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2章
44 暴発
しおりを挟む口の中は温かく優しくサイベリアンを包み込んでいる。唾液でぬめった口内の気持ちよさと、舌で施される刺激にサイベリアンの先端からは先走りが溢れ出す。それをケンはちゅぱちゅぱと音を立てて舐めあげた。
サイベリアンが必死に耐えていることなど、一ミリも頭にないケンはより深く口の中に含もうと頭を下げた。すると、先端が上顎の柔らかな粘膜に当たって気持ちがいい。初めてのはずだが、存外悪くなかった。
「ん、ふっ」
夢中になってサイベリアンを味わうケンからも鼻から甘い声を漏らしていた。優しく頭を撫でて、「もっと奥に咥え込めるか」と尋ねれば、悩むそぶりもなく奥に飲み込もうと、これ以上開けれられないほどに開いた口に一生懸命に頬張る。
もっともっとと求めるように、奥へ奥へと飲み込み喉奥まで入れては、ずろろと引き抜く。
口内を行き来するサイベリアンの肉棒に刺激され、ケン自身も昂ってきていた。ふと見ると、ケンの股間も萌し始めている。
「いいこ、上手だよ。両手で幹の部分を……」
サイベリアンの太ももに置いていた手を動かし、恐々幹に触れる。言われた通りに上下に手も動かしながら、懸命に奉仕を続けた。
静かな部屋に淫猥な水音が鳴り響く。その合間合間でケンが鼻にかかった甘い呻きを奏でる。
「んっ、んぅ、ふ……ふぐぅ、ん」
ケンの必死な姿はサイベリアンの目を楽しませた。いまいち刺激は足りないせいで、一向に上り詰める気がしなかったが、それでも十分だった。
もとよりケンの口の中に出すつもりもない。
だが、「もういい」と頑張っているケンに水を差すこともしたくない。
だただた、「いいこ、いいこ」と頭を撫でて、上手に出来ているとケンに伝える。
突然、それまで下を向いて股間に集中していたケンが、涙をいっぱいにためた目で上目遣いにサイベリアンを見つめた。
(かわっ……)
ふいうちだった。
涙を浮かべ、鼻水を垂らし、口の端からだらだらとよだれをこぼす。ぐちゃぐちゃのその顔がサイベリアンの股間にダイレクトヒットした。
まずい!と思ったときには既に時は遅かった。
「うっ!!」
堪えることも、引き抜くこともできずにそのままケンの口内に発射する。
「んーーーー!!」
どくどくと脈を打ち、とめどなく口の中に出される精液。ケンは口を離すことなく、それを受け止めている。
こんなに早く出してしまったのも、うっかり意図せず射精してしまったことも、サイベリアンには初めてのことだった。
「あぁ! ケン、すまない!」
サイベリアンの先端を咥えたまま、ケンの頬袋はげっ歯類のようにぱんぱんに膨らんでいる。涙目で耐える姿も可愛らしく、放った瞬間から股間が元気を取り戻す。
「ふ、ぐっ」
これ以上の体積に、ケンの口は耐えられそうになかった。
サイベリアンはいまだにケンの口の中にいる自分のものを引きずり出す。はずみで口の中の唾液の混ざった精液が床にどぼどぼと零れ落ちた。
「あぁ……!」
ケンが悲壮な声を上げる。
さすがに初めての相手に「飲め」とは言えない。でも、ケンは口からこぼしてしまったことを残念に思っているようだった。
「ケン、ごめんね」
サイベリアンの声が聞こえているのか、ケンは自分の口から出たもので床にできた大きな水たまりを凝視している。
最後に飲まなかったことで、上手く出来なかったと思っているのなら、そんなことはないと伝えなくては……。
「思わずだしてしまった……。気持ちよかったよ。上手にできていた」
本当に初めてのとは思えないほどに、ケンの口淫は気持がよかった。頭を撫でて「いいこ」と褒める。
顔を上げたケンは満足そうな表情をしていた。
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