社畜モブの俺、異世界転移したら「Sub」っていわれたんだけど。え、「Sub」って何ですか?

鉾田 ほこ

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2章

30 口いっぱいに

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 もっと、もっと──。
 健介は夢中になってサイベリアンのペニスを頬張る。無理やり口の中に入れて、喉の奥で先端を刺激する。
「うぅ、うぇ」
「あぁ、無理はしなくていいから」
 そう言われても、反応を見る限りこれでいいのだと思う。健介は裏筋を舌で舐めて、一生懸命に喉奥で先端をしごく。
「いいこ、上手だよ。両手で幹の部分を擦って」
 サイベリアンの太ももに置いていた手を、口に含み切れなかった幹の部分に移動させる。すると、自分の口から溢れた唾液でべちゃべちゃに濡れていた。にゅるっと握り締めて上下に動かすと、唾液が滑りをよくして動かしやすい。くちゅくちゅと音をたてて幹を扱きながら、ぐっぽぐっぽと頭を激しく上下にして口の中では先端を愛撫する。
「ん、ふっ、ぐぅ、うぐっ、んっ」
 そうやって、サイベリアンのペニスをしゃぶること、どのくらいの時間が経ったか……。
 顎が、顎が疲れた。
 刺激が足りないのだろうか──。
 自分が下手なせいだろうか──。
 サイベリアンは健介の口の中でぴくん、びくんと跳ねさせ反応するものの、果てる……気配は……というと、一向になさそうで。
 涙を目尻に浮かべて、上目遣いでサイベリアンを見つめる。
「うっ!」
 一向に果てる気配がなかったサイベリアンが、急に健介の口の中に性を放った。あまりに突然のことで、サイベリアンは健介の口の中から自分のものを取り出すことができなかったのかなんなのか、出てしまったものは行き場をなくし、健介はそのまま口でそれを受け止めた。
 だが、放出された量がそれなりに多く、堪えきれずに口の端から溢れ出て床を濡らす。
「んー!!」
「あぁ、ケン。すまない」

(少し、飲んじゃったじゃないか!)
 すまないどころの騒ぎではない。
 どうしたらよいのかわからず、頬をハムスターのようにぱんぱんにして留めおく努力をするが……それもいつまでもは難しい。
 堪えきれずに思わず中に入ったままの肉棒を噛みそうになる。
 サイベリアンがずるっと健介の口から引き抜いた。そのはずみで口の中の液体という液体がでろりと床に流れ落ちた。

(あぁ……!!)
 綺麗な絨毯の床に白濁の水たまりができる。
 こんな高級な部屋の床の絨毯を汚してしまったことに、健介は罪悪感で胸が痛くなった。
 それにしたって、なんだってサイベリアンはいきなり射精したのだ!
 出すなら出すと言ってくれたらいいのに。まったく。
 
「ケン、ごめんね。思わず出してしまった」
 本当に申し訳なさそうにサイベリアンが謝ってくる。
 ちょっといきなりの射精に驚きはしたし、ちょっと飲んでしまったが、別に謝られるほどのことではない。
 なにしろ、「奉仕」はSubとしての仕事の一環だ。
「気持ちよかったよ、上手にできていた。『いいこ』」
 ちゃんといわれたとおりに出来た!
 褒められた……嬉しい。

 正解を導き出せたことに健介は喜び安堵した。
 それに、サイベリアンが健介の前で性を放ったのは初めてのことだった。サイベリアンを歓ばせることができた、満足させることができたことに、健介の心は満たされていた。
 
「口を濯ごう」
 サイベリアンがベッドから立ち上がって、サイドテーブルに用意されているカラフェからグラスに水を入れて、健介のもとに戻ってくる。
 手渡されたグラスを受け取り、水を口に含みくちゅくちゅと濯ぐ。
 その水はどこに……出したら?
 サイベリアンを見ようとしたら、目の前にはいなかった。きょろきょろと周りを見渡すと、もう一つ別の空のグラスを手に持って戻ってくる。
「ここに出して」

(え……)
 口の中のものを吐き出すという行為は人の目の前ですることではない──という、前世からの常識がある。素直に従うには抵抗感がある。
 疲れた顎で口の中に水を留めておくのもけっこうツラい。
 でも、サイベリアンの見ている前で出すのも嫌だ。
 涙目になって首をふるふると振る。
「え? このグラスに出していいよ」
 でも、嫌なのだ。
 ふるふると再び首を横に振った。
「じゃあ、飲む?」
 それもどうかと思う。元の世界でもうがいをした水を飲んだりしない。普通にバスルームにいかせてはくれないだろうか。
 そう聞きたいが、口の中の水のせいで、言葉を発することもできない。
「しかたがないな。『出して』」
 サイベリアンは命令コマンドをして、健介の目の前にグラスを突き出した。
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