいる。

中にはな、立派な仏像さんがおるんたい。

じいちゃんが話せば話すほど、連の喚きは大きくなっていく。
5分くらい経っただろうか、そんなら仕方ないけぇ帰ろうか、とじいちゃんはまた笑った。
小さな連の手を引いて、門を後に離れていく。
小さな連はようやくぐずるのをやめて、大人しくなった。

じいちゃん、せっかく福岡からきたんだから、本当はすごく入りたかったんだろうな…

2人の並んで歩く後ろ姿をみると、連の胸に、何かがちくりと刺さった。
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