119 / 183
3章
23 No 御影? Yes 護衛!
しおりを挟む
誰かが扉を開けようとしている──。
開けられる前に、と健介は外側から誰かが掴んでいるドアノブを慌てて内側から掴む。
「どうしたの!?」
「あ、あの、ここは……」
開かない扉に業を煮やしたのか。外側から扉を引く力が強くなる。冷や汗が背中を伝い落ちた。
「ちょっと、ちょっと、落ち着いて」
「そ、外の人は……だ、誰ですか?」
何者かによって外から力強く引かれる。次の瞬間、健介の力及ばず扉が開かれた。
掴んでいたノブごと健介は外に引っ張り出される。
「う、っわ!」
「ケンちゃん!」
健介は思わず目をつぶって、次に来る衝撃に耐えようとした。
が、投げ出されるかと思った体は途中で何者かによって受け止められる。
頬にあたる冷たい金属……、がっしりとした腕。馬車に並走していた騎士の格好をしたあやしい男だ。
「ひっ、は、はなして!!」
「はっ。失礼いたしました」
健介を抱きとめた男は丁寧に地面へと降ろしてくれる。
地面に足がついた瞬間、健介はその場から逃げ出そうと地面を蹴った。
「ケンちゃん?!」
馬車の中から自分を呼ぶ声に後ろ髪を引かれて立ち止まる。庶民の自分なんかより、ゾイの方が襲われる理由がある。わざわざ迎えに来てくれた人を置いて、自分だけ逃げるのはどうなのか。
「ゾイさん!」
振り返って、悲壮感の溢れる声でゾイを呼ぶ。
が、当の本人は騎士の手を取って、優雅に馬車から降りていた。
「ゾイ……、さん?」
その光景が意味するものは?
馬車までは届かない小さな声で視線の先に問いかけた。
ゾイは馬車から降りると、小走りで健介に近づいてくる。
何かがおかしい。
「ケンちゃん、どうしたの?」
「あ、あの、え……、あ、あの人は知り合い、ですか?」
「えぇ? あの人って、うちの護衛のこと?」
ごえい? 御影??
「そうよ、護衛騎士」
なんということでしょう。嗚呼、勘違い。
健介の顔が羞恥で真っ赤になって、そして何て失礼なことをしたのかと、真っ青になった。
「も、もう、もうしわけxgzy@!」
健介は何を言っているかわからない謝罪を叫び、その場に倒れ込むように土下座した。
「ケンちゃん!」
すぐそばまできていたゾイが慌てて健介の肩を掴む。
「ちょっと、本当に、どうしたのよ?!」
「とんだ、勘違いを!!」
「えぇ? ちょっと、とりあえず立ちましょう?」
健介はそのまま地面と一体になって、そのまま放置されたかった。だが、ゾイがそうはさせてくれなかった。
両肩を掴んだ手に力を込めて、そのまま幼子を立たせるようにぐっと引き上げられる。健介は顔をあげることが出来ずに、地面を名残惜しそうに見つめた。
「ほら、膝とか汚れちゃってるわよ」
「いいんです。汚れたままにしておいてください」と健介は心の中で返事をする。
「まあ、ちょうどよかったわ。このまま行きましょう」
どこに行くのだろう。休憩をすると言っていたが、ここは森の中だ。休める場所などあるのだろうか。というか、こんな何もなさそうな森の中で止まったりするから、一体何事かと思ったのだ。
いや、馬車を止めるように指示したゾイも、馬車を止めた御者さんも、帝都からずっと警備してくれていた護衛騎士さんも、誰も悪くない。早とちりをした自分が全面的に悪いのだ……。
そりゃ、ゾイは貴族だ。馬車も「貴族が乗っています!」と言わんばかりの馬車だ。
護衛くらいついているに決まっている。
決まっている……。いや、わかんないだろ!? 護衛とかいる世界に生きていなかったし、と健介は地面を眺め、ゾイに手を引かれながらとぼとぼ歩きながら頭の中で一人反省会をした。
考えれば考えるほど、申し訳ないやら恥ずかしいやらでこの場から逃げ出したい一心だった。
だが、逃げ出したところでいく場所もない。一人でハウスまで帰れるはずもない。
自分はもう少し思慮深く生きるべきだ、などと考えていると、手を引いていたゾイが足を止めた。
「着いたわよ」
その声に顔を上げると目の前には丸太で出来た大きなコテージが建っていた。
開けられる前に、と健介は外側から誰かが掴んでいるドアノブを慌てて内側から掴む。
「どうしたの!?」
「あ、あの、ここは……」
開かない扉に業を煮やしたのか。外側から扉を引く力が強くなる。冷や汗が背中を伝い落ちた。
「ちょっと、ちょっと、落ち着いて」
「そ、外の人は……だ、誰ですか?」
何者かによって外から力強く引かれる。次の瞬間、健介の力及ばず扉が開かれた。
掴んでいたノブごと健介は外に引っ張り出される。
「う、っわ!」
「ケンちゃん!」
健介は思わず目をつぶって、次に来る衝撃に耐えようとした。
が、投げ出されるかと思った体は途中で何者かによって受け止められる。
頬にあたる冷たい金属……、がっしりとした腕。馬車に並走していた騎士の格好をしたあやしい男だ。
「ひっ、は、はなして!!」
「はっ。失礼いたしました」
健介を抱きとめた男は丁寧に地面へと降ろしてくれる。
地面に足がついた瞬間、健介はその場から逃げ出そうと地面を蹴った。
「ケンちゃん?!」
馬車の中から自分を呼ぶ声に後ろ髪を引かれて立ち止まる。庶民の自分なんかより、ゾイの方が襲われる理由がある。わざわざ迎えに来てくれた人を置いて、自分だけ逃げるのはどうなのか。
「ゾイさん!」
振り返って、悲壮感の溢れる声でゾイを呼ぶ。
が、当の本人は騎士の手を取って、優雅に馬車から降りていた。
「ゾイ……、さん?」
その光景が意味するものは?
馬車までは届かない小さな声で視線の先に問いかけた。
ゾイは馬車から降りると、小走りで健介に近づいてくる。
何かがおかしい。
「ケンちゃん、どうしたの?」
「あ、あの、え……、あ、あの人は知り合い、ですか?」
「えぇ? あの人って、うちの護衛のこと?」
ごえい? 御影??
「そうよ、護衛騎士」
なんということでしょう。嗚呼、勘違い。
健介の顔が羞恥で真っ赤になって、そして何て失礼なことをしたのかと、真っ青になった。
「も、もう、もうしわけxgzy@!」
健介は何を言っているかわからない謝罪を叫び、その場に倒れ込むように土下座した。
「ケンちゃん!」
すぐそばまできていたゾイが慌てて健介の肩を掴む。
「ちょっと、本当に、どうしたのよ?!」
「とんだ、勘違いを!!」
「えぇ? ちょっと、とりあえず立ちましょう?」
健介はそのまま地面と一体になって、そのまま放置されたかった。だが、ゾイがそうはさせてくれなかった。
両肩を掴んだ手に力を込めて、そのまま幼子を立たせるようにぐっと引き上げられる。健介は顔をあげることが出来ずに、地面を名残惜しそうに見つめた。
「ほら、膝とか汚れちゃってるわよ」
「いいんです。汚れたままにしておいてください」と健介は心の中で返事をする。
「まあ、ちょうどよかったわ。このまま行きましょう」
どこに行くのだろう。休憩をすると言っていたが、ここは森の中だ。休める場所などあるのだろうか。というか、こんな何もなさそうな森の中で止まったりするから、一体何事かと思ったのだ。
いや、馬車を止めるように指示したゾイも、馬車を止めた御者さんも、帝都からずっと警備してくれていた護衛騎士さんも、誰も悪くない。早とちりをした自分が全面的に悪いのだ……。
そりゃ、ゾイは貴族だ。馬車も「貴族が乗っています!」と言わんばかりの馬車だ。
護衛くらいついているに決まっている。
決まっている……。いや、わかんないだろ!? 護衛とかいる世界に生きていなかったし、と健介は地面を眺め、ゾイに手を引かれながらとぼとぼ歩きながら頭の中で一人反省会をした。
考えれば考えるほど、申し訳ないやら恥ずかしいやらでこの場から逃げ出したい一心だった。
だが、逃げ出したところでいく場所もない。一人でハウスまで帰れるはずもない。
自分はもう少し思慮深く生きるべきだ、などと考えていると、手を引いていたゾイが足を止めた。
「着いたわよ」
その声に顔を上げると目の前には丸太で出来た大きなコテージが建っていた。
149
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。
志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。
美形×平凡。
乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。
崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。
転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。
そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。
え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる