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1章
14 恥ずかしいのは気持ちがいい
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「いい子だね。……それで、この染みはなにかな?」
リアンは優しい口調でとんでもないことを聞いてくる。そんなの、答えられるわけがない。
「……あ、あの、え……っその……」
「言えるよね? 『言って』」
にこやかな笑みを浮かべて、目の前の美しい男は甘く鋭い声で命令する。
欠片残っていた羞恥心が広がって、全身が恥ずかしさで熱くなった。だが、その命令は身体中に染みわたるように甘美に響く。
答えたくない。
(答えなくては)
「せ、せ、……」
言葉につまっているそばから、股間が再び元気を取り戻して、ズボンの前を押し上げる。
(あぁ……)
この身体は一体どうしてしまったのか。健介にはわからない。馬鹿みたいに反応するそこに熱がこもって、一層身体を熱くする。
ただただ、健介は初めて浴びるDomからの命令に溺れ、とろけるような感覚に脳が侵されていた。
恥ずかしい……のは、気持ちがいい。
「き、気持ちがよくて、しゃ、しゃ、射精して、しまいました」
愚かしくも素直に現状を報告した。
「よく言えたね。えらいえらい。『いいこ』だ」
そう言って、リアンは健介の頭や頬を両手で何度も優しくなでる。
「気持ちよかったのか。嬉しいな」
輝くような美しい笑みを浮かべて、リアンは健介を見つめる。正面に立ったリアンは両手で健介の頬を包むと、身体をかがめる。見上げる健介の額に小さくキスをした。
神からの祝福のように、健介の身体を喜びが駆け抜ける。熱を持った股間がずくりとうずく。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
Subの自分が言われた命令にきちんと答えたことで、褒められる。それと同時にSubが命令を守れたことをDomが喜んでいる。
それだけで、健介は天にも昇る気持ちになった。
リアンは次にどんな命令をくれるのだろうか。期待で胸を高まらせ、濡れたような黒い瞳で薄青と榛を見あげる。
リアンは視線をすっと外すと、立ち上がり、健介の両脇に手を差し込む。
何をされるのかと思った瞬間、ぐっと持ち上げられた。
(お、わっ)
信じられない。ひょろがりである認識はあるが、これでも健介は一般的な日本人男性なので、それなりの大きさと重量がある。それなのに、膝たちの健介を踏ん張りもせず、すっと抱き上げたのだ。反射的にリアンの腰に足を巻き付けてしまう。
「うん。いいこだ」
満足気に呟いて、健介の尻に片腕を回すと、そのまま歩きだす。
健介を抱き上げたその腕は太く逞しく、股間が当たる腹筋は硬く引き締まっている。
歩くたびに上下に揺れる振動が腹筋に密着した股間を刺激する。
「ん、ぅ」
思わず漏れた健介の呻き声には甘い響きが乗っていた。無意識のうちに自ら腰をリアンにこすりつけたくなり、はっとする。
「可愛いね」
聞き間違いだろうか。
冴えないモブ顔のおっさんである自覚が健介にはある。
どんなに間違っても可愛いと形容されることは、万が一にもない。
健介は自分の自己肯定感が低いことは自覚している。だが、自己肯定感の高低は関係なく、言われるはずがない言葉であることは理解できる。
何故か知らないが一人勝手に盛り上がって、股間を滾らせているおっさんだ。あまつさえ、滾らせるだけならまだしも、すでに暴発しているのだ。
キモいと言われることはあれど、「可愛い」にはならない。
うん。そう。聞き間違い。
一人でせわしく納得する。
健介が自問自答している間に目的の場所に着いたのか、「おろすね」と声をかけて、降ろされた。
腰に巻き付けた足を外して、座らされたのはベッドの上で……。
これは……。これから一体何をするのだろう。
惚けて見上げる健介をリアンが眺めながら、「『脱いで』」と命令した。
(え?)
聞き間違いだろうか。
いま、「脱げ」と言われた。
この貧相な身体と勃起した下半身を美しく逞しいこの男の前で晒せ……と?
どんな拷問かよ、と健介は心の中で愚痴る。
嫌だ。
でも、褒められたい。
でも、きっとがっかりされる。
でも、言われた通りにしたい。
でも、でも、でも……。頭の中でぐるぐると悩む。
「ほら、できるよね?」
リアンが追い打ちをかけるように健介を急き立てた。
健介は観念し、ままよとズボンに手をかけて、一気に引き下ろす。
気づけば勢い余って、下着まで一緒におろしていた。
「お、わっ」
慌てて、下着をあげようとすると、「『止まって』」とリアンの鋭い声が響いた。
パンツをあげたいのに、がちっと固まったように身体が動かない。
自分の意思とは関係なく、身体を動かすことは出来ない。支配されているという感覚だった。
中腰のまま、中途半端な位置に持ち上げたパンツ。客観的に見たら、かなり情けない恰好だった。
「『いいこ』。そのまま、上も全部『脱いで』」
健介は持っていたパンツを離す。ぼろぼろの上着に手をかけてめくりあげて、頭から引き抜き、床に投げ捨てる。するとあばらの浮いた貧相な身体が眼に入る。それを気にしないように目の前を真っ直ぐに見つめ、すっぽんぽんのままベッドとリアンの間に立ち、次の命令を待った。
「『いいこ』だ。じゃあ、そのままベッドに『仰向けになって』」
リアンは優しい口調でとんでもないことを聞いてくる。そんなの、答えられるわけがない。
「……あ、あの、え……っその……」
「言えるよね? 『言って』」
にこやかな笑みを浮かべて、目の前の美しい男は甘く鋭い声で命令する。
欠片残っていた羞恥心が広がって、全身が恥ずかしさで熱くなった。だが、その命令は身体中に染みわたるように甘美に響く。
答えたくない。
(答えなくては)
「せ、せ、……」
言葉につまっているそばから、股間が再び元気を取り戻して、ズボンの前を押し上げる。
(あぁ……)
この身体は一体どうしてしまったのか。健介にはわからない。馬鹿みたいに反応するそこに熱がこもって、一層身体を熱くする。
ただただ、健介は初めて浴びるDomからの命令に溺れ、とろけるような感覚に脳が侵されていた。
恥ずかしい……のは、気持ちがいい。
「き、気持ちがよくて、しゃ、しゃ、射精して、しまいました」
愚かしくも素直に現状を報告した。
「よく言えたね。えらいえらい。『いいこ』だ」
そう言って、リアンは健介の頭や頬を両手で何度も優しくなでる。
「気持ちよかったのか。嬉しいな」
輝くような美しい笑みを浮かべて、リアンは健介を見つめる。正面に立ったリアンは両手で健介の頬を包むと、身体をかがめる。見上げる健介の額に小さくキスをした。
神からの祝福のように、健介の身体を喜びが駆け抜ける。熱を持った股間がずくりとうずく。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
Subの自分が言われた命令にきちんと答えたことで、褒められる。それと同時にSubが命令を守れたことをDomが喜んでいる。
それだけで、健介は天にも昇る気持ちになった。
リアンは次にどんな命令をくれるのだろうか。期待で胸を高まらせ、濡れたような黒い瞳で薄青と榛を見あげる。
リアンは視線をすっと外すと、立ち上がり、健介の両脇に手を差し込む。
何をされるのかと思った瞬間、ぐっと持ち上げられた。
(お、わっ)
信じられない。ひょろがりである認識はあるが、これでも健介は一般的な日本人男性なので、それなりの大きさと重量がある。それなのに、膝たちの健介を踏ん張りもせず、すっと抱き上げたのだ。反射的にリアンの腰に足を巻き付けてしまう。
「うん。いいこだ」
満足気に呟いて、健介の尻に片腕を回すと、そのまま歩きだす。
健介を抱き上げたその腕は太く逞しく、股間が当たる腹筋は硬く引き締まっている。
歩くたびに上下に揺れる振動が腹筋に密着した股間を刺激する。
「ん、ぅ」
思わず漏れた健介の呻き声には甘い響きが乗っていた。無意識のうちに自ら腰をリアンにこすりつけたくなり、はっとする。
「可愛いね」
聞き間違いだろうか。
冴えないモブ顔のおっさんである自覚が健介にはある。
どんなに間違っても可愛いと形容されることは、万が一にもない。
健介は自分の自己肯定感が低いことは自覚している。だが、自己肯定感の高低は関係なく、言われるはずがない言葉であることは理解できる。
何故か知らないが一人勝手に盛り上がって、股間を滾らせているおっさんだ。あまつさえ、滾らせるだけならまだしも、すでに暴発しているのだ。
キモいと言われることはあれど、「可愛い」にはならない。
うん。そう。聞き間違い。
一人でせわしく納得する。
健介が自問自答している間に目的の場所に着いたのか、「おろすね」と声をかけて、降ろされた。
腰に巻き付けた足を外して、座らされたのはベッドの上で……。
これは……。これから一体何をするのだろう。
惚けて見上げる健介をリアンが眺めながら、「『脱いで』」と命令した。
(え?)
聞き間違いだろうか。
いま、「脱げ」と言われた。
この貧相な身体と勃起した下半身を美しく逞しいこの男の前で晒せ……と?
どんな拷問かよ、と健介は心の中で愚痴る。
嫌だ。
でも、褒められたい。
でも、きっとがっかりされる。
でも、言われた通りにしたい。
でも、でも、でも……。頭の中でぐるぐると悩む。
「ほら、できるよね?」
リアンが追い打ちをかけるように健介を急き立てた。
健介は観念し、ままよとズボンに手をかけて、一気に引き下ろす。
気づけば勢い余って、下着まで一緒におろしていた。
「お、わっ」
慌てて、下着をあげようとすると、「『止まって』」とリアンの鋭い声が響いた。
パンツをあげたいのに、がちっと固まったように身体が動かない。
自分の意思とは関係なく、身体を動かすことは出来ない。支配されているという感覚だった。
中腰のまま、中途半端な位置に持ち上げたパンツ。客観的に見たら、かなり情けない恰好だった。
「『いいこ』。そのまま、上も全部『脱いで』」
健介は持っていたパンツを離す。ぼろぼろの上着に手をかけてめくりあげて、頭から引き抜き、床に投げ捨てる。するとあばらの浮いた貧相な身体が眼に入る。それを気にしないように目の前を真っ直ぐに見つめ、すっぽんぽんのままベッドとリアンの間に立ち、次の命令を待った。
「『いいこ』だ。じゃあ、そのままベッドに『仰向けになって』」
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