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重要視するのは上の句じゃなく下の句

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~シェリル~

研究所の皆さんにモテモテとバラしてしまったが、前にも言ったんだけどな~。
呆然としたこの感じだと本気にとって無かったな。
今日、薬盛られて迫られて、やっと危機を感じだのだろう。
全くもって無自覚モテ男だな、主に男に。
本人は嬉しくなさそうだけれども。

「まぁ、これから少しずつ距離とればいいじゃないですか。飲み物だって、探索サーチかければいいんだし」
「それは思った。もう飲み物に対してトラウマになりそうだ」
「いずれは誰か告白して来たでしょうし、私がいる時に気が付いて良かったじゃないですか」

そう言ったら、アシュレイさんが縋るような目で私を見た。

「本当に第一隊に戻るのか?もっといて欲しいんだが・・・正直、シェリルがいない生活なんて考えられない」
「えぇ、そうは言っても・・・」

そんなに不安ですか。
余程色々とショックが続いて、弱気になってるらしい。
珍しいなアシュレイさん。思わず庇護欲をそそられる。

私も苦手な魔術教えてもらえるし、Win-Winな関係ではあるけれど。

「わかりました。エメル隊長に護衛延長聞いてみます」
「え?そっち?上の句じゃなくて下の句重要視して欲しいんだが」
「下の句って?」

アシュレイさんは首を振って、はぁぁとため息を吐く。
こちらを見て「相当ニブイ」と呟いている。
何をっっ!!今日まで、魔術師のみんなにモテモテなの気がつかないアシュレイさんには言われたくない。

「延長出来るようにしますので、安心して下さい。すぐにはいなくなりませんから」
「だから、そうじゃなくて」
「違うんですか?では延長しなくて良いんですか?よくわからないな」

アシュレイさんが、「もぅ、わっかんないかなぁ」と言いながら、いきなり私の両肩をガッと掴んだ。

「だーかーらー、護衛の話じゃないんだって。俺が言いたいのは、シェリルにいて欲しいっていってるんだよ。そばに!ずっと!!!」
「は!?え!?」

護衛じゃない?なのにそばにいてって。

「プ、プロポーズッッッ!!!」
「おっと、急にそこまで飛んだな。でもまぁ、そう言う事だ」

やっとわかったか、みたいな顔でアシュレイさんが見る。

えー!?わからないよ。
だって、アシュレイさんが?私と??ずっと一緒にいたいって・・・
冷静になったら、急に顔が熱くなって来た。

「それって、つまり私のこと好きなんですか?」
「信じられないかもしれないけど、そうみたいだ。シェリルの魔力にも物凄く惹きつけられている」

何それ。猫にまたたび魔術師に魔力、みたいな感じですか?

「魔力の相性、もう一度確かめたかったんだけど、さっきおでこをくっつけられて、確信した。もうシェリルしか考えられない」

さっきまで全然普通に話ししてたのに、急に熱を帯びた声になった。
あれ?変なスイッチ押しちゃった?
思わず後ずさそうとしたら、掴んだ両肩をグイっと自分の方に近づけた。

「シェリル」
「はいっ!!」

急に名前を呼ばれ、思わず返事をしてしまう。
アシュレイさんの顔が近いぃぃ。

「で、どうなの?シェリルは?」
「えっとですね・・・」
「俺じゃダメ?」

ブルーグレーの真剣な目でダメかダメじゃないかと言われれば・・・

「・・・ダメではないです」

それを聞いた途端ににーっこりした。
うっ、顔が良い。
今まで仕事だからとを考えない様にしてたけど、アシュレイさんの顔はズルいくらい良いのだ。
それこそ、私の好みのど真ん中と言っても良い。

「じゃ、決まりだな」

何が?今、何が決まった?

「あの、何が決まって、私はどうなったのでしょう」
「俺のそばにずっといる事になったの。つまり、シェリルは俺の嫁」
「嫁!?」
「自分でプロポーズって言ってたじゃないか」

急に来た!自分だって極端じゃないか!
この短時間で畳み掛けたな、アシュレイさん。
良いのかな?魔力の相性だけでこんな急に大事な事決めて良いの?
そう思ってアシュレイさんを見ると、さっきまでの不安な様子は何処へやら、物凄~くご機嫌な様子でニコニコしている。ヤバイ、可愛い。

まぁ、いいか。
私もアシュレイさんのこと嫌いじゃないし。
いや、むしろ好きだな。
一緒にいて居心地良いもんね。
アシュレイさんに向き直ると。

「わかりました。今まで言ってませんましたが、実は私、アシュレイさんの顔、めちゃくちゃ好きなんです」
「は?そうなの?苦手とか言ってなかった?俺の顔とか興味無いんだと思ってた」
「顔は別腹です。すんごい面食いなんですよ」
「はは。じゃあ、丁度良いな。俺はシェリルの魔力、シェリルは俺の顔。好きな物を、持ち合わせた物同士って事だな」
「う~ん、ロマンチックでは無いですけど、私達らしいっちゃ、らしいですよね。わかりやすい」
「ロマンチック求めてるの?」
「一応乙女なんで」

もう一度顔を見合わせると、あははと笑い合って乾杯した。



しかし、こんな調子でロマンスは始まるのだろうか・・・?

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