社畜モブの俺、異世界転移したら「Sub」っていわれたんだけど。え、「Sub」って何ですか?

鉾田 ほこ

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3章

23 No 御影? Yes 護衛!

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 誰かが扉を開けようとしている──。
 開けられる前に、と健介は外側から誰かが掴んでいるドアノブを慌てて内側から掴む。
「どうしたの!?」
「あ、あの、ここは……」
 開かない扉に業を煮やしたのか。外側から扉を引く力が強くなる。冷や汗が背中を伝い落ちた。
「ちょっと、ちょっと、落ち着いて」
「そ、外の人は……だ、誰ですか?」
 何者かによって外から力強く引かれる。次の瞬間、健介の力及ばず扉が開かれた。
 掴んでいたノブごと健介は外に引っ張り出される。
「う、っわ!」
「ケンちゃん!」
 健介は思わず目をつぶって、次に来る衝撃に耐えようとした。
 が、投げ出されるかと思った体は途中で何者かによって受け止められる。
 頬にあたる冷たい金属……、がっしりとした腕。馬車に並走していた騎士の格好をしたあやしい男だ。
「ひっ、は、はなして!!」
「はっ。失礼いたしました」
 健介を抱きとめた男は丁寧に地面へと降ろしてくれる。
 地面に足がついた瞬間、健介はその場から逃げ出そうと地面を蹴った。
「ケンちゃん?!」
 馬車の中から自分を呼ぶ声に後ろ髪を引かれて立ち止まる。庶民の自分なんかより、ゾイの方が襲われる理由がある。わざわざ迎えに来てくれた人を置いて、自分だけ逃げるのはどうなのか。
「ゾイさん!」
 振り返って、悲壮感の溢れる声でゾイを呼ぶ。
 が、当の本人は騎士の手を取って、優雅に馬車から降りていた。
「ゾイ……、さん?」
 その光景が意味するものは?
 馬車までは届かない小さな声で視線の先に問いかけた。
 ゾイは馬車から降りると、小走りで健介に近づいてくる。
 何かがおかしい。
「ケンちゃん、どうしたの?」
「あ、あの、え……、あ、あの人は知り合い、ですか?」
「えぇ? あの人って、うちの護衛のこと?」
 ごえい? 御影??
「そうよ、護衛騎士」
 なんということでしょう。嗚呼、勘違い。
 健介の顔が羞恥で真っ赤になって、そして何て失礼なことをしたのかと、真っ青になった。
「も、もう、もうしわけxgzy@!」
 健介は何を言っているかわからない謝罪を叫び、その場に倒れ込むように土下座した。
「ケンちゃん!」
 すぐそばまできていたゾイが慌てて健介の肩を掴む。
「ちょっと、本当に、どうしたのよ?!」
「とんだ、勘違いを!!」
「えぇ? ちょっと、とりあえず立ちましょう?」
 健介はそのまま地面と一体になって、そのまま放置されたかった。だが、ゾイがそうはさせてくれなかった。
 両肩を掴んだ手に力を込めて、そのまま幼子を立たせるようにぐっと引き上げられる。健介は顔をあげることが出来ずに、地面を名残惜しそうに見つめた。
「ほら、膝とか汚れちゃってるわよ」
 「いいんです。汚れたままにしておいてください」と健介は心の中で返事をする。
「まあ、ちょうどよかったわ。このまま行きましょう」
 どこに行くのだろう。休憩をすると言っていたが、ここは森の中だ。休める場所などあるのだろうか。というか、こんな何もなさそうな森の中で止まったりするから、一体何事かと思ったのだ。
 いや、馬車を止めるように指示したゾイも、馬車を止めた御者さんも、帝都からずっと警備してくれていた護衛騎士さんも、誰も悪くない。早とちりをした自分が全面的に悪いのだ……。
 そりゃ、ゾイは貴族だ。馬車も「貴族が乗っています!」と言わんばかりの馬車だ。
 護衛くらいついているに決まっている。
 決まっている……。いや、わかんないだろ!? 護衛とかいる世界に生きていなかったし、と健介は地面を眺め、ゾイに手を引かれながらとぼとぼ歩きながら頭の中で一人反省会をした。
 考えれば考えるほど、申し訳ないやら恥ずかしいやらでこの場から逃げ出したい一心だった。
 だが、逃げ出したところでいく場所もない。一人でハウスまで帰れるはずもない。
 自分はもう少し思慮深く生きるべきだ、などと考えていると、手を引いていたゾイが足を止めた。
「着いたわよ」
 その声に顔を上げると目の前には丸太で出来た大きなコテージが建っていた。 
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