79 / 176
2章
30 口いっぱいに
しおりを挟む
もっと、もっと──。
健介は夢中になってサイベリアンのペニスを頬張る。無理やり口の中に入れて、喉の奥で先端を刺激する。
「うぅ、うぇ」
「あぁ、無理はしなくていいから」
そう言われても、反応を見る限りこれでいいのだと思う。健介は裏筋を舌で舐めて、一生懸命に喉奥で先端をしごく。
「いいこ、上手だよ。両手で幹の部分を擦って」
サイベリアンの太ももに置いていた手を、口に含み切れなかった幹の部分に移動させる。すると、自分の口から溢れた唾液でべちゃべちゃに濡れていた。にゅるっと握り締めて上下に動かすと、唾液が滑りをよくして動かしやすい。くちゅくちゅと音をたてて幹を扱きながら、ぐっぽぐっぽと頭を激しく上下にして口の中では先端を愛撫する。
「ん、ふっ、ぐぅ、うぐっ、んっ」
そうやって、サイベリアンのペニスをしゃぶること、どのくらいの時間が経ったか……。
顎が、顎が疲れた。
刺激が足りないのだろうか──。
自分が下手なせいだろうか──。
サイベリアンは健介の口の中でぴくん、びくんと跳ねさせ反応するものの、果てる……気配は……というと、一向になさそうで。
涙を目尻に浮かべて、上目遣いでサイベリアンを見つめる。
「うっ!」
一向に果てる気配がなかったサイベリアンが、急に健介の口の中に性を放った。あまりに突然のことで、サイベリアンは健介の口の中から自分のものを取り出すことができなかったのかなんなのか、出てしまったものは行き場をなくし、健介はそのまま口でそれを受け止めた。
だが、放出された量がそれなりに多く、堪えきれずに口の端から溢れ出て床を濡らす。
「んー!!」
「あぁ、ケン。すまない」
(少し、飲んじゃったじゃないか!)
すまないどころの騒ぎではない。
どうしたらよいのかわからず、頬をハムスターのようにぱんぱんにして留めおく努力をするが……それもいつまでもは難しい。
堪えきれずに思わず中に入ったままの肉棒を噛みそうになる。
サイベリアンがずるっと健介の口から引き抜いた。そのはずみで口の中の液体という液体がでろりと床に流れ落ちた。
(あぁ……!!)
綺麗な絨毯の床に白濁の水たまりができる。
こんな高級な部屋の床の絨毯を汚してしまったことに、健介は罪悪感で胸が痛くなった。
それにしたって、なんだってサイベリアンはいきなり射精したのだ!
出すなら出すと言ってくれたらいいのに。まったく。
「ケン、ごめんね。思わず出してしまった」
本当に申し訳なさそうにサイベリアンが謝ってくる。
ちょっといきなりの射精に驚きはしたし、ちょっと飲んでしまったが、別に謝られるほどのことではない。
なにしろ、「奉仕」はSubとしての仕事の一環だ。
「気持ちよかったよ、上手にできていた。『いいこ』」
ちゃんといわれたとおりに出来た!
褒められた……嬉しい。
正解を導き出せたことに健介は喜び安堵した。
それに、サイベリアンが健介の前で性を放ったのは初めてのことだった。サイベリアンを歓ばせることができた、満足させることができたことに、健介の心は満たされていた。
「口を濯ごう」
サイベリアンがベッドから立ち上がって、サイドテーブルに用意されているカラフェからグラスに水を入れて、健介のもとに戻ってくる。
手渡されたグラスを受け取り、水を口に含みくちゅくちゅと濯ぐ。
その水はどこに……出したら?
サイベリアンを見ようとしたら、目の前にはいなかった。きょろきょろと周りを見渡すと、もう一つ別の空のグラスを手に持って戻ってくる。
「ここに出して」
(え……)
口の中のものを吐き出すという行為は人の目の前ですることではない──という、前世からの常識がある。素直に従うには抵抗感がある。
疲れた顎で口の中に水を留めておくのもけっこうツラい。
でも、サイベリアンの見ている前で出すのも嫌だ。
涙目になって首をふるふると振る。
「え? このグラスに出していいよ」
でも、嫌なのだ。
ふるふると再び首を横に振った。
「じゃあ、飲む?」
それもどうかと思う。元の世界でもうがいをした水を飲んだりしない。普通にバスルームにいかせてはくれないだろうか。
そう聞きたいが、口の中の水のせいで、言葉を発することもできない。
「しかたがないな。『出して』」
サイベリアンは命令をして、健介の目の前にグラスを突き出した。
健介は夢中になってサイベリアンのペニスを頬張る。無理やり口の中に入れて、喉の奥で先端を刺激する。
「うぅ、うぇ」
「あぁ、無理はしなくていいから」
そう言われても、反応を見る限りこれでいいのだと思う。健介は裏筋を舌で舐めて、一生懸命に喉奥で先端をしごく。
「いいこ、上手だよ。両手で幹の部分を擦って」
サイベリアンの太ももに置いていた手を、口に含み切れなかった幹の部分に移動させる。すると、自分の口から溢れた唾液でべちゃべちゃに濡れていた。にゅるっと握り締めて上下に動かすと、唾液が滑りをよくして動かしやすい。くちゅくちゅと音をたてて幹を扱きながら、ぐっぽぐっぽと頭を激しく上下にして口の中では先端を愛撫する。
「ん、ふっ、ぐぅ、うぐっ、んっ」
そうやって、サイベリアンのペニスをしゃぶること、どのくらいの時間が経ったか……。
顎が、顎が疲れた。
刺激が足りないのだろうか──。
自分が下手なせいだろうか──。
サイベリアンは健介の口の中でぴくん、びくんと跳ねさせ反応するものの、果てる……気配は……というと、一向になさそうで。
涙を目尻に浮かべて、上目遣いでサイベリアンを見つめる。
「うっ!」
一向に果てる気配がなかったサイベリアンが、急に健介の口の中に性を放った。あまりに突然のことで、サイベリアンは健介の口の中から自分のものを取り出すことができなかったのかなんなのか、出てしまったものは行き場をなくし、健介はそのまま口でそれを受け止めた。
だが、放出された量がそれなりに多く、堪えきれずに口の端から溢れ出て床を濡らす。
「んー!!」
「あぁ、ケン。すまない」
(少し、飲んじゃったじゃないか!)
すまないどころの騒ぎではない。
どうしたらよいのかわからず、頬をハムスターのようにぱんぱんにして留めおく努力をするが……それもいつまでもは難しい。
堪えきれずに思わず中に入ったままの肉棒を噛みそうになる。
サイベリアンがずるっと健介の口から引き抜いた。そのはずみで口の中の液体という液体がでろりと床に流れ落ちた。
(あぁ……!!)
綺麗な絨毯の床に白濁の水たまりができる。
こんな高級な部屋の床の絨毯を汚してしまったことに、健介は罪悪感で胸が痛くなった。
それにしたって、なんだってサイベリアンはいきなり射精したのだ!
出すなら出すと言ってくれたらいいのに。まったく。
「ケン、ごめんね。思わず出してしまった」
本当に申し訳なさそうにサイベリアンが謝ってくる。
ちょっといきなりの射精に驚きはしたし、ちょっと飲んでしまったが、別に謝られるほどのことではない。
なにしろ、「奉仕」はSubとしての仕事の一環だ。
「気持ちよかったよ、上手にできていた。『いいこ』」
ちゃんといわれたとおりに出来た!
褒められた……嬉しい。
正解を導き出せたことに健介は喜び安堵した。
それに、サイベリアンが健介の前で性を放ったのは初めてのことだった。サイベリアンを歓ばせることができた、満足させることができたことに、健介の心は満たされていた。
「口を濯ごう」
サイベリアンがベッドから立ち上がって、サイドテーブルに用意されているカラフェからグラスに水を入れて、健介のもとに戻ってくる。
手渡されたグラスを受け取り、水を口に含みくちゅくちゅと濯ぐ。
その水はどこに……出したら?
サイベリアンを見ようとしたら、目の前にはいなかった。きょろきょろと周りを見渡すと、もう一つ別の空のグラスを手に持って戻ってくる。
「ここに出して」
(え……)
口の中のものを吐き出すという行為は人の目の前ですることではない──という、前世からの常識がある。素直に従うには抵抗感がある。
疲れた顎で口の中に水を留めておくのもけっこうツラい。
でも、サイベリアンの見ている前で出すのも嫌だ。
涙目になって首をふるふると振る。
「え? このグラスに出していいよ」
でも、嫌なのだ。
ふるふると再び首を横に振った。
「じゃあ、飲む?」
それもどうかと思う。元の世界でもうがいをした水を飲んだりしない。普通にバスルームにいかせてはくれないだろうか。
そう聞きたいが、口の中の水のせいで、言葉を発することもできない。
「しかたがないな。『出して』」
サイベリアンは命令をして、健介の目の前にグラスを突き出した。
224
あなたにおすすめの小説
カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!
野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ
平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、
どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。
数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。
きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、
生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。
「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」
それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
異世界転生した双子は今世でも双子で勇者側と悪魔側にわかれました
陽花紫
BL
異世界転生をした双子の兄弟は、今世でも双子であった。
しかし運命は二人を引き離し、一人は教会、もう一人は森へと捨てられた。
それぞれの場所で育った男たちは、やがて知ることとなる。
ここはBLゲームの中の世界であるのだということを。再会した双子は、どのようなエンディングを迎えるのであろうか。
小説家になろうにも掲載中です。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる