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2章
32 『動くな』
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ベッドに上がり、膝立ちでサイベリアンの方を向きなおす。すると視線の先に機嫌よさそうな表情でベッド先に立つサイベリアンが見えた。
健介は命令のとおりに、ベッドに仰向けに寝転がる。
次は──?
「『いい子』だね。じゃあ、そのまま『晒して』」
褒められたかと思えば、立て続けに命令を出される。健介はサイベリアンによく見えるように、膝を曲げて大きく足を開いた。
恥ずかしさの中に甘美な悦びがわいてくる。
そこでふと思う。手のやり場に困るな……と。
仰向けに寝転がる時、手の正しい位置はどこだろうか。体の横? それとも腹の上? もしくは頭上にあげて万歳の体勢?
腹の上で指を組むのは、なんだか安置された遺体のような気がして気が進まない。まあ、この世界、この国でも遺体は腹の上で指を組むのかは知らないのだが……。
胸の上で腕をクロスするか?
なんだか、こちらも元の世界にミイラになった紀元前王様のようで違う気がする。
どうしたものかともだもだしていると、サイベリアンが次の命令を告げた。
「そうだな……。両手で両膝の裏を持って。いいと言うまで、『動くな』」
膝裏を抱えたいわゆるM字開脚のまま、動きを封じられる。
腕のやり場には困らなくなったが、これは……。
恥ずかしい。
ちょっとばかり正気に戻っていた健介の意識を再びSubの性質が支配し始める。
羞恥に頬を朱に染めて足元に視線を向けると、ガウンを脱いでいるサイベリアンと目が合った。一瞬たりとも獲物から視線を逸らさないというように美しいオッドアイがギラリと妖しく光る。
薄暗い照明の光がサイベリアンの白い肌に美しい陰影を落とす。中心は先ほど一度達したにもかかわらず、固さを取戻してそそり立っていた。
自分が奉仕して、サイベリアンを癒そうと思っていたのに、これから何をしてもらえるのかと思考が勝手に期待する。動くなと言われたとおり、指一本動かさないように息を詰めて、サイベリアンがベッドに上がるのを今か今かと待ちわびる。その期待だけで、健介の中心もゆっくりと起き上がって下着を押し上げていた。
流石にそこの動きまではどうにも出来ないのだが、ここも「動くな」という命令に含まれるのだろうか──。
そんなことを考え、意識すまいと思えば思うほどそこに意識が集中してしまい、より一層固さをもって前を押しあげて、ぴくっぴくっと誘惑するように小刻みに揺れ動いていた。
そうこうしていると、ベッドの端がグッと動いてサイベリアンが近づいて来たことを知らせる。健介は反射的に体が跳ねそうになるのをグッと堪えて、サイベリアンを待った。
早く、早く──。
心臓が早鐘を打ち、両脚を抱える腕が期待に震える。触れられてもいないのに、息は上がりペニスの先からお預けをくらった犬が涎を垂らすようにとろりとろりと溢れ出て、下着の前にシミを作る。
「待ちきれなかったのか?」
甘く低い声があまりに艶を含んでいて、耳から入った音が腰に重く響き、ずくずくと熱を孕んむ。
下着の上から指先でつぅっと竿を根元から先端までサイベリアンが撫でた。その僅かな刺激に身体がぴくっと跳ねて、またもとぷりと先端から雫が溢れた。
もっと、もっと……
とめられたのは動きだけだったか、言葉もだったかもはや定かではない。疼く身体をどうにかして欲しく、健介は潤む瞳でサイベリアンを見つめた。
だが、健介の視線を無視して、サイベリアンは意地悪そうな笑みをたたえ、つぅーつぅーと指のつま先でささやかな刺激を繰り返す。
「ん、ふっ、んぅ」
(なんで……)
全く物足りない。
動き出しそうになる腕に力を込めて、自分の足に爪を立てて必死に耐えた。
「どうしたの?」
わかりきったことを聞いてくる。そう、これは「お仕置き」なのだ。そう簡単に健介を満足させたりはしない。
健介は眦に涙をためて、顔を真っ赤にして荒い息を繰り返す。
すると、サイベリアンの指が健介のささやかな胸の突起をおもむろに摘まみ上げた。
「ひぅっ」
いきなりの強い刺激に身体が大きく動いてしまう。つままれた乳首の先端を爪でかりかりとひっかかれて、むずがゆさと気持ちよさで動くからだを抑えられない。
「気持ちよかった? でも、『動くな』だ」
容赦のない命令に、健介は必死に応えようと努力をする。
だが、サイベリアンは責める手を緩めない。指先で緩く弄んでいた手が健介の下着をずりっとおろす。ぷるんと勢いよく飛び出した健介のペニスの先端を掴んだかと思えば、今度は先っぽの穴を爪でくじった。
「ひぁっ!」
健介は堪えきれずに白濁を迸らせ、自分の腹の上にまき散らす。
「出してしまったの?」
そう、出してしまったのだ。
上手にできなかった。
サイベリアンの言うことを聞きたいが、それよりも身体の方が正直なのは仕方がないではないか。
「ご、ごめんな、さい……」
健介は命令のとおりに、ベッドに仰向けに寝転がる。
次は──?
「『いい子』だね。じゃあ、そのまま『晒して』」
褒められたかと思えば、立て続けに命令を出される。健介はサイベリアンによく見えるように、膝を曲げて大きく足を開いた。
恥ずかしさの中に甘美な悦びがわいてくる。
そこでふと思う。手のやり場に困るな……と。
仰向けに寝転がる時、手の正しい位置はどこだろうか。体の横? それとも腹の上? もしくは頭上にあげて万歳の体勢?
腹の上で指を組むのは、なんだか安置された遺体のような気がして気が進まない。まあ、この世界、この国でも遺体は腹の上で指を組むのかは知らないのだが……。
胸の上で腕をクロスするか?
なんだか、こちらも元の世界にミイラになった紀元前王様のようで違う気がする。
どうしたものかともだもだしていると、サイベリアンが次の命令を告げた。
「そうだな……。両手で両膝の裏を持って。いいと言うまで、『動くな』」
膝裏を抱えたいわゆるM字開脚のまま、動きを封じられる。
腕のやり場には困らなくなったが、これは……。
恥ずかしい。
ちょっとばかり正気に戻っていた健介の意識を再びSubの性質が支配し始める。
羞恥に頬を朱に染めて足元に視線を向けると、ガウンを脱いでいるサイベリアンと目が合った。一瞬たりとも獲物から視線を逸らさないというように美しいオッドアイがギラリと妖しく光る。
薄暗い照明の光がサイベリアンの白い肌に美しい陰影を落とす。中心は先ほど一度達したにもかかわらず、固さを取戻してそそり立っていた。
自分が奉仕して、サイベリアンを癒そうと思っていたのに、これから何をしてもらえるのかと思考が勝手に期待する。動くなと言われたとおり、指一本動かさないように息を詰めて、サイベリアンがベッドに上がるのを今か今かと待ちわびる。その期待だけで、健介の中心もゆっくりと起き上がって下着を押し上げていた。
流石にそこの動きまではどうにも出来ないのだが、ここも「動くな」という命令に含まれるのだろうか──。
そんなことを考え、意識すまいと思えば思うほどそこに意識が集中してしまい、より一層固さをもって前を押しあげて、ぴくっぴくっと誘惑するように小刻みに揺れ動いていた。
そうこうしていると、ベッドの端がグッと動いてサイベリアンが近づいて来たことを知らせる。健介は反射的に体が跳ねそうになるのをグッと堪えて、サイベリアンを待った。
早く、早く──。
心臓が早鐘を打ち、両脚を抱える腕が期待に震える。触れられてもいないのに、息は上がりペニスの先からお預けをくらった犬が涎を垂らすようにとろりとろりと溢れ出て、下着の前にシミを作る。
「待ちきれなかったのか?」
甘く低い声があまりに艶を含んでいて、耳から入った音が腰に重く響き、ずくずくと熱を孕んむ。
下着の上から指先でつぅっと竿を根元から先端までサイベリアンが撫でた。その僅かな刺激に身体がぴくっと跳ねて、またもとぷりと先端から雫が溢れた。
もっと、もっと……
とめられたのは動きだけだったか、言葉もだったかもはや定かではない。疼く身体をどうにかして欲しく、健介は潤む瞳でサイベリアンを見つめた。
だが、健介の視線を無視して、サイベリアンは意地悪そうな笑みをたたえ、つぅーつぅーと指のつま先でささやかな刺激を繰り返す。
「ん、ふっ、んぅ」
(なんで……)
全く物足りない。
動き出しそうになる腕に力を込めて、自分の足に爪を立てて必死に耐えた。
「どうしたの?」
わかりきったことを聞いてくる。そう、これは「お仕置き」なのだ。そう簡単に健介を満足させたりはしない。
健介は眦に涙をためて、顔を真っ赤にして荒い息を繰り返す。
すると、サイベリアンの指が健介のささやかな胸の突起をおもむろに摘まみ上げた。
「ひぅっ」
いきなりの強い刺激に身体が大きく動いてしまう。つままれた乳首の先端を爪でかりかりとひっかかれて、むずがゆさと気持ちよさで動くからだを抑えられない。
「気持ちよかった? でも、『動くな』だ」
容赦のない命令に、健介は必死に応えようと努力をする。
だが、サイベリアンは責める手を緩めない。指先で緩く弄んでいた手が健介の下着をずりっとおろす。ぷるんと勢いよく飛び出した健介のペニスの先端を掴んだかと思えば、今度は先っぽの穴を爪でくじった。
「ひぁっ!」
健介は堪えきれずに白濁を迸らせ、自分の腹の上にまき散らす。
「出してしまったの?」
そう、出してしまったのだ。
上手にできなかった。
サイベリアンの言うことを聞きたいが、それよりも身体の方が正直なのは仕方がないではないか。
「ご、ごめんな、さい……」
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